追放されましたがマイペースなハーフエルフは今日も美味しい物を作る。

翔千

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不審者発見

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保護区SSS-D-921へと進むユージーンとジョン。
昼間に通った通路が昼とは一変してどこか、重々しい空気が流れている。
もう少しで目的地へ着こうとしたその時、

「ッッ!!!」

突然、ジョンが立ち止まり崩れるように膝を着いた。

「ジョン!!」

直ぐに、ジョンの元に駆け寄り、様子を見る。

「ッッ、・・・・だ、大丈夫、です。副隊長」

そう言うが、右手で鼻と口を押さえている。心無しかジョンの顔色が悪い。

「どうしたんだ」
「いえ、その、匂いが」
「匂い?」
「この先から、微かですが、鼻の奥が痺れるような、薬草・・・・いえ、これは薬品の匂いがします」
「・・・薬品」

部下の言葉に、険しい顔をするユージーン。
嗅覚に意識を集中して空気中を嗅ぐと、確かに微かな何かの匂いを感じる事が出来た。

「・・・・・ジョン大丈夫か?行けるか?」
「はい、大丈夫です。俺、少し鼻が良いもんで。・・・・・・でも、もう慣れたので大丈夫です」
「そうか、だが、無理をするな」
「はい!!」

まだ少し顔色は悪いがジョンはしっかりと立ち上がった。
少し気がかりだったが、優先すべきは、この先だ。

「兜をフルフェイスモードにしろ。少しは匂いも弱まる」
「了解」

装備してる兜をフルフェイスモードにする事で、さっきまで露になっていた顔面が覆われ、目の所だけ開いている形状に変形した。

「行くぞ」
「はい!!」

2人は再び駆け出す。

エンシェントドラゴンの保護区SSS-D-921に近づくにつれ、ユージーンの嗅覚にも刺激的な異臭の匂いがフルフェイスモードの兜越しにでも分かった。
昼間来た入り口目前で、ユージーンは隊で使われる片手手話でジョンに足音と気配を魔法で消すように指示する。
ジョンは指示に従い素早く魔法で気配と足音を消す。
ユージーンも足音を消し、保護区SSS-D-921の入り口の物陰に左右で分かれ隠れる。

そこは、昼間来た保護区SSS-D-921の筈なのに明らかに雰囲気が違った。
昼間保護区SSS-D-921に訪れた時は静寂でいて、まるで、真冬の夜の空気のように澄み切っていた。
だが、今は、空気が澱み、立ち込める異臭。同じ場所の筈だがとても同じ保護区SSS-D-921には思えなかった。

「・・・・・ゥッ」

鼻を刺すような異臭にジョンは無意識に兜の口の部分を押さえている。
薄暗い洞窟内を再現した保護区SSS-D-921には淡く光る岩が幾つかあり、かろうじて中の様子を伺う事ができた。
物陰に身を潜め、中の様子を伺うユージーン。

「ッ!!!」

ユージーンの目に写ったのはのは洞窟の奥、昼間、エンシェントドラゴン達が巣にしていた場所で、エンシェントドラゴン達が何か蔦のようなモノに絡め捕らえられ、地面に押さえつけられている姿だった。エンシェントドラゴン達は動いていなかった。
そして、その傍らには黒いローブを着た不審者が居た。フードを深く被り顔は見えない。
遠目だが、その手に鋭く光る何かいられていた。

「・・・・・・・・」

・・・・まさか・・・・・。

嫌な予感がユージーンの脳内を過ぎり、兜の中で嫌な汗がながれた。

ジョンはユージーンに続いて様子を伺おうと一歩踏み出そうとしたその時、

(・・・・・・ッ、ジョン、迂闊に動くな)

ユージーンが手話で静止を表し、ジョンを止める。

「ぇ、」
(地面に罠魔法が掛かっている。それに空気中には麻痺系の薬品が散布されている。迂闊に踏み入れれば、此方がやられる)
(!!、了解)

状況を理解したジョンはすぐに手話で答えた。

フルフェイスモードの兜を装備していた為、散布された薬品の影響は薄いようだが、洞窟の地面に雑に隠してある罠魔法の魔具を感知する事が出来た。

恐らく薬はここに来るまでの通路の中腹辺りから極々薄めながら散布されていただろう。
匂いに敏感なジョンがいなければ、此処に来るまでに徐々に散布された薬の影響を受け、今頃体が麻痺してまともな思考が働かなかっただろ。
ご丁寧に、鈍った思考で保護区SSS-D-921に踏み入れれば、仕掛けた罠魔法が発動して一網打尽と言う訳か。

(・・・・・ジョン、お前は風の魔法でこの空気中に散布された薬を纏め包囲し上に上げろ。俺は下の罠魔法を排除する。8秒で済ませるぞ)
(了解)
(行くぞ!!)

ユージーンの手話を合図に2人は保護区SSS-D-921へと足に踏み入れた。

「風壁!!」

ゴオオオ!!

ジョンが発動した風の魔法で淀んだ空気が一掃される。

「ハアアア!!!」

ユージーンの魔力を込めた右手の拳が地面を撃ち抜く。

ゴガガガガガァァァァ!!

撃ち抜かれた地面が一気に盛り上がり、乱雑に隠されていた罠魔法の魔具が飛び出した。

「闇よ!!」

ユージーンは飛び出した魔具を闇の魔法で包み込み無効化して行った。

薬と罠魔法の排除を手早く終え、目的の岩場まで一気に駆け抜ける。

岩陰に居た不審者がこちらに気づき、逃げる様に動き出す。
だが、

「結界魔法、鎖状捕縛『チェーン・キャッチ』!!」

すかさずユージーンが捕縛系魔法を放ち、結界魔法で出来た鎖が岩の間を走り抜け、不審者の右脚を捕らえた。

「!!、ぐあ!!?」

不審者は右脚を捕らえられ、その場に転倒。その隙に右脚を捕らえた鎖が両手、両脚を拘束した。

「流石、副隊長!!」

ジョンが称賛の声を上げた。

「油断するな!!すぐに身柄を確保しろ!!」
「は、はい!!」

ユージーンの鋭い叱責に、ジョンはすぐに倒れている不審者の元へ駆けつける。

「クソ!!離せ!!!」

黒いローブを纏った不審者は両手を後ろ手に、両脚も拘束され無様に岩だらけの地面転がりのたうち回っている。
ジョンは、のたうち回っている不審者の頭を手で背中を片膝で押さえつけ、動きを封じた。

「グハッ!!」
「不審者確保!!顔を見せろ!!」

ジョンは尚も逃げようともがく不審者の顔を隠していたフードを剥ぐ。
フードの下から現れたのは栗色の短髪。こちらを親の仇と言わんばかりに睨む栗色の眼。

「・・・・・・は?」

フードの下に隠された不審者の顔を見て、ジョンは固まった。

「・・・・・・・・マーク?」

そこにいたのは、自分達が探していた仲間。マークだった。
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