神々VS人工知能『ミラクル☆HT物語』

静風

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未来見学の章

AIが制作するTV番組

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2020年、不治の病に侵された少女・結海(ゆうみ)はヨットで世界一周をすると決めて航海に出たが、UFOのようなものに遭遇し、なぜか2062年の未来へとタイムスリップすることとなってしまった。そこで、ヘティスと結海は出会った。そして、結海はヘティスの家で同居することとなった。

結海
「そういえば、このお部屋、テレビがないわね?」
「未来は全部、インターネットになっちゃったの?」
ヘティス
「ん?あるわよw」
「テレビをつけて!」

ヘティスが命令すると、目の前に立体的な3D映像が浮かび上がる。音も立体的であり、臨場感があり、実物がそこにあり、実際に動いているようであった。

結海
「え?何これ???」
ヘティス
「テレビよw」

たまたまつけた番組は戦記ものの映画であり、その映像の中の戦士の一人が結海に向かって駆け寄り、剣を振りかざしてくる。

結海
「キャ・・・!!」
「・・・・・・・」
「アレ・・・・?」

初めて体験するホログラフィック映像に対し、結海はどう反応していいかわからなかった。

結海
「しかも、振動が・・・」
ヘティス
「ああ、体感モードになってるから、お部屋ごと揺れるのよwうっとーしいからオフにしとくねw」

この時代、更に「メタバースTV」というものがあり、感覚がメタバース空間に入り込むため、ほぼ現実と変わらない臨場感を生む。しかし、そのリアリティの高さ故、心臓発作などの事故も起こったため、現在、安全性の面で改良が加えられている。

ヘティス
「そっか~、うみみんの時代は、ホログラフィックTVってなかったのねw」
結海
「う、うん・・・」
ヘティス
「デフォルトだと、この部屋の持ち主に向かって映像が飛び込んで来るようになってるのw」
結海
(だから、私に向かってきたのか・・・w)
ヘティス
「はじめでだから、ちょっと刺激が強かったわよねw」
「設定変更で、本人に向かってこないようにしておくね」

ヘティスはすぐに設定変更を行った。

ヘティス
「確か、2020年だとボックスの中に映像が入ってるんだっけ?」
結海
「そうよ。てゆーか、ちょっとバカにしてるでしょ・・・?」
「まあ、確かに、この立体映像はスゴいとは思うけど・・・」
ヘティス
「ううん」
「バカになんてしてないわ」
「ホログラフィック3DTVは、私の生まれた頃にはもうあったから、これが当たり前だと思ってたけど、知らない人がみたら、そういう反応なんだなぁーって」
「私も勉強になるわw」
結海
「・・・そ、そう?」
「けど、なんか悔しいわ・・・。さっきから驚かされてばっかりw」
ヘティス
「私だって何十年後かにワープしちゃったら、うみみんと同じ反応をしてると思うw」
「その時は、このホログラフィックTVは、きっと古臭く見えるし、未来の想像もできないようなTVを見て驚くと思うのw」
「だから、それが正常な反応よw」
結海
「そっか・・・w」
ヘティス
「で、部屋のあちこちにライトがあるでしょ?」
「そこにスピーカーも内蔵してるんだけどね」
「あの光と音を干渉させて、立体的な映像と音を作ってるの」
「これもAIが映像の距離・方向とかを計算して、立体的に聴こえるように音を出してたりね」
結海
「チョースゴいと思うわ・・・。悔しいけど、マジマンジよ・・・」

20xx年、MHKの放送料金支払いの義務に対して、多くの国民が疑問を投げかけた。そのチャンネルを視聴しないのに、視聴端末を持っているだけで支払いの義務が生じるからである。この頃、人口減少を補うためにAIも徐々に普及したが、その過渡期は外国人労働者の助けを借りた。その外国人は、視聴しないのに払うのはおかしい、という考えで、ほとんどの人が支払いを拒んだ。その考え方は若い世代へと次第に広がり、若い世代もMHKの受信料の支払いを拒んだ。
そこへ海外企業である「シックスストリーミング」というインターネットによるストリーミング配信サービス企業が入ってきたため、「コードカット(ケーブルテレビ等の従来型の有料放送の解約)」が一気に全国で行われるようになった。そして、人々は、自分の趣味や仕事や人生に関連する番組を自由にカスタマイズした。こうしたコードカットが行われ、ストリーミング配信が主流になると、既存のテレビメーカーも、インターネット接続によるストリーミングTVの販売を行うようになった。

