ヘタレαにつかまりまして

三日月

文字の大きさ
1,021 / 1,039
SS(書き下ろし)

友達デート 16

しおりを挟む
最後の小節を唄いあげ、元の位置に戻って正座をして深々頭を下げる樟葉。
俺も三枝も聞き入りすぎて、拍手が遅れてしまった。


「うわぁぁ~、意味は全然わからへんかったけど、こぅ、胸がキュウッてなったわ。
みこちゃん、もしかして芝浦君のこと想って歌ってへんかった?」

「え、え?!
そ、そんなのわか・・・痛っ」


立ち上がった樟葉は、驚きすぎてバランスを崩し壁に頭をぶつけその場に座り込んだ。
唄っているときは、凛とした佇まいや唄に感動していたんだが。
樟葉は、樟葉だったな。

しかし、芝浦を想って唄うには少し重い歌詞じゃなかったか?


「みこちゃん、大丈夫??」

「フ、フフ・・・な、慣れてるからぁ」

「慣れていても、痛いものは痛いだろう?」


無理矢理作り笑いをしている樟葉に手を貸し、椅子に座らせる。


「でも、ほんまに凄かったなぁ。
みこちゃんって、御珠神社であぁいうことしてんねんなぁ?」

「うん、御珠神社では、巫女は神の子って書いてねぇ。
昔は樟葉に生まれたΩしかなれなくてねぇ・・・代々引き継いできた唄や舞が、たくさんあるんだよぉ。
今はね、樟葉じゃなくても良いし、Ωじゃなくても良くなってるよぉ。
お正月は、アルバイト神子がたくさんいるんだよぉ」

「そうなんやぁ」


途中、樟葉が話すのを躊躇っていたように感じたが最後は笑顔だった。
気のせいだったか。
三枝は、話ながらもテーブルの上をテキパキ片付けていく。


「三枝、樟葉の唄はかなり簡単な古語だったと思うんだが、あれがわからないなら来年も古文がヤバイんじゃないか?」


心配してのことだったんだが、三枝にとってはかなり痛い場所を突いてしまったようだ。
受付で渡されたカゴにマイクを入れようとして、取っ手に引っ掛け床に落としてしまいアワアワ。
全教科が怪しい樟葉にとっては、他人事ではないんだがそれを見てクスクス笑っている。

三枝は、現代文は平均以上の点数を出しているんだが、古文や漢文となるとガクンと下がる。


「もぉ、カナちゃん、今日は勉強の話は禁止っ
みこちゃんの進級お祝いと勉強お疲れ様会なんやから!」


ん?
だからこそ、来年に向けた勉強の話は必要不可欠なのでは?
そう思ったが、二人から力強く見つめられ了承した。
しおりを挟む
感想 205

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭 12/10 5000❤️ありがとうございます😭 わたし5は好きな数字です💕 お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭

塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた

雪兎
BL
あらすじ 全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。 相手は学年でも有名な優等生α。 成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに—— めちゃくちゃ塩対応。 挨拶しても「……ああ」。 話しかけても「別に」。 距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。 (俺、そんなに嫌われてる……?) 同室なのに会話は最低限。 むしろ避けられている気さえある。 けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、 その塩対応αだった。 しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。 「……他のαに近づくな」 「お前は俺の……」 そこで言葉を飲み込む彼。 それ以来、少しずつ態度が変わり始める。 距離は相変わらず近くない。 口数も少ない。 だけど―― 他のαが近づくと、さりげなく間に入る。 発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。 そして時々、独占欲を隠しきれない視線。 実は彼はずっと前から知っていた。 俺が、 自分の運命の番かもしれないΩだということを。 だからこそ距離を取っていた。 触れたら、もう止まれなくなるから。 だけど同室生活の中で、 少しずつ、確実に距離は変わっていく。 塩対応の裏に隠されていたのは―― 重すぎるほどの独占欲だった。

ヒートより厄介な恋をα後輩に教え込まれる

雪兎
BL
大学三年のΩ・篠宮湊は、何事も理屈で考えるタイプ。 ヒート管理も完璧で、恋愛とは距離を置いてきた。 「フェロモンに振り回されるのは非合理的」 そう思っていたのに――。 新学期、同じゼミに入ってきた後輩は、やたら距離の近いα・高瀬蒼。 人懐っこくて優秀、なのに湊にだけ妙に構ってくる。 「先輩って、恋したことないでしょ」 「……必要ないからな」 「じゃあ俺が教えますよ。ヒートより面倒なやつ」 余裕のあるα後輩と、恋に不慣れなΩ先輩。 からかわれているはずなのに、気づけば湊の心は少しずつ乱されていく。 これは、理屈ではどうにもならない “ヒートより厄介な恋”を教え込まれる物語。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

ネガティブなΩがスパダリαから逃げる

ミカン
BL
オメガバース

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...