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10. 掘り当てたもの
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「女の人なの? ヒンスの好きな女の子の旦那さまって」
「馬鹿いえ。一応男のなりはしてた」
フィオナの夫は少なくとも男に見えた。
ザラの軽口にもやや不安になるくらい、ヒンスは起きていることについて行けなくなってきた。
ヒンスの想い人だったフィオナ・ダナン嬢は、止める間もなく富豪のシノム・シューベルグの妻になってしまった。
義母の決めた相手とはいえフィオナは幸せそうだった。だから連れ戻すことはあきらめた。
そこまでは百歩譲って許すことができた。
しかしシノムの城にはアンネースという女の幽霊が出た。
フィオナのマリッジブルーが見せた幻かと思いきや、どうやらそれは自分の大叔母の姉らしい。
ただし生きていれば彼女は御年115歳になる。
その上世間ではシノムは男ではなく、歳をとらない金髪に碧眼の女の悪魔だと訴える人がいる……。
「いい奴だと思ったのに」
大人しい男だけど、しっかりした男だと思った。それに妻を愛する気持ちに偽りはないと感じた。
だからこそ祝福して身を引いたのに。
真相は分からないまでも、シノムがフィオナを危険にさらしている。
ヒンスはフィオナを思う長年の気持ちが覆って、にわかに怨みや憎しみに近づいていくのを自覚した。
地獄は地底にあると教えられて育ったのだ。
シューベルグ一族はその富と引きかえに一体何を掘り当てたのだろう。
いや、シューベルグ伯爵自身があるいはそこから飛び出た災厄なのか……。
真夜中に悪天を推して馬を走らせながら、胸元の拳銃が濡れないようコートの合わせを引き寄せた。
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