地上波の放送は段々と視聴されなくなり、そうなると、多くのオールドメディアもストリーミング配信に移行せざるを得なかった。

更に、そこから10年程経つと、AI革命が起こり、驚くべきことが起こった。
AIが番組を制作するようになったのである。

人間が視聴した動画内容のうち、AIが視聴時間やエンゲージメントを抽出し、そのビッグデータからエンターテイメント性の高い番組を制作するのである。そのAI番組が放映されると、既存のオールドメディアは全く太刀打ちができなくなった。
特に人気だったのは、AIが既存メディアの嘘・変更報道を、ビッグデータを用いて暴いていくというものであった。AIの作り出す番組はエンターテイメント性も高く、そしてファクト性(事実性)も高かった。なぜ既存メディアが偏向報道をしてしまうか、その理由は資本主義が関係するのではないか、とAIは番組内にて解析し、仮説を立てた。事実を放送するよりも、スポンサーの意向が重要になるため、と考えられた。つまり、事実よりもスポンサー収入が優先される、というものである。しかし、偏向報道がAIに暴露されると、スポンサーの企業イメージも低下するため、企業側からも事実を報道するように求められるようになった。
この問題は、結海のいた2020年以前から、既に問題となっており、様々なことが重なり、国民の不満が噴出したのである。
※参:PRTIMES『電話世論調査でも「テレビに偏向報道がある」が7割「偏向番組スポンサーの商品を買いたくない」が3割』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000030912.html

ヘティス
「この“AIファクト”って番組が面白っくって今人気なのw」
結海
「え~?」
「あの事件も、この事件も、その事件も、みーんな偏向報道だったのぉ~?」
「私、本当だと思ってたわぁ・・・w」
ヘティス
「まあ、人間が作るものだから、そりゃ、偏る部分はあるわよねぇ。それをAIに突っ込まれるんだから、ちょっと可哀想だわw」

こうしたこともあって、オールドメディアは勢力を失い、合併を繰り返し、この時代には数社が残るだけとなった。しかし、「AIストリーミング放送」というメディアのメディアが登場することで、オールドメディアから偏向報道は減って行った。また、オールドメディアは、あらゆることにおいてAIメディアに勝てなかったが、一つだけ、負けないものがあった。

「人間にとって幸せとは何であるか?」

と、いうことであった。

「人間の幸せに関しては人間が決める」

ここには、それなりの賛同者がいた。

「人間とは何か?」「人生とは何か?」そうした答えのないアナログ的なことの追求を、オールドメディアは行うようになった。なぜなら、その問いに明確な答えはないため、客観的に間違いを指摘されにくいのである。データから解答を導くことに関しては、人間はAIに勝てない。そのため、オールドメディアは、主観的で、答えのない番組制作を行うようになっていった。

ヘティス
「あ、そういえば、今日は市長選だったわ!ちょっとチャンネル変えるね!」
「今回は誰が選ばれるのかしら?」
結海
「もしや・・・、市長もAIとか・・・?」
(もう、悪い予感しかしないww)
ヘティス
「市長は人間よw」
結海
「そこは普通なのねw」
(よかった・・・w)
ヘティス
「けど、政策を討論するのは、市長が持っているAIだけどねw」
結海
「やっぱり・・・w」

市長選は、まず最初に、市長候補者の信用スコアリングが表示される。信用スコアリングとは、その人の認知から生まれる行動に対し、スコアをつけることを指す。このスコアは、日常生活や仕事を共にするAIによって行われる。これによって、おおよその市長の人格の指標が示されるのである。
次に、政策面は、仮想空間で行われる。仮想空間に、市長候補者のAIアバターが配置される。このAIアバターは、市長候補者の専属AIロボットが取得した候補者のデータが投影されている。このデータは、候補者の日常生活や仕事の姿勢だけではなく、基本的な思想・哲学までもディープラーニングされるのである。
各候補は、自己のAIロボットのAIアバターを仮想空間に配置し、デジタルツインの技術で、討論をシミュレーションするのである。そうすることで、その議論の良し悪しを客観的にスコア化し、それを人々が判断基準とするのである。このシミュレーションに関してのプロセスは、誰もが後から番組のように視聴することが可能である。
このようにすることで、知名度は関係がなくなってくる。そのため、この時代では、芸能人や二世議員の当選者は、従来よりも極端に減ったのである。これはオールドメディアの衰退も関係している。オールドメディアによって、知名度が作られていたからである。
ベーシックインカムとなり、人々に時間のゆとりができ、政治のことを考えるようになった。そしてAIがわかりやすく指標を示すようになった。そして、選挙に知名度があまり反映されにくくなると、純粋に政治を志す人が、市長に当選するようになったのである。

