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それぞれの行方

クラスメイトの現状⑦

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 宗教大国ロマリス とある教会

 児玉萌《こだまもえ》の目の前には修道着を身に纏った人々が膝をついて彼女に祈りを捧げている。

「聖女様…私の息子が先ほど、木から落ちて大怪我をしてしまいました。
 どうか…お助けいただけないでしょうか?」

「ええ、構いませんよ。困っている人を助けるのは我々の役目ですから。
 聖羅ちゃん、お願い。」

「ああ、わかっている。」

 稲上聖羅《いながみせいら》の手から白い魔力が溢れ出す。
 その魔力は子供の体を覆うように広がり、怪我が瞬く間に治っていく。

「おお、奇跡…奇跡だ!我々は目の前で奇跡を見ているぞ!」
「まさしく、神の使いそのもの…」
「素晴らしい…さすがは神に仕えし聖女様だ。」

 その光景を見ていた教徒一同が奇跡といい称える。

「皆さん、お静かに…我々は神の声を聴いてこの地にやってきました。
 みなさんをお救いするために。
 困ったことがあったらいつでも声を掛けて下さい。
 私たちは皆さんの味方です。」

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「しっかし萌、あんたよくあんなこと出来るわね。」

「永久ちゃんもやってみたら?案外楽しいよ、教祖ごっこ。」

「あれは萌の『魅了』があって初めて出来る芸当じゃん。
 私たちが真似したところで出来ないっつーの。」

「確かに、環の言う通りだ。
 それにしても、教団を乗っ取ろうだなんて…よくそんな事が思いついたな。
 さすが紗耶香だよ。学年一勉強が出来るだけの事はある。」

「この国の人たちはどうやら私たちの事を利用する気しかないみたいでしたからね。
 逆に利用させてもらう事にしただけですよ。
 それに、この作戦は皆さんが協力してくれたからこそ出来たのです。」

「たしかにあん時は正直ビビったね。
 神への贄だーとかいって追いかけまわして来るし。
 紗耶香が居なかったら捕まってたかも知んないよ。」

「いえいえ、それを言うなら永久さんがいなければ奴らを倒す事も出来ませんでしたよ。『永遠《エターナル》』のスキルの力は素晴らしいです。まさか、たった一撃で全員倒してしまうとは…」

「確かにあれは反則だって。永久に魔法を教えた元教祖も馬鹿だったよね。
 まさか、自分が教えた魔法でやられる事になるなんて考えてなかったーって顔してたよ。あれはマジウケたわ。」

「言葉の響きは強そうだったけど、魔法覚えるまではなにも出来なかったのにさ。
 一つ覚えただけで皆より強くなっちゃうんだもん。流石リーダーって感じだね。」

 久野永久のスキル『永遠《エターナル》』その能力は、久野の意識がある限り、無尽蔵の魔力を生み出す事が出来るスキル。
 久野が覚えたスキルは炎系統の初級魔法、火球《ファイヤーボール》。文字通り、サッカーボール程の火の玉を飛ばす魔法なのだが、彼女が使えば別物へと進化する。
 無尽蔵に溢れ出す魔力に影響された魔法はサッカーボール程の大きさから直径約3メートル、人一人など容易に覆えるほどの大きさの火球へと変わる。
 その上、使っている魔法は初級の為、詠唱も短く連発が可能となる。
 久野は火球を連発するだけで、この国で最大権力を握っていた教祖を迎撃する事に成功した。

 その後は児玉萌のスキル『魅了《チャーム》』を使い、信仰深い住民たちを勇者たちの虜にする。
 こうしてロマリス王国は人知れず久野班の手に落ちていた。
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