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Route 1

告白

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「俺もね、ぶっちゃけるけどね」
「うん?」
「ヒーローって言われるの嫌。
ヒーローは力也で俺じゃない」
「それ、お前だけだぞ」

何をいうかと思えば、ぶっちゃけるも何もこれってよく俺には定期的にこぼしてるネタだし。
いつものように即ツッコミ。
・・・ん?
今の英雄が言ってるってことは、コレってネタじゃなかったのか?

「だって俺は、ヒーローじゃなくてヒロインになりたかったしっ」
「ほぉ」

それは新しい英雄情報だな。
ヒロインってなんだそりゃ。
お前みたいな最強ヒロインがいたら、ヒーローが霞むわ。

「力也のアシストをして、一緒にコンビで世界を救うのがやりたいのにさ。
俺がアシストって逆だろうって酷くない?」

うん、酷くない。
満場一致だろ、それ。
酔っ払いの記憶喪失決定な相手に言ったところで、意味なさそうだし口には出さないけど。
英雄はぶっちゃけ始めてから語気が荒くなっていて、眠気は飛んでいるようだった。
イライラしながら、まだこの話を続ける気らしい。

「もぉ、なんで力也の良さがわかんないかなぁ。
いや、わかられても困るんだけどね。
今日も、俺を誘わずに合コン参加してさ。
なんか仲良くしてたしさ。
力也と俺で最強コンビで良いのにさ」

聞きようによっては、まるで俺が浮気したように聞こえんだけど。
そして、なんで俺は引かずに顔が熱くなってるんだ。

「あのさ、ぶっちゃけついでに聞かせてほしいんだけど・・・英雄って」

いやいや、聞いてどうするよ、俺。
なんか、そうなのかもって雰囲気がジワジワ来てたから、彼女を作りに合コン参加したばっかだろう。
どんな女子から告白されても軒並み「ゴメンナサイ」で、高校も大学も俺のあとをついてきてて。
夜中に俺の名前を呼ぶ英雄の上擦った声で目が覚めて。
そのままなんか、こぉ、自分の右手がさぁ。
声聞きながら止まらなかったわけだよ、はいっ
それをヤバイって、思っての今日のはずだろう?!

踏みとどまれと警戒音が頭の中で鳴り響いてるのに、ベットの上でのバックハグなシチュエーションに言わされたのか、口は止まらなかった。

「お、俺のこと、恋愛的な意味で好き、だったり・・・」
「好き、ずっと好き」

ほらみろっ
食い気味に答えられちゃったじゃねぇかっっ
しかも、腰に回ってた腕から力が抜けてきてたのにギュッて抱き直されたよ、ギュッてっ

「力也は俺のヒーローだ」

切ない声で名前呼ぶな、バカッ
そんな声出されたら勃つわっ
俺の尻に当たってるお前のも勃ってるしっ
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