金は天下で回らない

希京

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抱かれる男と抱く男~金子には秘密

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心が乱れている中川をミントはベッドにゆっくり押し倒す。
「待て、俺もシャワー…」
「もたもたしてるから。それにもう僕我慢できない」

中川のスーツを脱がせてネクタイとシャツも取り除いていく。
舌が敏感な所を攻めていく。この心地よさに逆らえない。

仰向けに寝転ぶ中川の上にまたがって、ミントは中川の肉棒を手でしごき出した。
「…おいっ……」
はね避けようと思ったが、下半身が痺れて動けない。
中川の苦悩をよそに、ミントは腰を沈めはじめた。

「ああ…中川さんのここ、気持ちいい……」
ほう、と甘い息とともにミントが呟く。
どうせ誰とでも寝て同じ事言ってるんだろうと冷める心と、快感に燃え上がる敏感な体が攻めあぐねる。
後ろに両手をついて、ミントは腰を激しくふっていた。

ゆらりゆらり動くミントに攻められて、中川は抵抗できず身をまかせている。
「ホント…うまいな、お前」
「経験の差…?あ…ん……」
一体何人と寝て、今何人とつきあっているんだろう。

手を前について、ミントは中川の上で激しく腰を動かした。
「ああ…!いっ、いい…気持ちいい……っ…」
青い髪を振り乱してミントが踊る。
勃たなかった中川も、ミントの中で膨張して硬くなっていく。

「お酒飲んでぇ…好きな人とセックス……サイコー」
「ああそうかい。気持ちいいのか」
「う…ん…っ、あ…あ…ふぁ……いい、もっと…」
下からの突き上げに、衝撃の全てをミンクが受ける。その快感に顎が跳ねてさらに体をくねらせた。
「う…ん……」
ふたり同時に果てて、ミントは中川に覆いかぶさるようにゆっくり倒れる。

もう一度シャワーを浴びて、さっぱりしてから服を着た。
「ミントって何歳だっけ」
「え?25」
「もう少し実年齢に合った服を着ろよ。若作りに見えるぞ」
「え、似合って…ない?」
「いや、似合ってるけど俺と並ぶとふたりともまわりから浮く」

長めのTシャツだけ着て立っているミントは、履こうと思っているジーンズを握りしめていた。
「今度の休みいつ?服見にいこうぜ」
「えー、休みの日は寝たい」
中川は自分の財布から数枚の札束をミントに渡そうとベッドに置いた。

「じゃあ時間あるときに自分で買ってこい」
「中川さんの隣にいるにふさわしい服は、こんな額では買えないって」
「……」
中川は財布の中の半分、ミントが見た限り50万円はある札束を雑に掴んでベッドの上の札束と混ぜて渡してきた。

「チョロい…」
シャワーを浴びにいった中川を横目に、ミントはほくそ笑んで自分の財布にもらった札束を入れた。


未知と金子はひとつのイヤホンを1個ずつ共有して、会話を聞いていた。
最近不審な中川のカバンに小型で高性能の盗聴器を仕込ませていた。その会話をふたり顔を突き合わせて聞いている。

「こーれは…。中川もやっちゃいましたねえ」
最近時間にルーズだったり、話をしていても上の空だったので角川が怪しく感じて未知に密告したら案の定だった。
「美加は馬鹿な子だったけど…ねえ。中川個人のことですし」
「でも地味に仕事に影響が出ています。ミスが多い」
「そう。困ったな」
死体がひとつ増えるだけだ。角川の割り切り方も法律と道徳を無視したものだった。
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