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続・元カレに脅されています
引っ越し当日
しおりを挟む「先輩、大丈夫ですか?」
引っ越し当日、そこまで荷物がなかった為、先輩の知り合いが車を出してくれた。のだが。
「アイツ、運転下手すぎ…、酔ったし…」
「あはは、俺、乗らなくてよかったです~」
「んだよソレ、俺だけ最悪じゃん」
「…そうでもないですよ」
「ん?なに?」
「あの人…仲いいんですね。大学でもよくいっしょに居るって」
「ははっ…なに、ヤキモチ?」
冗談混じりで聞かれ、素直に肯定してしまう。
「…かわいーじゃん」
「っ…もう、いいです!俺、荷物っ…」
「恭弥。…おいで?」
ポンポン、と膝の上を叩きながらこちらを面白そうに見てくる。
「……ん…」
「…あー…本当、お前ってかわいすぎだろっ…!」
ぎゅー、と抱きしめてくる先輩が熱く感じる。
「…熱い」
「そりゃそうだろ。お前のこと好きすぎるからさ」
「…恥ずかしいことサラッと言わないでください…!」
「だってかわいいじゃん、ヤキモチとか。それも、ただの大学の友達に…さ?」
「っ~…!」
「…恭弥…」
名前を呼ばれ、思わず振り返ると目の前に悠の顔がある。
「んっ……」
「…ダメ?」
「…まだ昼ですよ」
「もうすぐ夕方になるよ」
「片付け残ってる」
「後で手伝うからさ?」
承諾の言葉を発する前に、ズボンの中へ手を突っ込んでくる。
「ちょっ…」
「…だーめ?」
「……いっかい…だけ、なら…」
「ん、肝に銘じておく♪」
(…あ、これ絶対終わんないな…)
いっかいじゃ済まないと分かっていながらも条件を出し、絶対終わらないと知りながらも承諾してしまう俺は本当に、どうかしているんだと思う。
「…ていうかさー」
「はい?」
「嫉妬しまくってんの、俺の方なんだけど。お前の周りの全部に」
「全部?」
「これから先どんなに重すぎても絶対、逃げようなんて思うなよ」
「…あんたが重いのなんて知ってますよ、ずっと前から」
まだ何か余計なことを言おうとしている口を塞いでやる。
「んむっ、……ちょ、恭弥さーん…」
「…逃げるわけないでしょ。俺だって同じくらい重いんだから」
そう言い切った後、先輩は笑ってただひと言。
「ん、俺って本当幸せもんだわ」
そう、消え入るようで聞こえるように伝えてくれたから…しばらく、いや…少なくとも十年はこの気持ちに冷めることはないだろう。
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