厄介な年下幼馴染が倍増しました。

三日月

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日暮れの田舎道

実家の最寄り駅に降りた譲は、夕陽に照らされた道を黙々と目的地に向かって歩き始めた。
自分の周りをクルクル回りながら、『実家に帰んの?』『ユズちゃん、寝癖ついたまんまだぜ?』と話しかけられても無視。
(どこもかしこも知り合いだらけの町で、見えない相手と話してるとこ見られたら一生噂されるっ)

実家の前を通り過ぎても歩き続ける譲に、ソレは何か思い当たったらしい。
なるほどと呟き、自力で進むのをやめて譲の頭上で寝転び肘をわざとつむじに引っ掛けるように置いた。


『はいはい、オレん家に行くわけね?
一線超える前に親への挨拶ってか?
ユズちゃんが寝てる間に、スマホでバンバンネット検索かけて知識つけたから今夜は任せとけっ
ユズちゃんの履歴も重点的にチェックしたから、男の潮吹き体験もバッチリだぜっ』
「それ以上、口を開くなっ
勝手にギガも使うなっ」
『大丈夫、大丈夫。
低速にはなって無いから』
「そういう問題じゃ無いっ」


恐ろしい内容を流石に無視出来ず、譲が足を止めて頭の上のソレを掴もうと手を伸ばしたがやはり空を切る。
逆に背後から尻を揉まれ、譲はありったけの声で怒鳴ろうとしたが。
サーッと自転車に乗った人が追い抜きざま、空中に向かって両手を回す譲に険しい目を向けてきたのでなんとか堪えた。
通り過ぎたのか誰かわかり、譲の顔が曇る。


『ユズちゃん、あれ、魚屋のみっちゃんだぜ。
あの人、ちょーおしゃべりだからヤバいかもよ』
「お前、なんでそんなことも知ってるんだ」
『何言ってんの、ユズちゃん。
ここらで有名じゃん。
世話好き噂好きのみっちゃん、永遠の二十歳とかウケるよなぁ』


ヘラッと笑うソレに、譲の眉間にシワが寄る。
当てずっぽうでみっちゃんの鉄板、永遠の二十歳フレーズまで言えっこない。
ゾッとしたが、やはり無理してでも帰ってきてよかったと気持ちを切り替える。
一刻も早く、アイツに相談しようっ

突然走り出した譲の後を追うソレ。
途中で並走し、((息切れしちゃってカワイイなぁ))と思う存分その横顔を眺めて楽しんでいた。
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