『シルフィード王国物語』〜 神聖法師イヴと女王シルフィア 〜

魔法書の旅編

アリとキリギリスの物語

イヴは魔法書の中の不思議な空間を彷徨っていました。

イヴが不思議な空間に迷い込むと、美しい草原に出ました。
アリは忙しく働き、キリギリスは音楽を奏でていました。
アリがキリギリスに「冬になったら困るよ、働かなきゃ」と忠告すると、キリギリスは「大丈夫さ、食べ物はいつでも手に入るよ」と答えて音楽を続けました。
しかし、冬が来ると草木は枯れ、食べ物がなくなり、キリギリスはお腹をすかせました。
キリギリスはアリたちに食べ物をおねだりすると、「夏には歌ってたでしょ？冬には踊りましょうよ！」と断られてしまいました。
そんなキリギリスにイヴは同情し、「アリさん、もうちょっと寛容になってあげましょうよ。キリギリスは困っているんですから」と言いました。

しかし、アリたちは「自業自得だ」「働かざるもの食うべからず」と一蹴し、キリギリスを無視し続けました。

しかし、イヴは違う考えを持っていました。彼女は「アリさんはたまたまアリさんだから、今食べれるのよ。キリギリスさんはたまたま、キリギリスさんなだけなのよ」と言い、アリたちに説得しました。「誰かを助けることも、私たち生命を与えられたものの仕事のはずよ」と続け、アリたちは渋々ですがキリギリスに食べ物を分け与えることにしました。

時が経ち、再び春が来て五月になったある日、働きアリたちの一部は五月病にかかり、働くことができなくなりました。その結果、食糧生産量が減り、アリたちは困ってしまいました。しかし、そこでキリギリスが彼の美しい音楽をアリたちに届けました。彼らは毎日キリギリスの音楽を聴き、元気を取り戻していきました。そして、元のようにアリたちは働けるようになったのです。そして、アリたちの生産性は回復するどころか、キリギリスの音楽の力で生産性が上がりました。

この物語は、単純な論理ではわからない部分があることを教えてくれます。時には意味がないように見えることも、時間軸を長くすれば意味があったり、役に立ったりすることがあるということです。また、働くだけが人生ではありません。音楽など一見無意味に思えることですが、しかし、それは人生を豊かにするものなのです。
視野を広く持つためには、慈悲心や寛容性が必要だということを、イヴの言葉やアリたちの行動から学ぶことができます。