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色欲
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石油ストーブが広い伽藍を温めている。
目の前には僧衣を着た若い男がひとり、静かに経を唱えている。
その背後に西野 律が正座して、聞くともなくその声に耳を傾けていた。
「終わったぞ。今夜は寝なかったな」
経を読み終えて僧姿の青年が振り返った。
「ありがとうございました」
律が深々と頭を下げる。眼の前の男はしおらしいその姿に苦笑していた。
「天禅先輩」
天禅と呼ばれた青年は、学校法人天禅学園理事の息子で天禅 叡臣。西野 律のひとつ上の先輩だった。
艶のある黒髪に、少し刈り上げたうなじが似合っている。今は大学生だが、高校生のときは一番の美貌を誇っていたほど美しい青年だった。今もそれは変わらないが、大学は規模も大きく生徒も多いので噂は薄れる。
「どうだ新しい法衣。檀家さんからのプレゼント」
「素敵です」
先輩が身じろぎすると、白檀の香りがして気持ちが少し落ち着く。
律は衝動的に家を飛び出してきたので、コートを羽織り、セーターにジーパン姿だった。
「で?停学中のお前の悩みは何だ」
法衣姿の天禅が膝立ちでにじり寄ってきて、目の前まで来て座り直して律の髪をゆっくり撫でた。
それはふたりだけの秘密の合図。
「ここで…?」
また誰かに見つかって糾弾されるのは嫌だ。
「この年の俺達男のコは止められないのさ」
唇を重ねながら律のジャケットを脱がして畳に押し倒す。
「これじゃ…生臭坊主になっちゃいます…よセンパイ」
「いいじゃないか」
「俺のお悩み相談はどこ行っ…あ…」
膨らんできた胸の突起を軽く噛まれて律が声を漏らす。
「相談料は先払いだ」
黒い法衣に包まれて何もまとっていなかったが寒くはない。
「あぁ…、ふ……う」
勃起したそれを口に含まれて律は逃げようとするが、ふとももをしっかり掴まれていて動けない。
こんな関係を結んでから、体が覚えている天禅から与えられる刺激は、そう簡単に消えそうになかった。
ーそうさ、まだ高校生の俺達だ。仙人みたいに枯れて生きられるもんか。
「センパ…もう……」
「まだだ」
足を大きく開かされて、ひきつくそこに指を入れられる。
「あ、ああ…そこ…そんな…」
激しく抜き差しされると律は小さな喘ぎ声をあげながら、何をしにここへ来たのか忘れそうになる。
「センパイ…」
天禅の肩に、白い腕をするりと絡めてもっと大きな快感を求める。
「俺が欲しい?」
「うん…」
「俺から逃げたくせに」
「…あっ…ぅ」
黒い法衣に飲み込まれて、天禅の太くていやらしいそれを飲み込んで、律が声を上げる。その声は激しく天禅の欲を刺激する。
「頭で考えないで思いのまま動いてみろ」
大きく突き上げたりゆっくり腰を回したり、律を翻弄しながらも相談内容のヒントを言う。
「そのほうが楽だ」
「う…ん」
甘えた声で鳴きながら律は与えられる刺激を求めるだけだった。
「罪悪感を感じることはないよ、律。むしろ男色のほうがいいと言われているくらい変わった教えだ。俺から逃げても体が覚えているからいろんな男に手を出してみたけど、俺以上の男が見つからなくて悩んで。答えはシンプルだ。戻ってこい」
「い…やだ…」
「じゃあ何しにきたんだ、強情なやつ」
片目をゆがめて苦笑する天禅のさらりとした髪が首筋をくすぐって、それもまた快感のひとつとなって律は目を閉じた。
目の前には僧衣を着た若い男がひとり、静かに経を唱えている。
その背後に西野 律が正座して、聞くともなくその声に耳を傾けていた。
「終わったぞ。今夜は寝なかったな」
経を読み終えて僧姿の青年が振り返った。
「ありがとうございました」
律が深々と頭を下げる。眼の前の男はしおらしいその姿に苦笑していた。
「天禅先輩」
天禅と呼ばれた青年は、学校法人天禅学園理事の息子で天禅 叡臣。西野 律のひとつ上の先輩だった。
艶のある黒髪に、少し刈り上げたうなじが似合っている。今は大学生だが、高校生のときは一番の美貌を誇っていたほど美しい青年だった。今もそれは変わらないが、大学は規模も大きく生徒も多いので噂は薄れる。
「どうだ新しい法衣。檀家さんからのプレゼント」
「素敵です」
先輩が身じろぎすると、白檀の香りがして気持ちが少し落ち着く。
律は衝動的に家を飛び出してきたので、コートを羽織り、セーターにジーパン姿だった。
「で?停学中のお前の悩みは何だ」
法衣姿の天禅が膝立ちでにじり寄ってきて、目の前まで来て座り直して律の髪をゆっくり撫でた。
それはふたりだけの秘密の合図。
「ここで…?」
また誰かに見つかって糾弾されるのは嫌だ。
「この年の俺達男のコは止められないのさ」
唇を重ねながら律のジャケットを脱がして畳に押し倒す。
「これじゃ…生臭坊主になっちゃいます…よセンパイ」
「いいじゃないか」
「俺のお悩み相談はどこ行っ…あ…」
膨らんできた胸の突起を軽く噛まれて律が声を漏らす。
「相談料は先払いだ」
黒い法衣に包まれて何もまとっていなかったが寒くはない。
「あぁ…、ふ……う」
勃起したそれを口に含まれて律は逃げようとするが、ふとももをしっかり掴まれていて動けない。
こんな関係を結んでから、体が覚えている天禅から与えられる刺激は、そう簡単に消えそうになかった。
ーそうさ、まだ高校生の俺達だ。仙人みたいに枯れて生きられるもんか。
「センパ…もう……」
「まだだ」
足を大きく開かされて、ひきつくそこに指を入れられる。
「あ、ああ…そこ…そんな…」
激しく抜き差しされると律は小さな喘ぎ声をあげながら、何をしにここへ来たのか忘れそうになる。
「センパイ…」
天禅の肩に、白い腕をするりと絡めてもっと大きな快感を求める。
「俺が欲しい?」
「うん…」
「俺から逃げたくせに」
「…あっ…ぅ」
黒い法衣に飲み込まれて、天禅の太くていやらしいそれを飲み込んで、律が声を上げる。その声は激しく天禅の欲を刺激する。
「頭で考えないで思いのまま動いてみろ」
大きく突き上げたりゆっくり腰を回したり、律を翻弄しながらも相談内容のヒントを言う。
「そのほうが楽だ」
「う…ん」
甘えた声で鳴きながら律は与えられる刺激を求めるだけだった。
「罪悪感を感じることはないよ、律。むしろ男色のほうがいいと言われているくらい変わった教えだ。俺から逃げても体が覚えているからいろんな男に手を出してみたけど、俺以上の男が見つからなくて悩んで。答えはシンプルだ。戻ってこい」
「い…やだ…」
「じゃあ何しにきたんだ、強情なやつ」
片目をゆがめて苦笑する天禅のさらりとした髪が首筋をくすぐって、それもまた快感のひとつとなって律は目を閉じた。
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