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13. 二人の妻
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「じゃあなぜ、100年前にアンネースが嫁いだ伯爵とお前は同じシノムなんだ?」
……ヒンスの大叔母の姉は、シノム・シューベルグの妻だった。
ただしそれは今から100年前の事だ。
同じ男に100年の時を超えて二人の妻がいる。
それは奇妙であり得ない出来事だ。
悪魔はきっと嘘をつく。もっともらしい話ほど疑ってかからないと痛い目を見るのだ。
シノム自身自分は悪魔ではないというが、それでは辻褄の合わないことがある。
真摯そうな語り口に簡単に惑わされてはいけない。
「アンネースはシノム・シューベルグの妻なのか?」
「彼女を知ってる人がいた。その人から聞いたよ。お前自身の事だろう! 自分の妻も名前も忘れたのか?」
「落ち着け、僕は確かにシノムだ」
そんな事分かってるとヒンスは叫んだ。
引き金にかけた指に力が籠る。フィオナとザラが固唾を飲んで見守っていた。
「僕はシノムだが……僕の父もシノムだ。その父も、またその父も同じシノム」
「なんだと……?」
「そういうことだったの!」
フィオナが思いがけず高い声を上げた。
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