失われる未来を救けて

アホウドリ

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現代編

僕は『未来』を視ることができる

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 僕は『未来』を視ることができる。

 この左目でだ。

 この能力のことを『未来視』と呼んでいる。

 僕が視る『未来』は、改変することができるため、とても便利な能力だ。

 数ヶ月前、部活の一環で、「好きな人に告白したいんだけど、相手の気持ちが知りたい」と頼まれたことがある。そこで視た『未来』は、残念ながらこっ酷く振られるというものだった。それを踏まえて、部員の仲間と、「どうすれば相手をその気にさせられるか」と話し合い、相談者にちょっとしたアドバイスをしてみた。その結果、見事結ばれたという報告を貰ったのだ。

 このように、『未来』を変えることができる。すごく簡単に言うと、『未来』がある特定の事象に必ず収束する。ということはないのである。

 僕が『未来視』をし、何かしらの対処をすると結果を変えられる。バタフライ効果という言葉があるが、小さな意識を変えるだけで、大幅に『未来』が変わるようだ。

 しかし、ここが肝心なのだが、なぜか自分の『未来』を視ることができない。僕がこれから起こす行動を知ることができないとは何のための能力なのだろうか。

 なんと不便な能力なのか。

 一度、「自分に『未来視』を使えない腹いせに、宝くじでぼろ儲けしてやる!」と意気込み、テレビに映っていた運営側の人間に『未来視』をし、当選番号を知ったことがあった。そしてそれを妹に伝え、「絶対に一等が当たる宝くじの番号を知っているから、買ってきてくれないか」と頼んでみたことがある。すると彼女は、犬の糞でも見るかのような見下した目をして、「え、いやだ」と断ってきた。

 一体どうしてなのだろうか。一等は欲張りすぎだったのか。現実的な問題として、三等辺りにしておけば良かったのだろうと今では後悔している。

 そして、この能力は生まれたときから備わっていたわけではない。

 能力を得たきっかけには、父さんの死が関係している。

 僕は父さんが大好きだった。

 父さんは中学の教師だった。

 背が高く筋骨隆々なため、厳格に見られることがよくあったそうで、事実、生徒に対しては厳しく接していたらしい。しかし、如何せん愛想が良かったためか、生徒からはとても好かれていて、人気な教師だったそうだ。

 そして、僕の母さんは父さんの教え子だった。

 そんな母さんも、御多分に漏れず父さんを好いていた。しかも、その好意は一教師としてではなく、一人の男性としてだった。

 昔、父さんから付き合い始めたきっかけを聞いてみたことがある。
 


 父さんはその当時、図書委員を担当する教師だったそうで、母さんも、父さん目的で図書委員に入っていた。

 いつものように、図書室へと様子を見に行ってみると、母さんはどうやら仕事の暇を持て余していたためか、勉強をしていた。

 すると、父さんの姿を認めた母さんはそれを好機とみたのか、「先生、勉強教えてくれませんか」と頼んできたそうだ。

 もちろん父さんは教師なため、教え子の頼みを無下ににするわけにはいかないと思ったのだろう、承諾することに決めたそうだ。

 その日からというもの、昼休みと放課後になると、母さんの勉強の面倒を見るようになった。

 しばらく経ったある日、期末試験が近づいた時期だった。いつものように勉強を教えていると、母さんの方からふと話を持ち掛けてきた。

「先生、もしも私がクラスで一位を取ったらで良いんだけどさ」

 もじもじとして、頬を赤らめた母さんは、何かを言おうとして見えたらしい。

「私と付き合ってくれないかなーって」

 あまりにも突然だったたため驚いてしまったが、それを約束して成績が上がるならば、建前でも了承しておいた方が良いと考えた父さんは、オーケーをしたそうだ。それからというもの、母さんは猛勉強を始めた。

