その学園にご用心

マグロ

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第二章

13 海斗サイド

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「キャー!みな様こっち向いて下さーい」

「桜李ちゃん綺麗すぎー!!」

「桜李様ー!絶対あなたの親衛隊に入りますからー!」

近付くにつれそんな言葉が聞こえて来た。
今はまだ俺のじゃない。
あんなに綺麗ならば誰もほっとくなんて出来ないだろう。
分かってはいてもイラつきが増して行く。

到着すると入口付近に見知った1年達が6人、中に入れず立ち往生していた。
その中に愛おしい人物を見つける。

桜李を目にするだけで気持ちが落ち着く。

だが、桜李に抱き着いている皇が目に入った。
落ち着きかけていた気持ちがまた沸々と浮かび上がって来た。

そのイラつきに任せて怒鳴る。

すると近くにいた生徒は、ヒッと声を上げて逃げるように向こうに行った。

6人の視線がこっちを向く。

あぁ…桜李がこっちを向いてくれただけで何か泣きそうになってしまった。

それを悟られないよう心配気に声をかけた。

それは突然だった。

「海斗先輩!昨日ぶりですね」

ハグをされ両頬にキスをされる。
一瞬、夢かと思った。

顔中が…いや、体全体が熱い。
真っ赤になっているであろう顔を片手で隠す。
何が起こったんだ。
なぜキスをしてくれたんだ。

5人が桜李に詰め寄っている。

桜李はキョトンとした顔をしていた。
これは挨拶だと言って慌てている。

確かに外国ではこうゆう挨拶をする国もある。
納得した。
自分に好意があるんじゃないか。と少し思ってしまった自分が恥ずかしい。

でも、桜李のおかげで先程までのイラつきと泣きそうな気持ちが一気に吹き飛んだ。

これはこれでいいかもしれない。
だけど色んな人にそれをされるのは困る。
俺だけならいいと提案したがそうもいかなかった。

今はまだ俺だけの桜李じゃない。
桜李にとってはただの挨拶。
あいつらにしていても文句は言えない。

だから今だけ目を瞑っとこう。

そう思いながら桜李達を風紀委員室に連れて行った。
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