ブラック企業OLの転生先がブラックな魔王軍残党だったから改革に乗り出します

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ーーーー就職って、難しい。

入ってみてわかることばかりだ。
就職説明会では、教えてくれない。
会社のパンフレットには、書いていない。
人事採用担当者なんて、詐欺師、新たな生け贄を探し求める人買いだ。
でも、就職難の御時世に、辞めて転職先を探す勇気もない。
って言うか、転職先を探す暇も無いっ

私、並木　優奈(なみき　ゆうな)35歳は、そうやってずるずると大学卒業後に新卒採用枠で入社した企業の蟻地獄から抜け出せないでいた。

毎日、毎日、深夜残業。
休日は休みたくても、仕事が山積みなら出勤するしかない。　
もちろん、勤怠記録には残らない。
残業代だって、毎日二時間分しか振り込まれない。
朝イチ電車で出勤すれば、ゾンビ化した同僚が廊下で横たわっていたりするのは日常茶飯事。

優良企業と表彰された記念品が、玄関のガラス棚に陳列しているのを死んだ目で確認する。
おい、どこを見て毎年表彰してくるんだ。
お前らが監査する前日、仕事の手を止めて掃除やら隠蔽工作に自ら駆り出される身にもなってみろ！
本人が押さないタイムカード、普段は総務課の部屋に置いてあるんだぞ。
勝手に出勤と退勤が記録されてるんだぞ。

しかも、ワンマン社長の鶴の一声で行きたくもないイベント(社員強制参加。社長の趣味丸出しなボーリング大会にゴルフ大会、社長が行きたくなった温泉地に日帰り旅行、とか)を、休日平日問わずにぶっこまれるときだってある。

福利厚生は、社長の趣味代を浮かせるために有るんじゃないっっ

同級生からは、結婚しましたやら子どもが生まれましたやら幸せ報告が次々舞い込むけれど。
家と会社の往復で精一杯の私には、別次元の話。
出会いなんて、会社くらいしかない。
でも、会社にいるのはゾンビだけ。

私と同じ、社畜ゾンビしかいない。
そんな同族結婚に、明るい未来なんか見えない！

｢あぁ、会社、行きたくない・・・｣

それでも、律儀にアラームより目が覚めてしまうのは、すっかり飼い慣らされてるからだろうか。

その日もいつもの社畜生活が始まる筈だった。
独り暮らし専用１LDKのマンションから、電車で一時間先の駅まで揺られていく筈だった。

でも

その扉が開いたのは、一週間後。
会社の仕事が溜まりに溜まり、どうも私が出勤してないと知った名ばかり管理職の上司が家族と覗きに来て。
私の孤独死は漸く発見されたのだ。