 そして、いざ期末試験を終えるとなんと、ダントツのトップをもぎ取ってしまったようだ。

 そんな父さんは、例え約束が建前のつもりでも、了承してしまった以上、無下にするのは可哀想、自分のために頑張ったというのに、今更断るというわけにもいかないと思った。

 しかし、最大の難点として、教師と中学生が付き合うというのは倫理的に大問題だ。

 そうして父さんは、妥協案として、高校を卒業してもまだ自分を好いていたならば、付き合っても良いと提案した。

 そして、三年が経った高校卒業式の日、母さんは中学校の空き教室へと呼び出し、「付き合ってください」と、告白したそうだ。

 もちろん、父さんは約束に従った。



 というような話をしてくれた。

 その後の大恋愛の話は恥ずかしがってか、あまり話してくれない。しかし、さぞかし幸せだったのだろうと思う。

 そんな母さんは、僕ら兄妹を産んですぐに、亡くなってしまった。 

 そして、昨年の末、父さんも亡くなってしまった。

 父さんは、母さんが亡くなってからというもの再婚せず、一人きりで僕らを育ててくれた。僕は妹と一緒に高校進学を期に実家を離れ、東京へと上京していた。妹がもしかしてと話してくれたのだが、その頃一人きりでいた父さんは、どうやら極度の孤独感に駆られていたかもしれないとのことだ。警察の捜査によると、孤独のあまりやけになって大量の飲酒をし、自分の腕を切ってしまったということで、自殺と見られているらしい。

 父さんをきっかけに、やりきれない気持ちに苛まれていた僕は、

「もしも、僕が『未来』さえ視えていれば、こんなことにはならなかったのに」

 と神に願った。すると、この『未来視』の能力を得たのだった。



「にいさーん、起きてー朝だよー」

 まどろみの中、妹の声が聞こえる。ドアノブを開く音が聞こえ、妹が僕の部屋に入ってくる音がした。

「兄さんあけるよー」

 眠気が覚めない中、目蓋を開けてみると、左に見えるカーテンの隙間から、朝日がのぞいていた。いまいち見えづらかったため、光をよく確かめようと体を少し上げた。この太陽の位置だと、今はだいたい七時くらいだろうか。あと三十分ほどは寝られるはず。

 もう一度寝るため体を倒し、元の体勢に戻って目蓋を閉じた。念のため、まだ寝られるのだから寝させてくれという旨を言っておくことにする。

「ちょっと待ってくれ、まだそのときじゃない気がするんだ」

 そこでふと、枕元に置いてある携帯電話を確認してみると、現在の時刻は八時四十分だった。予想が大幅に外れたみたいだ。今は朝だから仕方ないな。朝は誰でも脳の働きが鈍くなるのだろう。しかし学校の始まる時間は九時。このままでは間に合わない。そろそろ起きることにしよう。

「はいはい、待っておくれよ」

「まだ寝ぼけてるんじゃないの? 馬鹿も休み休み言って、早く起きて!」

 こう言うと、寝ぼけた僕を起こすためか、肩を大きく揺すってきた。そのお陰でパッチリと目が覚めた。

 僕の名前は石岡浩ひろ。十七歳。東京にある矢張高校という学校に通っている二年生だ。

 母さんはいない。父さんもいない。母さんは幼い頃病気で亡くなり、父さんも昨年の末に亡くなってしまった。現在は妹と僕の二人暮らし。

 高校進学を期に、妹と一緒に東京へ上京してきたのだ。実家は山梨県の東側にある小さな村だった。その地区には高校がなかったので、電車通学でわざわざ遠い高校に通うより、いっそのこと上京しようと思い立ち、今に至る。

 そして、この可愛い妹の名前は石岡美玖いしおかみく。僕と同じ十七歳だ。ちなみに高校では同じクラスでもある。兄弟で一緒というのも珍しいだろうが、私立だから自由なのだろう。