結海
「うーん、討論だけど、何を言っているのかわかんなかったわ・・・」
ヘティス
「そりゃ、未来の政治の話だから、わかんなくって当然よw」
「という私も、あまり理解できてないかもだけど、こういうのって大事だと思って見てるわw」
「それに、ヘパが内容をディープラーニングしてくれているし。だから、私たちは、自分がわからないことでも、とりあえず大事そうなことは、将来、役に立つかもしれないから、視聴しようって思うの」
結海
「自分がわからなくっても、AIが理解してくれるのかぁ。便利ね~!」
ヘティス
「そうね、もしヘパがいなかったら、私も見てないかもw」

と言って、ヘティスはホログラフィックTVを切って、次にベッドの説明をし出す。

ヘティス
「これがスマートベッドよw」
結海
「このカプセルの中に寝るの?」
ヘティス
「そうよ」
結海
「今度はどんな仕掛けがしてあるベッドなの・・・?」
ヘティス
「そんな警戒しないでw」
結海
「す、するわよ・・・」
ヘティス
「このベッドは、ここで寝た人の生体情報を取得して、それが医療機関に送られるの」
「その情報を基に医療機関のAIが、その人に必要な周波数を計算して、身体に無害な量子波を当てて、健康な状態にしてくれるの」
「健康のためだから、うみみんの情報をウチがお世話になっている医療機関の先生に送ってもいい?」
結海
「つまり、お医者さんが遠隔で診てくれる“健康になるベッド”ってことよね?」
ヘティス
「そうよw」
結海
「健康になるんだったらぁ・・・、いいかなぁ・・・」
ヘティス
「じゃあ、リンクさせとくね」

ヘティスはAIロボット・ヘパイトスを通じて、医療機関とスマートベッドをオンラインで紐づけた。

ヘティス
「うみみんのベッド、オープン!」

ヘティスがスマートベッドに命令すると、スマートベッドのカプセルがスライドして開く。マットの部分はウォーターベッドになっている。

ヘティス
「触ってみてw」
結海
「柔らかいし、暖かいわぁ・・・」
「ウォーターベッド?少し動いているみたいだけど・・・w」
ヘティス
「自然界と同じように1/fでゆらいでるのw」
結海
「なにそれぇ?」
ヘティス
「私もあまり詳しくないんだけど、このゆらぎによってすごーくリラックスするのw」
結海
「こんなにウネウネしててぇ、リラックスできるのかなぁ・・・」
ヘティス
「うみみんは海が好きでしょ?海のゆったりとした波も自然のゆらぎがあるって言われるから、海のベッドに寝ていると思ってw」
結海
「海のベッドかぁw」

このゆらぎについては、別の理由があり、それはまた違う項で説明する。

ヘティス
「とりあえず寝てみてw」
結海
「うん・・・w」

結海がスマートベッドで寝ると、ヘティスはカプセルを閉め、ボディスキャンをする。そして、再びカプセルを開ける。

ヘティス
「あら・・・、ヒドい健康状態ね・・・」

部屋のある空間に身体模型のホログラムが映し出される。先程のホログラフィックTVである。ヘティスが、映像を手で動かすと、映像は前後左右、様々な方向へと動く。

結海
「これって映像なんでしょ?なんで動くの?」
ヘティス
「ああ、カメラが私の動きを認識して、ホログラムと連動させてるの」
「昔のTVって多分、視聴者が見るだけだったけど、今のTVは参加型の番組だってあるのw」
結海
「あまり言ってる意味がわからないけど、そんなこともできちゃうのね・・・」
「何を見ても聞いても、マジ・マンジだわ・・・」
ヘティス
「んで、悪い部分は、ここと、ここと、ここね」

結海は、ヘティスから患部を指摘されると、その情報が全て正確であることを理解した。

ヘティス
「まあ、明日になれば治るからw」
結海
「そんなわけは・・・」
ヘティス
「ウチがお世話になってる医療機関の日保(ひほ)先生はスゴいんだから、大丈夫よw」
結海
「う、うん・・・」
(未来の世界って何を見てもスゴいわ・・・。けど、そのスゴい世界の人がスゴいって言う先生だから、多分、チョー・スゴいのね・・・)

このように思いながら、結海はスマートベッドの中に入り、深い眠りの世界へと導かれていく。それは、まるで暖かい南国の夜の海でたゆたうようであり、そこから段々と深海へと沈み行くような感じであった。




【補足】
医療機器を扱う場合は国家資格が必要である。また、治療を受けるには、最初は医師の診察を受けるべきである。文字上の都合から、これらを省略したことをお許し願いたい。また、今、大病とされていることが、自宅で簡易に治療できるような世の中になることを願っての気持ちを込めての表現でもある。
一昔前は結核は死病であった。それが現在ではそうではない。現在、大病とされるものが、未来の社会ではそうでない、と言う希望を描きたいと思う。
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