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初日
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そいつと出会った日は、土砂降りの雨が降っていた。
騒がしかった教室が静まり返る。残ったのは俺を呼ぶ先生の声だけ。
ガラガラ、と勢いよく扉を開ける。1番最初に目に入ったのは、これ程かというくらいに目を見開き、こちらを見る男子。
「…如月怜央です。東京から来ました。よろしくお願いします。」
軽く一礼すると、拍手とともにザワザワと話し声が聞こえ始める。
正直、こういうのはすごく苦手だ。転校生だなんて、しばらく注目の的になるだけではないか。
「じゃあ如月。お前の席はあそこだ。木崎、仲良くしてやれよ」
担任が指をさした場所は、先程の男子がいる席の右隣。
いや…窓側じゃないんすか。
そんな心の声がもれないように、鞄を持っていた手に力を込めた。
「えーと……木崎、さん?よろしくお願いします」
「紬で良いよ。よろしく」
近くで見ると、彼は男の俺から見ても、見惚れるほど綺麗だった。
艶やかな黒髪に、健康的かつ色白な肌。ぱっちり二重で少しつり目。
女の子らしさとはまた違う可愛さと男らしさ、そして美しさを兼ね揃えたまさに本物のイケメンだった。
「うわ…イケメンの隣かよ」
「ははっ、聞こえてるよ」
彼はとても楽しそうだった。初対面の、しかもこんな仏頂面の男と話してて何が楽しいんだか、俺にはよくわからない。
「じゃ、HRはこれで終わり。お前ら好きに質問でもしとけー」
チャイムと共に担任が教室を出ていく。
それと同時にクラスの殆どが俺のところに来た。…来てしまった。
「怜央くんて彼女いるのー?」
「ねぇ暇なら今日カラオケ行かない?」
「東京のどこ住んでたの?なんでこっち来たの??」
俺の周りには無数の女子達が。
化粧がケバかったり、香水がめちゃくちゃ強かったり……女慣れしていない俺からしたら、それはもう地獄のようだった。
俺の隣にはこんなにイケメンなやつがいるのに、何故そちらへ行かないのだろうか。本当に。
隣をちらりと見ると、やはりこちらを見て楽しそうに笑っていた。
「(こんなにかっこいいのに…)」
見た目からして男好きだろうと思われる女達は、彼ではなく俺を見る。勿論、このクラスの男子も。
俺よりもかっこよくてカリスマ性のありそうな、こいつじゃない。
「ごめ、引越しとか転校とか色々なれてなくて…少し一人の時間が欲しい……です」
俺が控えめにそう言うと、周りの子はみんな静まった。
嫌な静寂が続く。雨音しか聞こえないこの時間が、とても苦痛に思えた。
「そ、うだよね、ごめんね。いきなり話しかけちゃって」
「色々お話聞きたいから、明日良い?」
一瞬驚いたような顔をされたが、直ぐに笑顔にもとり、それぞれ自席へと戻って行った。
なんか…このクラスやりづらいかも。
騒がしかった教室が静まり返る。残ったのは俺を呼ぶ先生の声だけ。
ガラガラ、と勢いよく扉を開ける。1番最初に目に入ったのは、これ程かというくらいに目を見開き、こちらを見る男子。
「…如月怜央です。東京から来ました。よろしくお願いします。」
軽く一礼すると、拍手とともにザワザワと話し声が聞こえ始める。
正直、こういうのはすごく苦手だ。転校生だなんて、しばらく注目の的になるだけではないか。
「じゃあ如月。お前の席はあそこだ。木崎、仲良くしてやれよ」
担任が指をさした場所は、先程の男子がいる席の右隣。
いや…窓側じゃないんすか。
そんな心の声がもれないように、鞄を持っていた手に力を込めた。
「えーと……木崎、さん?よろしくお願いします」
「紬で良いよ。よろしく」
近くで見ると、彼は男の俺から見ても、見惚れるほど綺麗だった。
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女の子らしさとはまた違う可愛さと男らしさ、そして美しさを兼ね揃えたまさに本物のイケメンだった。
「うわ…イケメンの隣かよ」
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彼はとても楽しそうだった。初対面の、しかもこんな仏頂面の男と話してて何が楽しいんだか、俺にはよくわからない。
「じゃ、HRはこれで終わり。お前ら好きに質問でもしとけー」
チャイムと共に担任が教室を出ていく。
それと同時にクラスの殆どが俺のところに来た。…来てしまった。
「怜央くんて彼女いるのー?」
「ねぇ暇なら今日カラオケ行かない?」
「東京のどこ住んでたの?なんでこっち来たの??」
俺の周りには無数の女子達が。
化粧がケバかったり、香水がめちゃくちゃ強かったり……女慣れしていない俺からしたら、それはもう地獄のようだった。
俺の隣にはこんなにイケメンなやつがいるのに、何故そちらへ行かないのだろうか。本当に。
隣をちらりと見ると、やはりこちらを見て楽しそうに笑っていた。
「(こんなにかっこいいのに…)」
見た目からして男好きだろうと思われる女達は、彼ではなく俺を見る。勿論、このクラスの男子も。
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俺が控えめにそう言うと、周りの子はみんな静まった。
嫌な静寂が続く。雨音しか聞こえないこの時間が、とても苦痛に思えた。
「そ、うだよね、ごめんね。いきなり話しかけちゃって」
「色々お話聞きたいから、明日良い?」
一瞬驚いたような顔をされたが、直ぐに笑顔にもとり、それぞれ自席へと戻って行った。
なんか…このクラスやりづらいかも。
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