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第1章
9 妹とお出かけと死神業
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週末の土曜日。
私と麻彩は、朝から隣の県にある乗馬クラブへ車で向かっていた。車は実家である本邸から出してもらっている。私は東京に帰ってきた時でも、三ヶ月に一度くらいしか行かないが、麻彩は月に二回くらいは通っているようである。
乗馬はお金持ちがやるスポーツなイメージがあるが、世間のイメージよりは金額はかからないのではないだろうか。一般的な家庭の親子で乗馬されている方もいるからだ。
確かに入会金はそこそこかかるものの、それ以外では麻彩は月二回しか通っていないので月会費を支払うくらい。場所によっては一日だけのプランもある。あとは騎乗料が必要なのと、人によっては指導料がかかったりするだろうか。どうしても必要な道具は最初に買うだろうが、すべて買い揃えなくてもレンタルもできるし、道具を全て揃えたい希望などがない限り、レンタルで済ませてしまえばいい。うちは馬主ではないので、馬は持っていないが、馬は借りられる。
乗馬より年間費用が高い習い事というはゴロゴロあるし、一般的なイメージよりは高くないと思う。まあ、どこの乗馬クラブに通うのかは、きちんと選んだ方がいい、というのはあるけれど。
うちは気楽にのんびりと乗りたいので、家族経営の乗馬クラブに通っている。
私も麻彩も乗馬は好きなので、小さいころから楽しんでいる。自然の中を走るのも気持ちいいし、馬も可愛い。麻彩は馬の競技会などには興味はないので、二人でのんびりと楽しむのだ。
乗馬を楽しんだ土曜の夜、麻彩と家のリビングで話をしていたところ、死神業に関する情報が入ってきた。いつもそれは決まって夜。三日から五日に一度ほど。
頭の中に流れる情報を、私はスマホに声でメモしていく。その間、麻彩はじっと私の横でスマホにメモされていく情報を見ていた。
「津川茂、荒川区、九十二歳、老衰、青年時窃盗」
「藤田順子、墨田区、五十三歳、病死、少女時の嘘」
「新井大樹、北区、二十六歳、事故死、横恋慕」
私が声を出すたび、スマホに文字が入力されていく。このメモは、数日中に亡くなった人の名前、息を引き取った場所、年齢、大まかな死因、本人が抱える罪、である。本当は頭の中にもう少し詳しい情報も流れるのだが、不要な情報も多いため、最近ではこれくらいしかメモしていない。
その後も数名メモしていき、その日の死神業は終わりである。
土曜はそんなこんなで、一日が過ぎて行った。
次の日の日曜日。
麻彩の買い物に付き合うのと、私が帝国へ帰る時に持ち帰る物を購入する日だった。
午前中は麻彩が買いたい服とバッグと靴を見て回り、午後は私が欲しい化粧品とお土産用のお菓子や食品を購入していく。
そしてあっという間に夕方になり、私たちは家に帰宅した。
家で帝国に帰る支度をし、麻彩を連れて二十九階の倉庫へ移動する。
倉庫には、総括の水野に頼んであったものが大量に台車に乗っていた。物品リストも置いてある。こちらに来る時は台車は八台だったけれど、帝国に帰る時は十二台である。列が長い。そこに一台台車を付けたし、スーツケースと今日購入したものを全て乗せる。
「じゃあ帰るね、まーちゃん」
「うん。あ、これ、ユリ兄に渡してくれる?」
「USBメモリね。オッケー」
兄からはUSBメモリは昨日の夜渡された。
麻彩は少し、むすっとした表情をしている。いつも私が帝都に帰る日はこんな顔である。私は麻彩の両頬を両手で包んだ。
「次は二週間後に会いましょう。今度は一週間くらいいるから」
「ん。今度は『歌ってみた』もやるからね?」
「分かった。どんなのにするか、考えておいて」
『歌ってみた』の撮影は、私もいつも手伝っているのだ。
片方の手を麻彩の頬から取り、頬にキスをする。
