僕は伝説の神獣らしい

第一章

25

次の日の朝、日の出と共にカインは出立して行った。
それと同時に僕は誰にも気付かれないように細心の注意を払いながら森へと戻った。

森へ帰るとすぐにバルカとガイルがやって来た。

「お帰り。我が子よ」

「ただいま！しばらく帰って来なくてごめんなさい」

「よい。ルルももう18だ。自分の思ったように行動するがいい。だが、人間にはくれぐれも気をつけなさい」

「はい！」

それから３日ほど経った時、ピクッと僕の体が反応した。

顔を上げ空を見る。
雲1つない晴天。
だけど、僕の胸がザワザワと落ち着かない。
カインに何かあった…？

そう思うと居ても立っても居られなくなり獣化し飛び立つ。
獣化した方がカインのいる場所を特定しやすい。

一緒にいた神獣達が慌て始めていたが気にせずカインの元へ向かった。

飛び立ってからしばらくしてカインの匂いを捉えた。

上からカインを発見したがカインの状況に目を見開いた。

カインは血塗れになり倒れていたからだ。
カインの背中には3本の爪で引き裂かれた痕がある。
その近くには真っ黒で大きな口を開け、白目を向いている魔物が倒れていた。

恐らく、不意打ちで後ろから襲われたのだろう。
そしてカインが力を振り絞り、倒した魔物と同時に力尽きたようだ。

カインはもう息絶え絶えになっている。
周りの騎士団達も相当、重症を負っているようだ。

カインをこんな目にした魔物達に怒りが湧いた。
すぐさまカインの元へ向かう。

倒れているカインの前に守るように降り立った。

周りを見渡すと魔物と戦っている騎士団の人達もまだいるがほとんどは傷を負っており、辛そうに顔が歪めていた。

だが、僕が来た事により全騎士団が痛みを忘れ、心底驚いたような顔で動きを止めてしまった。
でも今はそれどころじゃない。

魔物は知性を持たないのだから人間が動きを止めていようと神獣が現れようと関係なく襲いに来る。

来てみて思ったが魔物の数が異常だ。
第一、第ニ騎士団及び隣国の騎士団が一丸となって戦っているにも関わらず一向に魔物が減る様子はない。
憎き魔物め。あの世に落としてやる。
そんな事を思いながら辺りを見回していた時。


「ル…ル…？」

「カイン…。もう大丈夫だよ。僕が助けるからね」

そう言ってこちらに向かって来る魔物達と騎士団が戦っている魔物達を見やる。