 平均程度の身長の僕より一回りと少し小柄だが、アイドルのような可愛らしい目鼻立ちをしていて、茶色な髪の毛をいつもポニーテールにしている。

 美玖はとても可愛い子なので、この子のことを放っておく男などいないのだろう。同級生からは頻繁に汚れた好意をぶつけられるようだ。事実、下駄箱にラブレターが入っていることなどは日常茶飯事なようで。

 僕は大切な美玖のため、そんな手紙を妹に見せるわけにはいかないと思い、シュレッダーでもこれほど小さくできないだろうという小ささまで破り捨てた。だいたいどこの馬の骨かもわからない醜悪な野郎どもに美玖を任せるわけがないだろう。僕は絶対に許さない。

 美玖をここまで完璧な存在に生んでくれた両親には感謝をしてもしきれない。

「何してんの?」

「神に感謝していたんだよ」

「もー何言ってんだか、朝ごはん超特急で食べちゃってよね」

 美玖を見て思った。

 お前はずっと優しい子のままでいてくれよな。

 そのときふと、もしも美玖がいなくなってしまったときのことを考えてみた。

 事故やら病気やら、考えたくもないが、父さんや母さんのように僕の前からいなくなりでもしたら……と考えたところでこんなことはやめようと決めた。

 そんなことは絶対に起きてはならないし、起こさせない。そんなときのために『未来視』の能力があるのだ。絶対に妹を失くしてたまるか。

 さて、学校に行く準備をしよう。平和な日々を楽しもうではないか。



「おはよう」

 とりあえず学校には間に合った。

「ヒロくーん、おはようございますー」

 僕の席は、外を眺められる教室左の窓側、前から三番目の席だ。僕は担任の先生に直談判をし、特別扱いを受けていて、例えクラスで席替えがあってもずっとこの固定席を維持している。そして、その右隣の席に座りながら、元気良く挨拶してくる子がいる。僕は自分の席に着くと、鞄から教科書を出しながら彼女に向いた。

「おはよう、未来。今日もグッドだ」

「今日も遅いですね、大丈夫ですか? 今日も一日一緒にがんばりましょうね」

「おう、いつもありがとうな」

 この子は咲美未来さきみみらい。一学年後輩の女の子で、同じ部活の部員だ。

 とても可愛らしい容姿をしている。どうやら学力は学年トップクラスであるらしく、なんとこの矢張高校には特待生で入学したらしい。そして、顔は妹に似ている。とても妹に似ているのだ。この子は非常に妹と似ている。性格はあまり似ていないが。

 美玖は活発な女の子で、未来はゆるふわな雰囲気の女の子だ。美玖はポニーテールのロングだが、未来はボブヘアで、ここで見た目を統一されたら区別ができない自信がある。それくらい似ている。世界には同じ顔の人間が三人いるとよく言うが、その一人とぱったり出くわしたみたいだ。

しかし最近気づいたのだが、近くで未来の顔をじっくりと見てみると、少しの違いはわかるようになってきた。それでもやはり似ていると思うが。

 あまりにも顔が似ているので、僕は一度聞いてみたことがある。



 三ヶ月前。

「未来と美玖っていくらなんでも似すぎじゃないか。もしかして実の姉妹だったりしないか?」

「えーそんなわけないですよ~ちなみに、ヒロくんと美玖ちゃんの両親の血液型ってなんですか?」

「え、突然どうしたんだ。二人ともA型だけど」

「じゃあ、ヒロくんと美玖ちゃんはどうですか?」

「僕がA型で、美玖がO型だ」

「それじゃあ、わたしと美玖ちゃんは実の姉妹じゃないですね」

「え、なんで?」

「そうですね、細かい説明は省きますけど、A型の両親からはA型かO型しか生まれないんですよ」

「そうか、それで未来は何型なんだ?」

「わたしはAB型です」

「なるほど、つまり同じA型とA型からはAB型は生まれないから、実の姉妹じゃないということだな」

「うんうん。それに、わたしはヒロくんの後輩ですよ。確か、ヒロくんと美玖ちゃんのお母さんは、美玖ちゃんを出産してすぐに亡くなっちゃったそうですね。もし、わたしが二人のお母さんの隠し子か何かだとしたら、わざわざ未来にタイムスリップしてわたしを出産したというありえない状況になりますよ」

