僕は伝説の神獣らしい

マグロ

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第一章

20 ジークサイド

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「おい。カインはどこだ」

「あ、ジークさんこんにちはー。団長なら部屋に…。あ!いや、ちょっと最近団長どこにいるか分からないんすよねー」

明らかに何かを隠そうとし、いきなり慌てだしたのを俺が見逃すはずがない。

「分かった。部屋だな」

とだけ言い、レオンの横を通り過ぎた。

後ろで、え!ちょっと待って!部屋にはいませんよー!!と叫んでいるがこっちは遊びでカインを探してるんじゃない。

最近、チョロチョロとどこかへ行くカインに苛立ちながらレオンの叫びを無視しカインの部屋へ向かった。

カインの部屋をノックすれば何を言ってるのか聞こえないが声がした。

入っていいのだろう。と文句を言いながら部屋に入ってみれば…。

開いた口が塞がらないとはこの事だ。

カインの部屋に居たのは、真っ白な耳とフサフサのしっぽを揺らしながらこちらを見る美しい人。

いや、今まで見てきた美しいと言われていた女性や可愛いと言われた女性達が霞むくらい完璧な美貌の……人型の神獣がいた。

思っていた事が口から出てしまったようだ。
そしたらその美しい神獣は挨拶をして来た。
声までも鈴を鳴らしているかのように美しい。

上から下までじっくり観察した。

触りたくなるような真っ白な耳。
こちらを見つめる瞳は虹色。
フサフサのしっぽは馬のしっぽのようだ。


見れば見る程、この美しい神獣に捕らわれていく感覚がした。
他人に興味のないこの俺でさえ、こうなんだ。
他の奴らが見たら狂うかもしれない…。



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