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連鎖
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このくそ忙しい時に商工会の集まりなんか出ていられるか。
イライラしながら長谷川が料亭に向かうと憮然とした表情の会長が腕を組んで座っている。
「最近不祥事が多すぎないか?」
水森たち集まった経営者連中が顔を見合わせる。
「わしにわかるように説明しろ」
パソコンを触ったこともない世代の老人に、ネット配信や暴露系YouTuberの存在を説明する。
「そんなもの見たことない」
何度同じ説明をしても会長は渋い顔しかしない。
長谷川は持っていたスマホで生配信のアーカイブを会長に見せるが「画面が小さくてわからん」と手で払った。
転がり落ちるスマホを長谷川は呆然としながら見つめている。
「最近はわしを差し置いて双竜会の若造に相談するものばかりだ。どいつもこいつも舐め腐って…」
時代についていけない老害より話の早いほうに泣きついたほうが傷は浅くてすむ。それが現実だがいつまでも自分が街の実力者と思い込んでいる人間より厄介なものはない。
スマホすら使いこなせない老人にどうやって説明しろというんだ。足が痺れるだけで時間の無駄だ。長谷川以下ここに集まる全員がそう思っている。それでも長谷川は粘り強く説明を繰り返していた。
「最近は何だ、メールだかで連絡してわしの所には来ない。昔は密に会議をして丁寧にプリントを作ったものだ。それが今はどうだ……全部…」
ごとり、と重い音がした。
それが人間の頭蓋骨が床にぶつかったものだと気が付くのに時間が必要だった。
「会長…!」
仰向けに倒れているのをようやく理解した連中が騒ぎ出す。
「落ち着け」
長谷川が全員を睨む。その迫力に負けてその場に拘束された連中を背後に、長谷川はかがんでじっと会長を見ていた。
思惑に気がついた水森が腕時計を見る。すでに経過した10分がとてつもなく長く感じた。
やがて地鳴りのようないびきが聞こえてきて、長谷川が救急車を呼んだ。
「佐伯は?」
「開店準備の最終段階でヘルプに行ってもらっている」
「そうか」
なぜこんな時に水森がそんな事を聞いてきたのかわからないが、サイレンが聞こえて救急隊員が会長を運び出した後、残された連中は会長を心配するのとは意味合いの違う安堵感を抱いていた。
「長居は無用だ。今夜は解散しよう」
開店準備の応援に向かいたいのか長谷川がこの場を仕切って帰ろうとしている。
「伊藤さんの件はどうするんだ」
誰かが今夜の議題を思い出して結論だけ確認する。
「自業自得だ」
長谷川は高校時代からの友情をあっさり切り捨てた。
「低賃金でバイトをこき使っていた報いだ。このネット社会で悪事がばれないと思っていた伊藤が悪い。長谷川の言うとおり自業自得だ」
「そう言うが明日は我が身じゃないのか水森」
「どういう意味だ?」
「言葉どおりだ」
絡んできた人間を詰めようと思った時通話音が鳴る。水森は自分のスマホ画面を見て相好を崩した。
「俺も失礼する」
誰かと電話しながら廊下を歩いて去っていく後ろ姿を残された連中は恨めしそうに眺めている。
「色ボケしやがって」
「陰口はよせ」
「俺もあいつの浮気相手を吊るし上げようかな」
座り直してグラスに残っているビールを勢いよく飲む男を残して全員部屋を出ていった。
佐伯はオープン直前の店の手伝いに行き、長谷川が到着して仕事を交代して帰ってきた。平穏な一日だったが疲労が眠気を誘う。そろそろ寝ようとパソコンの電源を切った時にチャイムが鳴った。
「俺だ」
声が筒抜けの安アパートなので外から声をかけられてもよく聞こえる。
「長谷川さん?」
玄関を開けると、やつれて頬がげっそりしている長谷川が立っていた。
新店舗がオープン間際で最終チェックに行くと言っていたのに。
部屋の主を押しのけて中に入って置き去りにしてあるワインボトルを握ると、ポケットからワインオープナーを取り出してコルク栓を抜いた。
事情がわからないまま瓶から喉を鳴らして酒を体内に流し込む長谷川をみつめている。
「やらせろ」