「またね」
私は麻彩に手を振りながら、台車を引きつつ壁の中へ消えていくのだった。
私と麻彩は、朝から隣の県にある乗馬クラブへ車で向かっていた。車は実家である本邸から出してもらっている。私は東京に帰ってきた時でも、三ヶ月に一度くらいしか行かないが、麻彩は月に二回くらいは通っているようである。
乗馬はお金持ちがやるスポーツなイメージがあるが、世間のイメージよりは金額はかからないのではないだろうか。一般的な家庭の親子で乗馬されている方もいるからだ。
確かに入会金はそこそこかかるものの、それ以外では麻彩は月二回しか通っていないので月会費を支払うくらい。場所によっては一日だけのプランもある。あとは騎乗料が必要なのと、人によっては指導料がかかったりするだろうか。どうしても必要な道具は最初に買うだろうが、すべて買い揃えなくてもレンタルもできるし、道具を全て揃えたい希望などがない限り、レンタルで済ませてしまえばいい。うちは馬主ではないので、馬は持っていないが、馬は借りられる。
乗馬より年間費用が高い習い事というはゴロゴロあるし、一般的なイメージよりは高くないと思う。まあ、どこの乗馬クラブに通うのかは、きちんと選んだ方がいい、というのはあるけれど。
うちは気楽にのんびりと乗りたいので、家族経営の乗馬クラブに通っている。
私も麻彩も乗馬は好きなので、小さいころから楽しんでいる。自然の中を走るのも気持ちいいし、馬も可愛い。麻彩は馬の競技会などには興味はないので、二人でのんびりと楽しむのだ。
乗馬を楽しんだ土曜の夜、麻彩と家のリビングで話をしていたところ、死神業に関する情報が入ってきた。いつもそれは決まって夜。三日から五日に一度ほど。
頭の中に流れる情報を、私はスマホに声でメモしていく。その間、麻彩はじっと私の横でスマホにメモされていく情報を見ていた。
「津川茂、荒川区、九十二歳、老衰、青年時窃盗」
「藤田順子、墨田区、五十三歳、病死、少女時の嘘」
「新井大樹、北区、二十六歳、事故死、横恋慕」
私が声を出すたび、スマホに文字が入力されていく。このメモは、数日中に亡くなった人の名前、息を引き取った場所、年齢、大まかな死因、本人が抱える罪、である。本当は頭の中にもう少し詳しい情報も流れるのだが、不要な情報も多いため、最近ではこれくらいしかメモしていない。
その後も数名メモしていき、その日の死神業は終わりである。
土曜はそんなこんなで、一日が過ぎて行った。
次の日の日曜日。
麻彩の買い物に付き合うのと、私が帝国へ帰る時に持ち帰る物を購入する日だった。
午前中は麻彩が買いたい服とバッグと靴を見て回り、午後は私が欲しい化粧品とお土産用のお菓子や食品を購入していく。
そしてあっという間に夕方になり、私たちは家に帰宅した。
家で帝国に帰る支度をし、麻彩を連れて二十九階の倉庫へ移動する。
倉庫には、総括の水野に頼んであったものが大量に台車に乗っていた。物品リストも置いてある。こちらに来る時は台車は八台だったけれど、帝国に帰る時は十二台である。列が長い。そこに一台台車を付けたし、スーツケースと今日購入したものを全て乗せる。
「じゃあ帰るね、まーちゃん」
「うん。あ、これ、ユリ兄に渡してくれる?」
「USBメモリね。オッケー」
兄からはUSBメモリは昨日の夜渡された。
麻彩は少し、むすっとした表情をしている。いつも私が帝都に帰る日はこんな顔である。私は麻彩の両頬を両手で包んだ。
「次は二週間後に会いましょう。今度は一週間くらいいるから」
「ん。今度は『歌ってみた』もやるからね?」
「分かった。どんなのにするか、考えておいて」
『歌ってみた』の撮影は、私もいつも手伝っているのだ。
片方の手を麻彩の頬から取り、頬にキスをする。
「またね」
私は麻彩に手を振りながら、台車を引きつつ壁の中へ消えていくのだった。
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