スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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2章

7 パートナー?

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 リゼの期待をこめた目に、ゴクリとつばをのみこんだ。

「見つけられるというか……耳の奥で低くて重い音が鳴って、周りの空気がビリビリして、音をたどっていったらこの渦があるって感じで……」

 目を泳がせながらボソボソ言うと、急にリゼが私の両手を取ってきた。

「すごい能力だよ! ひなりがいれば、スパイラルを効率よく見つけることができる! 時間修復の仕事がはかどるんだ。ぜひパートナーになってくれないか?」

 リゼが紫の目を輝かせて私を見つめてくる。
 光をともなう不思議な渦、スパイラル。
 リゼみたいな人たちでも、見つけること自体が難しい。
 それをどうして私が見つけることができるのか、分かんないけど……
 でも。もしかして、私って、すごい力の持ち主⁈
 おおおっ。すごい! マンガの主人公みたい!
 ふわふわしてくる気持ちをおさえきれず、リゼの手を握り返した。

「分かった! パートナーになる!」

「本当か? ひなり!」

 リゼの瞳が、水晶のようにきらっと輝いたその時。

「ダメだ」

 冷たい声が私とリゼに向けられた。
 瑞希がすぐさま、私とリゼの手を引き離す。

「な、なんで? いいじゃん。リゼの仕事のお手伝いできるなら、悪いことじゃないでしょ? 世界を救うお仕事だよ!」

 世界を救う……なんてカッコイイ響き!
 自分で言って、ワクワクしてくる。……なのに。

「ダメだ。そんなことしなくていい。リゼ、おれたちの記憶を消してくれ。それでおれたちの前から消えてくれ」

 はっ? 何言ってるの?

 瑞希の低い声に私のワクワクがしゅるるる……としぼんでいく。

「待ってよ、瑞希。なんで? なんでそんなこと言うの?」

「ひなりを危ない目にあわせたくない。もし、またスパイラルに吸い込まれたらどうするんだ。どこかちがう時代に飛ばされてしまうかもしれないんだぞ」

 厳しい口調で言う瑞希に、リゼが首を横に振った。

「大丈夫だよ。ぼくたちが修復してる限り、滅多に大きなスパイラルはできない。何百年、何千年につながるものなんて見たことないから」

「そういう問題じゃない」

 瑞希がリゼの言葉をつっぱねる。

 にらみ合いを始めた二人の間に、私は割り込んだ。

「やるっ。やるよ、私。せっかくこんな面白いこと知ったのに、記憶を消されるなんてやだ」

「いいや、ダメだ。絶対やらせない。ひなり……お前はいつも無鉄砲すぎるんだよ」

 うっ。
 瑞希の鋭い目に一瞬ひるむ。
 な、なによ。
 ダメ、ダメってなんで瑞希に決められなきゃいけないの?
 瑞希ってば、頭が固いんだよ。
 幼なじみだからって、なんでも私のこと分かってるフリして。
 もう中学生だよ? 自分のことは自分で決めたいよ。
 そう思ってにらみ返したけど、瑞希は絶対ダメだっていう表情を崩さない。
 くっ。瑞希め。もう頭にきた! 
 私はこぶしをにぎりしめて、すうっと息を吸い込んだ。

「もうっ。いいかげん私におせっかいしないで! 私は瑞希がいなくても大丈夫っ。これ以上私にかまわないで! メイワクだよ!」

 どんっと瑞希を突き飛ばして、リゼの背中に隠れた。

「……だってさ。どうする? 瑞希クン」

 リゼがクスクス笑いながら、ちらりと瑞希を見る。
 瑞希は目を大きく見開いたまま、動かない。

「私は私の考えで動きたいの! 瑞希の考えにおしつけられたくない!」

 リゼの背中越しにダメ押しで叫んだ。そしたら。

「……勝手にしろ」

 瑞希はそう小さく言って、私たちに背を向けて走っていった。

「……もう! 瑞希のヤツ!」

「まぁまぁ。瑞希くんも心配してるだと思……」

 言葉を止めたリゼがバッと後ろを振り返った。
 つられて、私も振り返る。

「どうしたの?」

「いや、視線を感じたような気がしたから……ごめん、気のせいかな」

 リゼが頭をかきながら、にこっと笑った。

「じゃあ、あらためて。一緒にスパイラル探し、がんばろう。よろしく。ひなり」


「うん」

 よーし! がんばるぞ!
 私にしかできない……そんな力があるなんて、すごいよね。
 しかも、世界を救うだなんて!
 わくわく弾んでくる気持ちがおさえきれない。
 リゼと握手して、私は気合を入れた。
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