失恋の特効薬

三日月

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半年前に、悠介の父親43歳と瞬の母親36歳の二人が再婚した。
バツイチ同士で年も年だと結婚式は挙げず、新婚旅行へ出発したのは瞬が大泣きする一週間前である。

悠介と瞬がまともに顔を合わせたのは、結婚前の顔合わせとこの空港までの見送りのたった二回。

規則正しい生活リズムの上にいる高1の悠介と昼夜逆転のホストの瞬。
悠介が住んでいた一軒家に、瞬が母親と越して来てからも挨拶程度しか交わすことがなかった。



なので。



ゲートの向こうに両親が消えると、互いに気不味い。



「えーっと、ゆ、悠介、何か食べてく?」



瞬は、仕事で培っている筈の対人スキルがゼロとなり。


「・・・は、い」


ホストのイメージが先行して身構えてしまう悠介も、ぎこち無い笑顔を作るのが精一杯。


((今日から二週間どうしようっ))


手探りの義兄弟が互いに戸惑っている中、心の声だけは一致していた。
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