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30 学園祭 side 陸
33
「あんな、コレ、良かったら飲んで?」
俺が驚き過ぎて言葉を失ってる間に、三枝は手にペットボトルを持って近付いてくる。
いやいや、待て待て。
お前は、今、俺が一番会っちゃならねぇ人間なんだっ
飛び起きて避けようにも重い身体は言うことをきかねぇ。
近付かれると罪悪感で押し潰されそうになる。
息を呑んだまま固まる俺に、側まで来た三枝がペットボトルを差し出すが、それに手を伸ばすことも出来ねぇ。
三枝は、俺の前で困ったようになんとか笑みを作ったが。
それでも取ろうとしない俺に傷つき、目を伏せ、ひと呼吸。
「えっと、机に置いとくな?
あの、巡回時間までまだ五分あるし、ここで着替えてえぇかな?」
そう聞かれても、動けない。
どうして良いのか、わからねぇ。
まだ、俺は、お前と会う覚悟は出来てねぇんだよっ
心の中は騒がしいのに、現実の俺は返事もしてやれねぇ。
三枝は眉尻を下げて困っていたが、返答を受け取ることを諦めクルリと回って背を向けた。
ふわり
その動きに合わせ、三枝の周りの空気が流れる。
流れて、広がり、俺の元へ届く。
この、匂いは。
ガタッ
微弱だが、俺が間違うはずがない匂いだった。
あまりの驚きに、咄嗟に身体を起こそうとしたがバランスが崩れる。
背中からソファーに落ちた俺に、三枝は直ぐに気付いた。
「え、大丈夫なん??」
驚き振り向いた三枝の周りで、ふわりとまた空気が動いた。
な、なんで、だ?
キリキリと、意識より先に反応した牙が軋みだす。
ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待てっ
不意打ちで感じたのは、まさかの俺のΩの発情フェロモン。
考えがまとまらねぇ。
三枝とカッキーの情報が寝起きの頭に同時に届き、考えが何一つまとまらねぇ。
なのに、牙は明確な事実を伝えてくる。
三枝に、何でもねぇと声に出す余裕がねぇ。
首を左右に振り、口元を手で隠し。
そこから嗅覚の感度を徐々に上げれば、早い段階で俺のΩの発情フェロモンをハッキリと知覚できた。
なんで三枝からこの匂いが。
コイツの近くに居たのは誰だ?
桂木、だよな?
桂木が、Ω?
いやいや、この前アイツの牙を見たばっかじゃねぇか。
変異種Ωになったαは、その時点で牙を無くす。
それは、千里さんがそうなんだから間違いねぇ。
間違いねぇ、んだ。
じゃあ、誰、だよ。
三枝は、固まったままの俺を心配、というより不思議そうに見ていたが。
俺が何も言わないからだろう。
気持ちを切り替え、自分の机に回ってゴソゴソ着替えだした。
俺は、あれだけ探していたものと、避けようとしていたものを目の前にして情報過多。
のそのそとソファーに座り直し、足元に目を向けたまま重い頭を回転させ答えを探していた。
誰って・・・
三枝が、ここに来るまでにあった中に居たんだよな。
俺が辿っていた時よりも濃い。
ここから近い場所にいるのか。
誰とすれ違ったのか、三枝に確認すればカッキーに辿り着く。
と、ここで顔を上げて。
ふわり、ふわり
途切れながら、でも、消えることなく。
断続的に匂いが俺の元へ運ばれてくることにやっと違和感を抱く。
接触だけなら、時間と共に消えていくはず、なのに。
俺が驚き過ぎて言葉を失ってる間に、三枝は手にペットボトルを持って近付いてくる。
いやいや、待て待て。
お前は、今、俺が一番会っちゃならねぇ人間なんだっ
飛び起きて避けようにも重い身体は言うことをきかねぇ。
近付かれると罪悪感で押し潰されそうになる。
息を呑んだまま固まる俺に、側まで来た三枝がペットボトルを差し出すが、それに手を伸ばすことも出来ねぇ。
三枝は、俺の前で困ったようになんとか笑みを作ったが。
それでも取ろうとしない俺に傷つき、目を伏せ、ひと呼吸。
「えっと、机に置いとくな?
あの、巡回時間までまだ五分あるし、ここで着替えてえぇかな?」
そう聞かれても、動けない。
どうして良いのか、わからねぇ。
まだ、俺は、お前と会う覚悟は出来てねぇんだよっ
心の中は騒がしいのに、現実の俺は返事もしてやれねぇ。
三枝は眉尻を下げて困っていたが、返答を受け取ることを諦めクルリと回って背を向けた。
ふわり
その動きに合わせ、三枝の周りの空気が流れる。
流れて、広がり、俺の元へ届く。
この、匂いは。
ガタッ
微弱だが、俺が間違うはずがない匂いだった。
あまりの驚きに、咄嗟に身体を起こそうとしたがバランスが崩れる。
背中からソファーに落ちた俺に、三枝は直ぐに気付いた。
「え、大丈夫なん??」
驚き振り向いた三枝の周りで、ふわりとまた空気が動いた。
な、なんで、だ?
キリキリと、意識より先に反応した牙が軋みだす。
ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待てっ
不意打ちで感じたのは、まさかの俺のΩの発情フェロモン。
考えがまとまらねぇ。
三枝とカッキーの情報が寝起きの頭に同時に届き、考えが何一つまとまらねぇ。
なのに、牙は明確な事実を伝えてくる。
三枝に、何でもねぇと声に出す余裕がねぇ。
首を左右に振り、口元を手で隠し。
そこから嗅覚の感度を徐々に上げれば、早い段階で俺のΩの発情フェロモンをハッキリと知覚できた。
なんで三枝からこの匂いが。
コイツの近くに居たのは誰だ?
桂木、だよな?
桂木が、Ω?
いやいや、この前アイツの牙を見たばっかじゃねぇか。
変異種Ωになったαは、その時点で牙を無くす。
それは、千里さんがそうなんだから間違いねぇ。
間違いねぇ、んだ。
じゃあ、誰、だよ。
三枝は、固まったままの俺を心配、というより不思議そうに見ていたが。
俺が何も言わないからだろう。
気持ちを切り替え、自分の机に回ってゴソゴソ着替えだした。
俺は、あれだけ探していたものと、避けようとしていたものを目の前にして情報過多。
のそのそとソファーに座り直し、足元に目を向けたまま重い頭を回転させ答えを探していた。
誰って・・・
三枝が、ここに来るまでにあった中に居たんだよな。
俺が辿っていた時よりも濃い。
ここから近い場所にいるのか。
誰とすれ違ったのか、三枝に確認すればカッキーに辿り着く。
と、ここで顔を上げて。
ふわり、ふわり
途切れながら、でも、消えることなく。
断続的に匂いが俺の元へ運ばれてくることにやっと違和感を抱く。
接触だけなら、時間と共に消えていくはず、なのに。
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