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修行編(瑠璃丸&京一郎) 4
闇の声 2
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「・・・へぇ~、そうなんや。
わざわざ、残すんか」
聞き流すかと思ったのに、珍しく瑠璃丸から相槌が返ってきた。
普段なら、仕事に関しては聞き流すばかりでほとんど反応が無いのに。
珍しいな。
「現当主の間は、使うことも無いだろうけど。
今までの伝統を情報としては残すそうだよ。
久しぶりに本家にも戻らなくてはいけないし、気が重い」
歌での捕縛を得意としている宮下家。
口頭伝承の歌をまとめるとなると・・・顔を合わせることは絶対だ。
「オレもいるし、何も言わせへんよ」
よしよしと頭を撫でられ。
そうだなと、無言で頷く。
属性持ちの瑠璃丸は、宮下家にとっては誉れらしい。
前当主時代は、私がお師匠様の弟子に選ばれたことを誉れとして。
現当主に代わってからは、瑠璃丸を角無し鬼として有していることを誉れにしている。
神宮寺家内での権力は、ほぼ最下層に近い宮下家。
時勢の流れに逆らうこともせず、ひたすら上に立つ人間に頭を下げて生きていた。
私はその本家からも外れた、分家の筋。
彼らにとっては、瑠璃丸のオマケみたいなもの。
「明日から、修行を手伝ってもらっていいかな?
雅の怪我もほぼ全開したし、御飯の時間以外は自由に出来るから。
食事は雅が全部担当するって言ってくれたし、力をつけることにまわしたいんだ」
せっかく白銀さんに聞いた他家の歌も。
忘れないうちに、声に出して歌いたい。
御山なら、周りへの影響も気にせず歌うことができる。
「えぇよ。
今日は、はよ寝とき」
いろいろ考えることが多すぎて。
瑠璃丸の声が、優しさが。
身体に染み込んでくる。
その優しい声に甘えて、私はゆっくりと意識を手放した。
わざわざ、残すんか」
聞き流すかと思ったのに、珍しく瑠璃丸から相槌が返ってきた。
普段なら、仕事に関しては聞き流すばかりでほとんど反応が無いのに。
珍しいな。
「現当主の間は、使うことも無いだろうけど。
今までの伝統を情報としては残すそうだよ。
久しぶりに本家にも戻らなくてはいけないし、気が重い」
歌での捕縛を得意としている宮下家。
口頭伝承の歌をまとめるとなると・・・顔を合わせることは絶対だ。
「オレもいるし、何も言わせへんよ」
よしよしと頭を撫でられ。
そうだなと、無言で頷く。
属性持ちの瑠璃丸は、宮下家にとっては誉れらしい。
前当主時代は、私がお師匠様の弟子に選ばれたことを誉れとして。
現当主に代わってからは、瑠璃丸を角無し鬼として有していることを誉れにしている。
神宮寺家内での権力は、ほぼ最下層に近い宮下家。
時勢の流れに逆らうこともせず、ひたすら上に立つ人間に頭を下げて生きていた。
私はその本家からも外れた、分家の筋。
彼らにとっては、瑠璃丸のオマケみたいなもの。
「明日から、修行を手伝ってもらっていいかな?
雅の怪我もほぼ全開したし、御飯の時間以外は自由に出来るから。
食事は雅が全部担当するって言ってくれたし、力をつけることにまわしたいんだ」
せっかく白銀さんに聞いた他家の歌も。
忘れないうちに、声に出して歌いたい。
御山なら、周りへの影響も気にせず歌うことができる。
「えぇよ。
今日は、はよ寝とき」
いろいろ考えることが多すぎて。
瑠璃丸の声が、優しさが。
身体に染み込んでくる。
その優しい声に甘えて、私はゆっくりと意識を手放した。
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