ヘタレαにつかまりまして

三日月

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18 巡回

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「んな顔するなよ、かなちゃん。
それだけ菊川のフェロモン背負ってるのに、居ないだけで不安とか、αの視界を見せてやりたいぜ」

「からかうな。
居ないのが不安とは思ってない」


ヤマが消えた方をぼんやり見ていたら、カプチーノに漸く口をつけた笹部がシュガーポットから砂糖を二杯すくい出し、かき混ぜながら嗤う。
シュガーポットもカボチャの型で、スプーンとマドラーの持ち手の頭にも同じカボチャがくっついている。

ここに来るまでに、αらしい人間からは視界に入るなり避けられるか、足を止めて遠巻きにされるかだった。
ヤマは調整して抑えたとは言っていたが、露骨に反応され続けるから、もう一度調整を依頼したものの。
ヤマからこれ以上は嫌だと、頑なに拒否されてしまって今に至る。

俺には、暖かく優しいフェロモンではあるがαにとってはまだ脅威に映るレベルらしい。
ヤマに恥をかかせるような種類じゃないと良いんだが、Ωの俺にはαの視界にどう映るか想像でしかわからない。

βの中にも、チラチラ俺達の姿を気にする人間はいたが、避けると言うより興味津々で見られるから・・・きっと、5月の報道を思い出してのことだろう。

ハロウィン喫茶はβのバスケ部主催だから、利用者はαよりβが圧倒的に多い。
入れ違いに何人か出ていってしまった者がいたのは、あれはαだったのかもな。
悪いことをした。

つい、周りよりもヤマを気にしてしまったのは。
俺は、何があっても萩野が守ってくれるが、他人の敵意に鈍感なヤマを一人にする不安があるだけだ。
まぁ、絡まれたところで、ヤマなら威圧でカタがつくのかもしれないが。

別に・・・校内で離れることが最近無かったから、違和感があるくらいで。
近くにヤマが居ないだけで、スカスカして物足りないとか、そこまでは思ってない。
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