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操り人形
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気が済んだ人間から店を後にする。
最後のひとりが立ち去った後、店の鍵を閉めて長谷川が戻ってきた。
「ご苦労さま、佐伯」
奥のボックス席で、足を開いたままかすかに震えて横たわる佐伯に声をかけた。
「立てるか?」
「あ…」
わずかに開いている目が今にも閉じそうだった。
「ここで寝るなよ。送るから目を覚ませ」
「誰か…、もっとして…足りない…足りないよ…」
うわ言のように「もっと」と繰り返しながら、右手がむき出しの下半身に伸びていく。
後ろの穴を犯されるだけで自分は絶頂に達していない佐伯は勃起しているソレを掴んでしごき出した。
「ああ…気持ちいい……」
恍惚の表情で自分を慰めている佐伯に、調教しすぎたなと長谷川は思う。そろそろ限界か、学生時代からけっこう持ったな。前の奴のように精神崩壊しなくてよかった。
あいつはどうなったんだろう。全く情報がないのも不思議だった。
佐伯は両手を頭の上に拘束されてうつろな瞳で長谷川を見る。
「イきたい…、離…して」
「帰ってからやれ。店を汚すな」
身勝手な言葉に佐伯の顔色を変えた。
「…っ、さんざんヤラせといて何だよ!…あ…」
何人にも突かれて少し赤くなっている穴に長谷川の指が入ってくる。
「忘れんな。お前はただの人形だ。俺の言うこと聞いていればいいんだよ」
中を自在に暴れる指にだんだん佐伯の力が抜けていく。
「…あ、…ぁ…」
「イかせて欲しい?」
「イきたい…我慢できない…」
「俺のは欲しくないの?」
いつの間にかズボンを脱いで長谷川が上にまたがっている。大きく膨張してそそり立つモノを見て佐伯は物欲しげな目をして見つめていた。
「これはいらないんだ」
経営者の顔を捨てて強い視線で佐伯を見下ろしている。
「…欲し…い」
「褒美だ、受け取れ」
入り口に先をつけると、吸い込まれるようにするりと根本まで入った。
「あ…、ああ!」
「誰が一番よかった?お前を満足させる男はいたか?」
「あ…誰もいな…あん…気持ちいい…」
直接触っていないのに佐伯は白い液体を吹き出して自身の腹に垂らした。
長谷川が拘束していた手を離すと、ゆっくり手が下がってきて小さくなった男根を握る。その仕草がなんともいやらしく、長谷川の目を楽しませた。
「いやらしいな、お前は」
一番復讐したい相手に犯されて体が悦んでいる。いつの間にか心まで毒がまわったようで自分も長谷川の心が欲しくなってきたが、理屈に合っていない考えに佐伯本人が混乱していた。
「今までどおり俺の言うこと聞いてろ。お前は俺の人形なんだから」
「違う…人形なんかじゃ…な…い……ああ…ん…」
太くて固い杭を打ち込まれると苦しそうだった顔が蕩けていく。
戻ってきたらどうなるか想像出来ただろうに、バカなやつ。
「そんなにこれが欲しかったの?」
「あ…ぁ…ぁ……」
強い快感にあがなえない佐伯と会話が出来なくなってきた。
「お前は俺の操り人形だ。言うこと聞いていればいい」
「人形…俺は…」
「誰の?誰の人形なの?」
「長谷川さんの…人形……」
長谷川の動きが強くなり佐伯は体を揺さぶられて甘い声を出して首を大きく左右に振った。
「ああっ…またイッちゃう!だめ…だ…め…!」
ビク!と体をしならせて佐伯は少し薄くなった白い液を溢れ出す。その姿に刺激されたのか長谷川も中に欲望を吐き出した。
今まで付き合ったどんな女より気持ちいい。
そういう意味で長谷川は佐伯を手放したくないと思っている。佐伯の葛藤はうすうす気がついていたがめんどくさい事になりそうなのでずっと無視していた。
罪悪感とまではいかないが、店をひとつまかせて生活の基盤を作ってやった。それでも不満なら出ていってかまわない。
