『シルフィード王国物語』〜 神聖法師イヴと女王シルフィア 〜

静風

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聖騎士編

聖光の継承

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クレイ・アルディスは意識を取り戻すと、ある野営地で横たわっていた。既に生命の灯火は消え去ろうとしており、そのことをクレイは悟っていた。周囲には副官のグロリアスやセラフィック、レイジング、エンジェリックなどの将がいた。

クレイ・アルディスは息を吹きかけながら、副官たちに向かって話し始めました。「みんな、今までありがとう。俺が命を落とす前に、君たちに話したいことがある。」

グロリアスがクレイに寄り添い、手を握りました。「何でも言ってください、クレイ。私たちはいつでもあなたの側にいます。」

クレイは深く息を吸い、話を続けました。「君たちには、この世界をより良いものにする使命がある。私がいなくなった後は、君たちがこの大陸を指導するべきだ。ただし、力だけでなく、知恵や慈愛も持ち合わせることを忘れないでくれ。」

セラフィックは頷きました。「分かりました、クレイ。私たちはあなたの教えを忘れずに、大陸を導いていきます。」

そして、クレイはエリオットを呼んでくれ、と言った。

クレイは息を引き取る寸前に、周囲の将たちに呼びかけました。「エリオットを呼んでくれ」と。エリオットが現れると、クレイは彼に聖騎士団長の地位を引き継いで欲しいと頼みました。クレイは、エリオットが実力と誠実な性格を持っていると信じていたためです。

そして、クレイの最後の願いは、エリオットを中心とした騎士団を作り、それが彼の遺志を継ぐことでした。さらに、クレイはエリオットに自分の出自についても話しました。エリオットは王族の血を引いており、それに復帰することを望んでいたのです。

クレイ:「お前を呼んだのは、もうすぐ死にそうな私の最後の願いを伝えるためだ。エリオット、お前は誠実で実力がある。私の跡を継ぎ、騎士団長になってほしい。それが私の望みだ。」

エリオット:「私などが騎士団長になれるはずがありません。私はただの騎士で、王族の血筋など持ち合わせておりません。」

クレイ:「それでも私の命令だ。私はお前を信じている。そして、お前が適任であることは間違いない。」

エリオット:「でも、私には力不足があります。騎士団を引っ張っていけるだけの力はありません。」

クレイ:「その力がなければ、力を身につけるために努力すればいい。私が死んだ後、お前が中心となって騎士団をまとめ、私たちが守り続けたものを守り続けてほしい。」

エリオット:「分かりました。団長の命令であれば、お受けいたします。」

クレイ:「ありがとう、エリオット。そして、最後に言っておくが、お前は王族の血筋だ。もし望むなら、王族に戻ることができる。グロリアスに頼んでほしい。」

エリオット:「ありがとうございます、団長。私は騎士団長として、団長たちが守り続けたものを守り続けます。そして、王族に復帰することも考えてみます。」

クレイ:「それがいい。エリオット、ありがとう。私はもうすぐ、この世を去る。だが、私たちが守り続けたものは、お前たちが守り続けてくれるだろう。」

クレイはグロリアスに、後は頼んだ、と言った。
グロリアスは険しい表情で、そんなことを言うな、と厳しく叱責した。
しかし、クレイは笑顔で「グロリアス、俺はいつも笑っていたいんだ。」と言い残し、静かに息を引き取った。
彼の顔には優しい微笑みが浮かんでおり、その最期の瞬間も明るく陽気であった。
グロリアスはその光景を目に焼き付け、クレイの遺志を果たすことを決意した。

クレイ・アルディスは、不敗を誇る歴戦の強者であったが、ついに初めての敗北を味わい、それが致命傷となって亡くなった。彼の死には、彼自身も理由を見つけられなかったようで、自分の本来の力が発揮できなかったと悔いていた。

しかし、クレイが敵将ゼノスに敗れたという事実は、彼が遭遇した相手の恐ろしさを物語っている。聖騎士団は、このような強敵に対し、彼らの心にゼノスを倒す決意を刻んでいた。
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