落ち込み少女

淡女

文字の大きさ
26 / 172
第2章「悩み部屋」

第2章「悩み部屋」その7

しおりを挟む

「悩み部屋のことを知ったのは、一回目にここに来た時だった。

初めは何が起こったのか分からなかったわ。

そして机にはルールブックが置かれていたわ。

そこにはここから出る方法は二つあると記載されていた。

本人が死ぬか、誰かに悩みを解決してもらうかしかない。 

そして、私は後者を選んだ。」


 彼女は姿勢を整え、僕の目を見て、その赤い唇から言葉を発した。






 「ここは悩み部屋。

私が作り出した空間。


私一人じゃこの部屋からは出られない。


だから、あなたを呼んだの。

あなたならこんな理不尽なことでも、受け入れてくれると思ったの。

羽塚くん、私の悩みを解決してください。

どうかお願いします。」



ここまで人に真剣にお願いされたは初めてだ。

ここで断ったら、もう男じゃなくなるような気がした。


だから、


「分かった。」

ただそう言った。

 「ありがとう。」

 平木は深々と頭を下げた。


 昨日まで僕を罵倒した彼女とは別人のようだ。

真剣だ。

そうだ、そうなんだ。

彼女はふざけていない。


平木尊は一度たりとも、ふざけてなどいなかったんだ。


僕に彼女の悩みを解決出来るかどうかは分からない。


しかしよくよく考えればここから何をどうすればいいのやら。


「....」

 「....」

いやな沈黙が二人の空間に漂った。


 気まずい。

あんなカッコよく引き受けてこれか。

何から話せばいいのか。

いきなり悩みを聞いたところで、いい返事が返ってくるわけがない。

彼女の悩みは死を願うほどの悩みなのだから。

まぁ時間はある。

ゆっくり焦らず、慎重にいこう。


「平木って普段なにしてるの?」


「そうね。勉強しているか本を読んでいるかどちらかね。」


「イメージ通りだなぁ。」


「羽塚くんは私にどういうイメージを持ってるの?」


「真面目そうっていうか賢そう。」


「それは褒め言葉なの?」


「そうだよ。」


「私、真面目って言われるの嫌いなの。」


「何で?」

「何か小馬鹿にされているような気がする。」


「ごめん。そういうつもりで言ったんじゃなくて。

自分っていう芯がしっかりしてる人かなって。」


「芯があるなら、悩みなんて持たないわ。」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

処理中です...