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リスランダからの脱出

一対一

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「俺の団は元犯罪者の集まりだからよぉ。
 力はあるんだが馬鹿ばっかりなんだ。
 さっきお前らセルジールの魔法使っただろ。
 あれ見て俺以外全員あそこに向かっちまって俺一人なんだ。」

「だからどうした。
 まさか、みんなが戻ってくるまで待ってくれなんて言うつもりじゃないだろうな。」

「早とちりすんなよ。むしろ逆だ。
 あいつらがいなくて助かった…
 俺の楽しみを取られちまうからなぁ。」

「気持ち悪りぃ…おい、クロエ。
 とっととこいつを片付けるぞ。
 2人でやればすぐに終わる。」

「待って!そいつのスキルは確かーー」

「二対一ってのは男の勝負じゃねえだろ。
 戦いってのはやっぱり一対一《タイマン》じゃねねとなあ!!」

 ギルから魔力が放たれ不思議な感覚に襲われと、次の瞬間先ほどまでいた場所とは打って変わって辺り一面何もないな不思議な空間に立っていた。

「…びき!響!」

 声がする方を見るがそこにはクロエの姿があるが、俺と同じように閉じ込められている。

「俺のスキル『死闘《デッドファイト》』は任意の相手をこの空間内に閉じ込め、強制的に俺と勝負させることが出来る。
 この俺を倒す以外に抜け出す方法もない。
 閉じ込める人数にも指定はないが、俺は閉じ込めた相手とは必ず戦う必要があるんで多く閉じ込めすぎるとその分負ける確率が上がってしまうのが弱点だとほざく輩もいるが俺にとっちゃご褒美でしかねえ。
 クロエ…俺は楽しみはとっておくタイプでよぉ、このクソ勇者を倒した後はお前だ。」

「ふん、響を甘く見てると痛い目に合うかもよ。」

「はっ!勇者ってのはスキルに溺れた雑魚の事を言うんだ。
 最近任務で殺せって言われてよぉ。
 一人殺したんだがどうにも歯ごたえがなさ過ぎて気分が乗らなかったんだ。
 たしか…寧々島とか言ってたっけな。」

 寧々島…そうか…あいつやられたのか。
 前から薄々気付いてはいたがどうしても確認しなければいけない。

「どうした。もしかして友達だったか?
 そりゃあ悪い事したなあ…
 かたき討ちでもやってみるか?」

「一つ確認したいことがある。
 この国…いや、この世界に魔王なんてものは存在しているのか?
 半年程度旅を続けていたが、侵攻を受けていると言っていた割にはどの村にも襲われた形跡はない。
 街の人々が噂しているのは耳にしたことがあるが、実際に被害に合っているのを見たことがない。
 …なあ、お前ら。
 まさか、この国の人々すら騙してるわけじゃねえよな。」

「………なるほどね。
 セルジールがお前を消したがるわけだ。」

「その返事は肯定とみなすぞ。」

「だったらどうした。
 どうせお前はここで終わりだ。
 何を知ろうと意味はねえ。」

 ギルが剣を振りかざす襲い掛かる。
 だが、音宮は先ほどフロストフェンリルと戦っていた。
 ギルの動きはフロストフェンリルよりも格段に遅い。
 その程度の動きは見るまでもなく対処できる。
 ギルの剣戟を避けながら懐に入れていた短刀を取り出す。

「そんなちっぽけな刀じゃこの俺を切ることは出来ねえぞ!」

 ギルの剣と音宮の短刀がぶつかり合う。

「今の俺は機嫌が悪い。
 止めるなら今の内だぞ。」

「なに言ってやがる。
 これからが楽しいんじゃねえか!」

「忠告はしたからな。」

 音宮がスキルを使い、短刀を超振動ブレードへと変化させた。
 すると、短刀はギルの剣を折り、勢いそのままに鎧ごと体を切り裂いた。
 ギルの鮮血が宙を舞い、ギルの体はそのまま崩れ落ちていく。

「だから言ったろ、機嫌悪いって。」
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