n.(R18・完結)

ちゃあき

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「きらいです」
「うん」
「好きじゃないです、いったこと全部嘘です」
「私は好きだけどな」

 目を覚ますとノアさんの腕の中にいた。
 彼を押しのけて背を向ける。窓の外はまだ雨だ。

 カーリンの夫でさえなければまだ許せた。でもそうである限りやはりダメだ。

「私を無視したらカーリンとエミル伯爵へ告げ口する。それは変わらないよ」
「脅迫するんですか?」
「そのとおりだ」

 振り返って精一杯にらみつける。

 でも想像と違い、あざやかな青い目はどこか悲しそうで心が折れかける。

「電話に出てさえくれればいいよ……」

 冷たい掌がため息まじりに髪をなでた。

 ひどい。本当にひどい。
 私の方こそすべてを暴露してやりたい。
 唇を噛んでまた彼に背を向ける。

 でもそうすればカーリンを傷つけ、兄に大恥をかかせるだろう。そして私は居場所をうしなう。
 私のすべてを壊すこの男を、少しの間でも本当に好きだったことが恥ずかしくて悔しい。

「今度ナナもサーカスへ連れて行きたい」
「…………」
「ナナの喜ぶことをしたい」

 背後からノアさんが腕をまわす。
 振り向くとあの優しい青い瞳があることを知っているから、私は動かないままでいた。
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