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続・元カレに脅されています
終わりを告げられる前に
しおりを挟む「終わりにしましょうか」
花音と会話をしてから二週間。悠がしばらく家に帰ってこなかった間、これ以上ないというほど考えた。
そして、一つの結論。
「もう、…疲れたんです」
いつしか思っていたその言葉は、案外簡単に口から流れ出た。
「…終わりって、」
「別れましょう。正直、俺もう悠さんとやっていける自信、ありません」
「意味が分からない」
大切な話がある。その大切な話、距離を置こうってことじゃないんですか?
終わりを告げられて、立ち直れなくなるくらいなら。忘れられる、くらいなら…俺は。
「他に好きな人ができたんです」
これ以上ないくらいの傷を、つけることは叶わなくても。ほんの少しでいい。アンタが、俺を忘れられないような、些細な傷を、俺が。
「その人と上手くいきそうなので、別れてもらえませんか」
「…嘘つくな」
「嘘じゃないです」
「なら、誰だよ。言ってみろよ」
もっと動揺してくれると思ったんだけどなぁ、なんて考える。本当に、俺のことどうでも良くなったのか。
「…見当、つかないでしょ?そりゃそうだよね、悠さんは俺のことほとんど知らないんだから」
「恭弥?」
「俺も悠さんのこと、何も知らない。家にいても会えなくて、オマケに婚約者がいることまで他人から聞かされて」
「…なんで、お前がそのこと」
あぁ、やっぱり本当なんだ。
「おい、なんでっ…!」
「暇つぶしや同情で付き合ってもらうほど、落ちぶれてないんですよ」
トンっとソファの上に押し倒す。
「ね、久しぶりだよね。…シャワー、浴びたばっかりだし?」
小さな、小さな傷でいい。
俺の熱を、消えないように、目に焼き付けさせてやる。
「…最後の暇つぶし、しようか?」
絶対、許さない。俺がいなくなった後、後悔させてやる。失うんじゃなかったって思わせて、絶対ー…。
朝方、家から近くのコンビニの角で、交通事故があった。
酔っ払い運転に轢かれた大学生は、意識不明の重体で救急搬送された。
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