「は、はい」

 と盛大に論破されたのだった。



「未来は早く教室に戻らなくていいのか」

「ヒロくんに会いに来ましたからね、今朝の目的は果たしましたし、もう帰るところなのです」

 未来は何の恥じらいもなく言った。

「今日も部活だからな。サボらず来いよな」

「私がサボったことがありましたか? どちらかというと、ヒロくんにその言葉を言いたいくらいですよ」

 言われてしまった。僕らは部活に入っていて、僕を始め、美玖、未来、もう一人の社陸聡という男を加えた四人で活動している。部活動の名前は、人生相談部。主に、僕の『未来視』の能力を使って相談を受けるという、いたってシンプルな部活動だ。最近は客足が遠のいているので、少し面倒になりサボることがある。

「今日は行くからさ」

「そうですか、楽しみに待ってますね!」

 未来は嬉しそうな笑顔でそう言い、手を振って出て行った。

「未来は可愛いなぁ」

 未来はとても良い子だ。なんせ、僕と仲良くしてくれるから。

「君らは本当に仲が良いよな」

 僕と未来の会話が終わったのを見たためか、遠くから歩いて来た一人の男が話し掛けてきた。

「そうだろ、頑張った甲斐があったってものだよ」

 本当に頑張ったものだ。

「ところで、お前も今日は部活に来るのか」

「俺はヒロじゃないからな、部活には行くよ。まぁ、お前が来ないと何もできないんだけど。困ってる人を探すことくらいならできるからな」

 こいつの名前は、社陸聡しゃろくさとし。背丈は僕と同じくらいで、中学のときからの仲だ。社陸なんて姓を聞いたこともなかったので、当時の僕は偽名を疑った。担任の教員に問いただしてみると、「戸籍上も正真正銘の社陸となっておるぞ」と一蹴されてしまった。

 僕は未だに信じられないので、こいつの出生を疑っている。しかし、よくよく考えてみると、家の表札も社陸なのだから疑いようもない事実なのだ。ちなみに彼奴はどうやら推理小説が好きなようで、ホームズを嗜むこともあってかシャーロックとあだ名で呼んで欲しいそうだが、誰も呼んでいない。可哀想な自称ホームズ君だ。

 こいつは人生相談部では、僕の助手のような存在で、「これこれについて調べてくれないか」と頼むと、まるで馬車馬のように働いてくれる男だ。要はワトソン君のような存在だ。自分がないのだろうかこいつは。

「まぁ、僕はホームズのような人間だからな。人生相談部という名前を冠してはいるけれど、なんでも屋ではないのだよ。ちょっとくらい選り好みさせて欲しい」

 ちなみに僕はホームズの作品を読んだことがない。似たような形式の推理小説に触れたことはあるのだが、ホームズの性格はよく知らない。

「どうせ面倒なだけだろうが……だいたいお前は石岡って名前しておいて自称ホームズってどういうことなんだよ。大して推理はしないし、女装をするわけでもないし、小説書いてるわけでもないし。矛盾してるんじゃないか?」

「確かに。すると聡も社陸って名前をしておいて自称ワトソンじゃないか。シャーロックと呼んで貰いたがったり、ワトソンと呼んで貰いたがったりで忙しい奴だよなお前は」

「俺がいつ自称したよ。お前がいつも勝手に言ってるだけの話だろそれは。それに誰が好き好んでお前のために働くかよ」

 こいつは細かいところを気にする性格なのだ。

 ピーンポーンパーンポーン

 今日も楽しい一日が始まろうとしている。
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