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偶然or運命
しおりを挟む親友で腐れ縁の海斗からの、世間話だった。
「藤堂先生に久しぶりに会ったんだよな」
「ーーどこで?」
その話題に食い付いたのが気に入ったのか、海斗はふふんと笑った。
「この前さ、旅行のおみやげ渡したじゃん。神奈川の」
「あ、あぁ…」
「その時に、偶々見かけてさ。あの人ってすごい童顔だったろ?そんで、すぐに分かって。なんかお前に良く似た人といたんだけど」
その言葉で、すぐに分かる。
「それって、この人?」
携帯から響也の写真を出して見せる。
「あ、そうそう、こんな感じのーー知り合い?」
「…んだよ、それ…」
兄の話を嘘だと思った訳ではない。けれどどうして俺から離れたくせに、兄さんに会っているのか。
「おーい、達也ぁ?」
「……んだよ…」
もう忘れた。だから好きなんて感情はもうない。けれどこんなにも、胸が痛い。どうして離れていったのか分からない。何故、どうして。
そんなこんなで。
気がついたら俺は神奈川まで電車を乗り継いで、立っていた。何の情報もなしに来て、ただ立ち呆けていた。
けれどこれも運命っていうのかな?
「ーー達也…?」
偶然か、運命か。どちらの言葉がソレに相応しいのかは知らない。
「…なんで……」
「煌、ちゃん…」
でも、運命には出来ないんだと思った。そうするには遅すぎたから。
「…友達が、煌ちゃんのこと見かけたって」
駅から割と近くのカフェに誘ったのは、意外にも煌の方だった。
「へぇ。高校のヤツ?」
「……そうだよ。兄さんとしょっちゅう会ってるんでしょ?ソイツが見かけたくらいなんだから」
「響也は…まぁ、会うけど」
「付き合ってるんでしょ?」
何とも思ってないのに、違うと否定してほしい。
「ーー付き合ってるよ」
……ほら。俺は、なにを期待してた?
「…あっそ。俺、結婚することになったから」
「聞いたよ。おめでと」
イラつく。散々この人に振り回されて、俺は。
「煌ちゃんってさ、ほんとサイテーだよね」
「…は?」
「兄さんと付き合いたいから、こうやって無理矢理離れたんだろ?別に俺、別れてって言われたら別れてたけど?」
嘘だ。別れられたはずがない。わかってる。
「…そうだな。ちゃんと言えば良かった。ごめん、俺、響也のこと好きなんだ」
どうしてこんなにも心が引き裂かれたような気持ちになるんだろう。
「…帰る」
何を話したのか、数秒前のことですら頭に刻まれていなかった。
「駅まで送ろうか?」
「…好きにすれば」
頭が痛い。勝手に自分を好きになってくれたのだと思ったあの頃が馬鹿みたいだ。
「……今、何やってんの?」
「…相変わらず。こっちの学校で、教師やってるよ」
「あっそ…」
またね、なんて言葉はない。
だから改札に入って、電車に乗り込んだ時だ。
「俺、ちゃんと達也のこと好きだったよ」
背後から聞こえた言葉に、思わず振り向いた。
そしたら煌ちゃんは笑って、振り返って歩き出した。
「煌ちゃ、」
飛び降りようとして、数秒足りなかった。目の前で扉が閉まり、電車が動き出した。
「んだよ、それ…」
どうして帰り際に、そんなことを言ったのか。それは分からない。だって好きでいてくれたなら、離れる理由なんてなかったハズだ。なのに。
昔から、あの人を理解しようとすればするほど、逆に頭を悩まされる。
本当、理解不能な人だ。
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