音をたてて瓶をテーブルに置くと、長谷川は部屋着姿の佐伯をベッドに押し倒した。
「何かあったんですか?」
膝立ちでジャケットを脱いでベッドの下に投げる。ネクタイをはずしシャツを脱ぐ一連の動作に見とれていると、自分の着ているものも脱がされた。
「んっ、ふ…」
唇を貪られると息が出来なくて不安になる。
「何なんですか」
長谷川の舌が胸の突起に降りてきてやわらかい唇に含まれると、ここばかり責めてきた伊藤を思い出せて鳥肌が立った。
舌が自在に動く。残りの片乳も指で転がされた。
「あ…ん……」
気持ちよさに声吐息を漏らしながら、足が自然に開いて長谷川の体をはさむ。
胸をいじっていた指が肛門のまわりをくすぐり始めると佐伯は体をくねらせた。
「人を殺した」
「えっ…?」
「かもしれない」
撫でるのをやめて、長谷川は自分のソレを待ち望んでいるかのようにひくついている穴を乱暴に突いた。。
「…ああん…っ」
大きい先端がないはずの壁を突く。長谷川から漏れ出す液ですべりがよくなり、狭い中を行き来すると佐伯は過敏に反応して声に甘さが出る。
「殺したかもな」
乳首を噛みながら長谷川が言葉を発する。それは快感になって佐伯の体を支配した。
「や…あ…、そこ噛んで話さな…いで」
今夜は妙に胸を刺激してくる。
「あ…あぁ…っ、ふ…長谷川さ…ん……」
次第に脳が快楽に支配されて佐伯は自分を抱く男を抱きしめた。
「変わらねえな、お前は」
「わかんな…あ…ん…あぁ…」
後ろの穴を太い楔が打ちつけられて、小さな喘ぎ声が漏れる。
「…ああっ…は…ん…」
「気持ちいいか?」
「…うん…気持ちいい……、長谷川さんの…大き…」
「それだけかよ淫乱」
「だって…あ…ああ!…う…」
佐伯の蕩けた顔が欲望を煽る。
学生時代、佐伯の前に同級生を弄んでいた。
そいつは頭がイカれちまって病院送りになったのに、こいつはメンタル強いな。
「も…イッてもいい?イきたい…」
「お前も壊れちまえよ!この人形が!!」
「何言って…っあ…ダメ……!」
長谷川の大きな手に包まれて佐伯はあっけなく射精した。
「今頃死んでるかもしれねえな」
会長が倒れた時わざと救急車を呼ぶのを遅くした。
人を殺したかもしれないのに、罪の意識より高揚感に取り憑かれて長谷川はその感情を佐伯にぶつけた。
イライラしながら長谷川が料亭に向かうと憮然とした表情の会長が腕を組んで座っている。
「最近不祥事が多すぎないか?」
水森たち集まった経営者連中が顔を見合わせる。
「わしにわかるように説明しろ」
パソコンを触ったこともない世代の老人に、ネット配信や暴露系YouTuberの存在を説明する。
「そんなもの見たことない」
何度同じ説明をしても会長は渋い顔しかしない。
長谷川は持っていたスマホで生配信のアーカイブを会長に見せるが「画面が小さくてわからん」と手で払った。
転がり落ちるスマホを長谷川は呆然としながら見つめている。
「最近はわしを差し置いて双竜会の若造に相談するものばかりだ。どいつもこいつも舐め腐って…」
時代についていけない老害より話の早いほうに泣きついたほうが傷は浅くてすむ。それが現実だがいつまでも自分が街の実力者と思い込んでいる人間より厄介なものはない。
スマホすら使いこなせない老人にどうやって説明しろというんだ。足が痺れるだけで時間の無駄だ。長谷川以下ここに集まる全員がそう思っている。それでも長谷川は粘り強く説明を繰り返していた。
「最近は何だ、メールだかで連絡してわしの所には来ない。昔は密に会議をして丁寧にプリントを作ったものだ。それが今はどうだ……全部…」
ごとり、と重い音がした。
それが人間の頭蓋骨が床にぶつかったものだと気が付くのに時間が必要だった。
「会長…!」
仰向けに倒れているのをようやく理解した連中が騒ぎ出す。
「落ち着け」
長谷川が全員を睨む。その迫力に負けてその場に拘束された連中を背後に、長谷川はかがんでじっと会長を見ていた。
思惑に気がついた水森が腕時計を見る。すでに経過した10分がとてつもなく長く感じた。
やがて地鳴りのようないびきが聞こえてきて、長谷川が救急車を呼んだ。
「佐伯は?」
「開店準備の最終段階でヘルプに行ってもらっている」
「そうか」