卒業間際、ようやく人形扱いから解放されるのに『連絡先消さないで』と言ってきた佐伯。
自分から飛び込んできたんだ。文句を言われる筋合いはない。
静かな寝息をたてている佐伯の顔を見て、長谷川はなぜか心臓のあたりにチクリと痛みが走った。
黒部は狭いアパートで一人暮らしをしている。
今夜動けば長谷川の決定的証拠を映像に撮れる自信があったが、部屋から出ることはなかった。
後藤に言われたからそうしているわけではないが、水森は保留、長谷川は佐伯が決心出来るまで待つことにしてほかの連中を探したが数が多すぎてわからない。
いったい何人の男にその体を弄ばれたのか。3年生全員一度は彼を抱いたといっても大袈裟ではないんじゃないか。途方に暮れて主要人物だけ絞ったが、それでも10の指では足らない。
大人になってから長谷川の言う通り黙って抱かれているその人数も含めるととんでもない数になる。
ボス敵存在の長谷川を倒して終わろうとそれとなくほのめかすが、長谷川の事になると歯切れが悪い。
佐伯は長谷川の事を憎んではいない。
それが黒部の出した結論だった。
佐伯の気が変わる時がきてもいいように長谷川のまわりを調べたが、自分が働く店も含めて問題はない。
プライベートな所は、独身で恋人はなし。仕事が一番のワーカホリックなだけでつけ入る隙がない。
唯一攻められそうな所は佐伯との関係だが、そこを広げるのは佐伯の経歴も傷つくことになる。水森の件もそうだが被害者が自分を被害者という意識が薄い場合、外野は何もできない。
「佐伯さん…」
どうしてあの男がいいんですか。
今夜もいろんな男に弄ばれて、長谷川に優しい言葉をかけられてそれで満足ですか。
「…」
黒部は絡め手を思いつく。
スマホ画面に電話帳を表示させたが、指が動くことはなかった。
後藤が言ったとおり、感情が混ざると複雑で「良かれと思ってやった事」で自分が非難される可能性が高い。
不安で孤独だった自分を拾ってくれた佐伯に嫌われたくはなかった。
最後のひとりが立ち去った後、店の鍵を閉めて長谷川が戻ってきた。
「ご苦労さま、佐伯」
奥のボックス席で、足を開いたままかすかに震えて横たわる佐伯に声をかけた。
「立てるか?」
「あ…」
わずかに開いている目が今にも閉じそうだった。
「ここで寝るなよ。送るから目を覚ませ」
「誰か…、もっとして…足りない…足りないよ…」
うわ言のように「もっと」と繰り返しながら、右手がむき出しの下半身に伸びていく。
後ろの穴を犯されるだけで自分は絶頂に達していない佐伯は勃起しているソレを掴んでしごき出した。
「ああ…気持ちいい……」
恍惚の表情で自分を慰めている佐伯に、調教しすぎたなと長谷川は思う。そろそろ限界か、学生時代からけっこう持ったな。前の奴のように精神崩壊しなくてよかった。
あいつはどうなったんだろう。全く情報がないのも不思議だった。
佐伯は両手を頭の上に拘束されてうつろな瞳で長谷川を見る。
「イきたい…、離…して」
「帰ってからやれ。店を汚すな」
身勝手な言葉に佐伯の顔色を変えた。
「…っ、さんざんヤラせといて何だよ!…あ…」
何人にも突かれて少し赤くなっている穴に長谷川の指が入ってくる。
「忘れんな。お前はただの人形だ。俺の言うこと聞いていればいいんだよ」
中を自在に暴れる指にだんだん佐伯の力が抜けていく。
「…あ、…ぁ…」
「イかせて欲しい?」
「イきたい…我慢できない…」
「俺のは欲しくないの?」
いつの間にかズボンを脱いで長谷川が上にまたがっている。大きく膨張してそそり立つモノを見て佐伯は物欲しげな目をして見つめていた。
「これはいらないんだ」
経営者の顔を捨てて強い視線で佐伯を見下ろしている。
「…欲し…い」
「褒美だ、受け取れ」
入り口に先をつけると、吸い込まれるようにするりと根本まで入った。
「あ…、ああ!」
