ヘタレαにつかまりまして

18 巡回

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ーーー柏原　千歳は、中の上。

それが周囲の評価だ。

いつも頭にお団子を結い、化粧はしてないように見せて爪を薄いピンク色のマニキュアでこっそり飾る女の子。
笑顔を絶やさず、β男子からは好かれていた。

中等部からの内部進学者で、父親は社員50名ほどの建設業を営み、母親は同じ会社で専務をしている一人娘。
この学園では、さして珍しくはない家庭環境。

授業態度は真面目で、挙手はしないが当てられれば素直に答え、正解率は国語9割、その他7割。
運動は苦手で、夏の水球事件のときもプールの隅でおしゃべりに夢中。
休み時間は、他のβ女子と談笑。
αには男女問わず近付かず、悪目立ちを避ける他のβと変わらなく見えていた。

βの中では上位に入る。
教師からの評価も高かったはずだ。

そんな彼女が、Ωとしての姿を持っていたとは。
番持ちαを奪おうとする捨て身のΩになるとは。


髪をほどき、制服を脱いだ一糸纏わぬ裸体を晒し。
朝、部長が座っていた机に手をつきながら、ヤマを窓際に追い込んでいる。
引戸を開け、飛び込んできた白い背中から足まで伸びる柔らかなラインに、三枝は怯み、そこから一歩を踏み出せない。