厄介な年下幼馴染が倍増しました。

三日月

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昼下がりのアパート

そこからずーーーっと居座られ、『ユズちゃんの部屋着、色気ねぇ』『これ、大学の教科書なん?』と勝手に物色された。
譲は、その間除霊サイトを熱心に見て回り、塩を撒いたり、思い切って近所の寺に行ってみたが効果無し。
譲の相談に耳を傾ける僧侶の体をすり抜け、ツルンとした頭に肘を置きながらニヤニヤ嗤う姿を見せられると(あ、こんなんじゃ無理だ)と気付かされた。

寺から戻ってからの譲は、自分にはどうしようもないなと諦めの境地。
浮いてるだけのソレは、鬱陶しいだけで今のところ実害は無ない。
完全に無視を決め込んだ。
サイト情報によると、視える相手に絡んでくるらしい。

ただ、トイレと風呂にまで入って来られ、『わっ、乳首ピンク』だの、『綺麗に剥けてんね』だの言いながら自分の身体に指をめり込む様を見せられ絶叫。
そこから会話が続いてしまい、自分を憲次だと名乗ったソレは譲の深夜バイトにまで着いてきた。
三日目の朝は更に最悪で、金縛りにあい悲鳴も上げられない。
『煩くしたら隣が煩せぇし』と気を回したアピールされたが、譲は自分の意思を全く受付無い状況に恐怖で固まった。
しかも、ソレの手が譲に触れると感触が伝わるようになっていて、ふにふに、ぐにぐに、楽しそうに胸や尻を揉んでくるし、我に返るまでにキスまで奪われた。
そのあと、避けようもない一方的なキスを重ねるうちに、譲の身体が反応してしまうくらいのものにまでバージョンアップされ目眩。
されたことより、姿は幼馴染の憲次なのに反応してしまった自分への嫌悪感が勝った。

四日目の今は乗っ取りまでされ、譲は諦めてる場合じゃないと気持ちを改めた。
乱れた服を直す前にスマホに手を伸ばし、電話が繋がった相手に謝りながらカバンを掴むとそのまま玄関から外へ。
顔を洗う時間も惜しく、ソレが『お出かけ?』と話しかけて来ても無視。

日に日に、コレの出来ることとヤバいことのレベルが上がっている。
譲は電車に飛び乗り、ソレから話しかけられても寝たフリ。
なにか仕掛けてくるかと警戒もしていたが、そう言えば、バイトで仕事をしてるときは手を出してこなかったなと気付いてチラリとソレを見上げる。


『この路線って実家の方じゃねぇか。
ユズちゃん、里帰り?
今年の夏は、帰ってこねぇんじゃなかったの?』


(なんで、そこまでコレは知ってるんだ?)
ふよふよ車両を漂う小豆色の作務衣姿。
譲の他に、コレに気付いている人間は居ないようだった。
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