「誰が一番よかった?お前を満足させる男はいたか?」
「あ…誰もいな…あん…気持ちいい…」
直接触っていないのに佐伯は白い液体を吹き出して自身の腹に垂らした。
長谷川が拘束していた手を離すと、ゆっくり手が下がってきて小さくなった男根を握る。その仕草がなんともいやらしく、長谷川の目を楽しませた。
「いやらしいな、お前は」
一番復讐したい相手に犯されて体が悦んでいる。いつの間にか心まで毒がまわったようで自分も長谷川の心が欲しくなってきたが、理屈に合っていない考えに佐伯本人が混乱していた。
「今までどおり俺の言うこと聞いてろ。お前は俺の人形なんだから」
「違う…人形なんかじゃ…な…い……ああ…ん…」
太くて固い杭を打ち込まれると苦しそうだった顔が蕩けていく。
戻ってきたらどうなるか想像出来ただろうに、バカなやつ。
「そんなにこれが欲しかったの?」
「あ…ぁ…ぁ……」
強い快感にあがなえない佐伯と会話が出来なくなってきた。
「お前は俺の操り人形だ。言うこと聞いていればいい」
「人形…俺は…」
「誰の?誰の人形なの?」
「長谷川さんの…人形……」
長谷川の動きが強くなり佐伯は体を揺さぶられて甘い声を出して首を大きく左右に振った。
「ああっ…またイッちゃう!だめ…だ…め…!」
ビク!と体をしならせて佐伯は少し薄くなった白い液を溢れ出す。その姿に刺激されたのか長谷川も中に欲望を吐き出した。
今まで付き合ったどんな女より気持ちいい。
そういう意味で長谷川は佐伯を手放したくないと思っている。佐伯の葛藤はうすうす気がついていたがめんどくさい事になりそうなのでずっと無視していた。
罪悪感とまではいかないが、店をひとつまかせて生活の基盤を作ってやった。それでも不満なら出ていってかまわない。
卒業間際、ようやく人形扱いから解放されるのに『連絡先消さないで』と言ってきた佐伯。
自分から飛び込んできたんだ。文句を言われる筋合いはない。
静かな寝息をたてている佐伯の顔を見て、長谷川はなぜか心臓のあたりにチクリと痛みが走った。
黒部は狭いアパートで一人暮らしをしている。
今夜動けば長谷川の決定的証拠を映像に撮れる自信があったが、部屋から出ることはなかった。
後藤に言われたからそうしているわけではないが、水森は保留、長谷川は佐伯が決心出来るまで待つことにしてほかの連中を探したが数が多すぎてわからない。
いったい何人の男にその体を弄ばれたのか。3年生全員一度は彼を抱いたといっても大袈裟ではないんじゃないか。途方に暮れて主要人物だけ絞ったが、それでも10の指では足らない。
大人になってから長谷川の言う通り黙って抱かれているその人数も含めるととんでもない数になる。
ボス敵存在の長谷川を倒して終わろうとそれとなくほのめかすが、長谷川の事になると歯切れが悪い。
佐伯は長谷川の事を憎んではいない。
それが黒部の出した結論だった。
佐伯の気が変わる時がきてもいいように長谷川のまわりを調べたが、自分が働く店も含めて問題はない。
プライベートな所は、独身で恋人はなし。仕事が一番のワーカホリックなだけでつけ入る隙がない。
唯一攻められそうな所は佐伯との関係だが、そこを広げるのは佐伯の経歴も傷つくことになる。水森の件もそうだが被害者が自分を被害者という意識が薄い場合、外野は何もできない。
「佐伯さん…」
どうしてあの男がいいんですか。
今夜もいろんな男に弄ばれて、長谷川に優しい言葉をかけられてそれで満足ですか。
「…」
黒部は絡め手を思いつく。
スマホ画面に電話帳を表示させたが、指が動くことはなかった。
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不安で孤独だった自分を拾ってくれた佐伯に嫌われたくはなかった。
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