転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友

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9章 ウィザリア

180話 色々な魔法

 カストリオ君……大丈夫かな……。

 わたしは学園の授業を受けながら、昨日のことを思い出していた。

 昨日、カストリオ君から学園に潜むスパイの存在について聞かされた。
 そして、生徒会のメンバーである彼でも入れない禁書庫に何者かが侵入しているとも。

 ただ、わたし達も特にできることはなく、彼はそれだけを告げて去ってしまう。

 その後わたしはポロックちゃんと別れ、迎えに来てくれたリオンさんと一緒に宿に戻った。

 スパイがいるという話をクロノさん達に話したけれども、ファリラスとは違うため簡単には動けない。
 一応、上の人に話をしてみるとクロノさんは言ってくれたけれど……。

 どうなるんだろうなぁ。

 わたしも力になってあげたいけれど、まだこの学園に来て2日目。
 スパイがどうこうとか出来るような状況じゃないのだ。
 そもそも誰が味方で誰が敵かもわからない。

「それでは、一番前の君、どんな魔法があったらうれしいと思う?」

 わたしは教授の言葉にドキリとして、意識を授業に戻す。

 教授に当てられた少女が、元気よく答える。

「はい! 好きな場所に行ける魔法が欲しいです!」
「なるほど、転移魔法だね。とても有名ではあるが、所持していた者は少ない」

 転移魔法……。
 王都では転移魔法が使えるアフト君のせいでひどい目にあったけど、ケンリスから王都に一瞬で行けたのもそれのお陰なんだよな……。
 少し複雑な感情だ。

 ただ、転移魔法は正直欲しい。
 今まで行った所とかすぐに行けるってことは、先生の牧場でモフモフしに行ったり、スウォーティーの村に甘いものを食べに行ったり……ふふふ。
 やっぱり欲しい!

「一応、学園にも転移魔法を使えた者の書が残されているとされるが……」
「本当ですか!?」

 教授の言葉で興味を示した者はわたしだけではなかった。
 そこかしこで声が上がる。

「ああ、だが、図書館にはないとされているね」
「図書館にはない……ですか? 学園長の部屋とかですか?」
「あはは、そこならあるかもしれないね。だが、人の部屋に勝手に入ってはいけないよ。そして、転移魔法や禁書等が保管されている場所は公開されていないんだ。僕達教授にもね」

 教授の言葉を聞いて、わたしは驚いた。

 教授にも禁書庫のことは知らされていないっていうこと?
 でも、それなのに、スパイの人は入っているという。
 というか、カストリオ君も禁書庫の場所を知らないのに、どうやってスパイが入り込んでいると知ったのだろうか?

 色々と不思議でどうなっているのか分からない。

 わたしはわたしの後ろでのんびりとしているウィンに念話で話しかける。

『ウィンは禁書庫の場所に見当はつく?』
『わからんな。そもそも、禁書庫がどういう場所か、どういう匂いがするのか。ということがわからねば見つけることはできん』
『そっか……見つけられる魔法でもあればいいんだけど……』
『サクヤなら自分で作れるのではないか?』
『流石にそれは難しい気がするけど』

 わたしはウィンとそんなことを話し、再び教授の話に集中する。

「さて、転移魔法等はないが、学園には様々な希少魔法の魔導書が存在する。次元魔法、空間魔法、結界魔法、浄化魔法、探知魔法。それぞれ様々な効果を持ち、とても強力な効果がある。ものによっては図書館で閲覧することができる。一度読んでみるといい」
「……」

 教授の話を聞いていて、ふと思ったことがある。

 わたしの魔力で、探知魔法を使ったら調べられるんじゃない?

 魔力の制御に関しては昨日の授業でやった。
 なら、今度はそれを実戦でやってみるべきではないだろうか。

 わたしはそんなことを考えながら授業を受けた。
 それから今日の授業が全て終わり、ポロックちゃんと別れる。

 リオンさんが来るのを待って、わたしは彼に報告をした。

「リオンさん。わたし達は一度図書館に寄ってから帰ろうと思います」
「そうなの? なら僕も行こうかな。読んでみたい本もあったし」
「いいんですか?」
「うん。サクヤちゃんが一緒に行ってくれてうれしいよ」
「ありがとうございます!」

 わたし達はみんなで図書館に行き、目当ての本を探す。

「う~~~ん……ないなぁ……」
「うびゃ~?」
「きゅい~?」

 ヴァイスとルビーもわたしの肩の上で、首をかしげる。
 わたしの真似をしているようでかわいい。

 この図書館は広い、広すぎる。
 学校の校舎丸々1つ分では収まりきらないくらいある。
 それにパソコンで検索することもできないし、なんなら読めない文字もあるくらいだ。
 モルドさんに文字を習ったとはいえ、あくまで簡単なもの。
 魔導書を読めるほどではない。

「む~」
「サクヤちゃん。本が見つからないの?」

 本を探して30分ほどうろうろしていたら、リオンさんに聞かれた。
 彼は両手で5冊の本を抱えていて、楽しそうだった。

「はい……文字が読めず……」
「なら僕も手伝うよ。なんの本なんだい?」
「探知魔法の本を探しています」

 バサバサバサ。

「リオンさん?」
「サクヤちゃん……探知魔法が使えるの!!?」
「え……あ、は……はい……!!?」

 リオンさんの驚きに驚いて素直に答えちゃったけれど……やってしまったか!?
 探知魔法ってアイテムボックスとかみたいにやばい魔法なんだろうか?
 でも探すだけでしょ? そんなにやばいとは思えないんだけど!?

 リオンさんはわたしに詰め寄ってきて両肩に手を乗せる。
 しかも周囲に人がいないことを確認する徹底ぶりだ。

「サクヤちゃん。その魔法のことは人に話してはいけないよ」
「な、なんででしょうか」
「探知魔法があれば、敵国の重要拠点を調べることができる。秘密の脱出路や、重要な隠し場所も探せるってこと。つまり相手の城に忍び込んで暗殺の手助けや、破壊工作だって簡単にできるようになる、かなり警戒される魔法なんだ」
「な、なるほど……」

 リオンさんはじっとわたしを見つめて、優しく話す。

「だから、その魔法を使えるということは言ったらいけないよ? もちろん。僕はサクヤちゃんが暗殺なんてしないと知っている。でも、他の人がどう思うかわからないからね」
「はい。ありがとうございます」

 やばい魔法だった……。
 
 気軽に魔法のことを話すのはやめよう。

 そう思ったけれど、リオンさんには話してしまった。
 なので、彼には探知魔法の本を探すのに、協力してもらうことになった。

「見つけたよ」
「早くないですか?」

 手伝ってもらって5分も経たないうちにリオンさんは目当ての本を見つけてくれた。

「ふふ、図書館は僕の庭みたいなものだからね。初めてきた図書館だって、すぐに本を見つけられるんだよ」

 リオンさんはちょっとだけ自慢げに話してくれる。
 彼の話し方は、嫌味がなくとても楽しげだった。
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