なぜこんな時に水森がそんな事を聞いてきたのかわからないが、サイレンが聞こえて救急隊員が会長を運び出した後、残された連中は会長を心配するのとは意味合いの違う安堵感を抱いていた。
「長居は無用だ。今夜は解散しよう」
開店準備の応援に向かいたいのか長谷川がこの場を仕切って帰ろうとしている。
「伊藤さんの件はどうするんだ」
誰かが今夜の議題を思い出して結論だけ確認する。
「自業自得だ」
長谷川は高校時代からの友情をあっさり切り捨てた。
「低賃金でバイトをこき使っていた報いだ。このネット社会で悪事がばれないと思っていた伊藤が悪い。長谷川の言うとおり自業自得だ」
「そう言うが明日は我が身じゃないのか水森」
「どういう意味だ?」
「言葉どおりだ」
絡んできた人間を詰めようと思った時通話音が鳴る。水森は自分のスマホ画面を見て相好を崩した。
「俺も失礼する」
誰かと電話しながら廊下を歩いて去っていく後ろ姿を残された連中は恨めしそうに眺めている。
「色ボケしやがって」
「陰口はよせ」
「俺もあいつの浮気相手を吊るし上げようかな」
座り直してグラスに残っているビールを勢いよく飲む男を残して全員部屋を出ていった。
佐伯はオープン直前の店の手伝いに行き、長谷川が到着して仕事を交代して帰ってきた。平穏な一日だったが疲労が眠気を誘う。そろそろ寝ようとパソコンの電源を切った時にチャイムが鳴った。
「俺だ」
声が筒抜けの安アパートなので外から声をかけられてもよく聞こえる。
「長谷川さん?」
玄関を開けると、やつれて頬がげっそりしている長谷川が立っていた。
新店舗がオープン間際で最終チェックに行くと言っていたのに。
部屋の主を押しのけて中に入って置き去りにしてあるワインボトルを握ると、ポケットからワインオープナーを取り出してコルク栓を抜いた。
事情がわからないまま瓶から喉を鳴らして酒を体内に流し込む長谷川をみつめている。
「やらせろ」
音をたてて瓶をテーブルに置くと、長谷川は部屋着姿の佐伯をベッドに押し倒した。
「何かあったんですか?」
膝立ちでジャケットを脱いでベッドの下に投げる。ネクタイをはずしシャツを脱ぐ一連の動作に見とれていると、自分の着ているものも脱がされた。
「んっ、ふ…」
唇を貪られると息が出来なくて不安になる。
「何なんですか」
長谷川の舌が胸の突起に降りてきてやわらかい唇に含まれると、ここばかり責めてきた伊藤を思い出せて鳥肌が立った。
舌が自在に動く。残りの片乳も指で転がされた。
「あ…ん……」
気持ちよさに声吐息を漏らしながら、足が自然に開いて長谷川の体をはさむ。
胸をいじっていた指が肛門のまわりをくすぐり始めると佐伯は体をくねらせた。
「人を殺した」
「えっ…?」
「かもしれない」
撫でるのをやめて、長谷川は自分のソレを待ち望んでいるかのようにひくついている穴を乱暴に突いた。。
「…ああん…っ」
大きい先端がないはずの壁を突く。長谷川から漏れ出す液ですべりがよくなり、狭い中を行き来すると佐伯は過敏に反応して声に甘さが出る。
「殺したかもな」
乳首を噛みながら長谷川が言葉を発する。それは快感になって佐伯の体を支配した。
「や…あ…、そこ噛んで話さな…いで」
今夜は妙に胸を刺激してくる。
「あ…あぁ…っ、ふ…長谷川さ…ん……」
次第に脳が快楽に支配されて佐伯は自分を抱く男を抱きしめた。
「変わらねえな、お前は」
「わかんな…あ…ん…あぁ…」
後ろの穴を太い楔が打ちつけられて、小さな喘ぎ声が漏れる。
「…ああっ…は…ん…」
「気持ちいいか?」
「…うん…気持ちいい……、長谷川さんの…大き…」
「それだけかよ淫乱」
「だって…あ…ああ!…う…」
佐伯の蕩けた顔が欲望を煽る。
学生時代、佐伯の前に同級生を弄んでいた。
そいつは頭がイカれちまって病院送りになったのに、こいつはメンタル強いな。
「も…イッてもいい?イきたい…」
「お前も壊れちまえよ!この人形が!!」
「何言って…っあ…ダメ……!」
長谷川の大きな手に包まれて佐伯はあっけなく射精した。
「今頃死んでるかもしれねえな」
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