『シルフィード王国物語』〜 神聖法師イヴと女王シルフィア 〜

神域の飛竜編

竜族との友情

アルドリュスの試練を終えた後、エリクはついに神域の王エンシェント・ブレスとの謁見の権利を得ました。彼はアルドリュスからの助言を受け、神域の宮殿に向かいました。

宮殿は巨大な石造りの建物で、そびえ立つ壮大な柱と複雑な彫刻で装飾されていました。エリクは、その荘厳な姿に圧倒されながら、宮殿の門をくぐりました。

内部は、外部と同じく壮大なものでした。大理石の床には、複雑な模様が彫り込まれていて、高い天井には、美しい装飾が施されていました。宮殿の中央には、神域の玉座があり、玉座に座るエンシェント・ブレスがエリクを待っていました。

神域の飛竜の王エンシェント・ブレスは、巨大な白い飛竜の姿をしている。その体は光り輝き、滑らかな鱗が輝きを放っている。翼はとても大きく、空を自由自在に飛び回ることができるように見える。その目は鋭く、知的であり、どこか神秘的な光を放っている。全体的に、エンシェント・ブレスは威厳に満ちた姿をしており、周囲の者たちを圧倒する存在感を放っている。

エリクは王に謁見し、敬意を表して挨拶をしたが、王からは何の反応もなかった。エリクは周囲の空気が重いことに気付きいた。王は人間不信に陥っていた。その原因は、かつて王国を支配していた竜族の先王、アルカディア・ウィングの不慮の死にあると言われている。

アルカディア・ウィングの不慮の事故とは子供の飛竜が神域から抜け出て人間界へと迷い込んだことが原因です。この飛竜は珍しい存在であり、生け捕りにされました。アルカディア・ウィングは、人間の姿に変身し、飛竜の子供を取り戻すために人間界に降り立ちましたが、人間たちはアルカディア・ウィングを飛竜の子供を盗んだ盗人だと勘違いし、彼を殺害してしまったのです。この出来事がエンシェント・ブレスが人間不信に陥る一因となり、彼女が王位を継いだ後もその思いは変わることはありませんでした。

神域の飛竜の王エンシェント・ブレスは、エリクのローブの紋章に気づいた。その瞬間、エリクの心臓は高鳴り、息が詰まるほどの緊張が走った。エンシェント・ブレスの存在は、彼にとって神聖なものであり、恐れ多くもその目を見ることができるとは思ってもみなかった。

エンシェント・ブレスはエリクのローブを指差し、「そのローブはどこで…」と問いかけた。エリクは答えた。「これは魔法修行にて免許皆伝の際、我が師、蒼翔光にいただいたものです」と。

エンシェント・ブレスは驚きを隠せず、口を開いた。「蒼翔光殿だと…？」エリクは素直に頷いた。「はい、そうです」。

そのローブの紋章の形は花の中に飛竜が描かれたものでした。花は大きく、優美な曲線を描いていて、花弁の先端には小さな星が散りばめられています。その中央には立派な飛竜が、翼を広げて飛翔している様子が描かれています。

エンシェント・ブレスはエリクのローブの紋章に驚愕した。彼はアルカディア・ウィングと蒼翔光の友情の証を知っていた。その紋章は、何か困ったことがあれば必ず助けるという約束が込められたものだった。

エンシェント・ブレスは決断した。彼はエリクを助けることに決めた。この友情の証を受け継いだ者が困ったときには必ず助けるという約束を果たすために。