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第6章 選択編

赤い目

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「どうやって来たわけよ‥ここってそう簡単に来れる場所じゃないって聞いたけど」


島への人間の侵入は、魔の瘴気により難しいはず。
まして、入り口付近じゃ、上位の魔物がうじゃうじゃ湧いて出てくるらしい。
帝ですら困難なこの死の島で、堂々と現れるなんて
何か理由があってか?もしかして‥犬君も‥来ているのだろうか


また‥胸がモヤモヤする。
2人でいるところをわざわざ俺に見せに来たって?
もう、放っておいてくれたら‥嫌な思いしなくてすむのにっ、忘れられるのに


なんだかイライラして、先程から睨んでばかりで黙っているラシルにキッと睨み返す。



「‥」



「‥はぁ、黙ってないで説明しろよ」

「それはお前がするべき事だろうーー」

「ッ‥」


ヒヤリと空気が変わる。
なんだか、雰囲気が、

昨日は、あんなにビクビク怯えていたのに‥
今の彼から感じられるのは絶対的自信と、俺に対しての
怒りーー



「ど、どういう意味だよ‥」


余裕ぶっこいてたのに、今じゃこの冷や汗。
いつ見たってこいつの威圧には身体が慣れない。
いや、慣れたくもない。


「お前が1番知っているはずだ。」


スッと細くなったラシルの赤い瞳に、なんだか居たたまれなくなる。
なぜ、そんな目をするんだよ‥
まるで、俺に裏切られたような‥
ッ、



「い、み‥わかんねえよッ。もう、説明はいいから‥さっさと帰れよッ!ここは、人間の来ていい場所じゃな、っうがッ!?」


胸が痛くて痛くて、涙が出そうになって
情けなくてラシルから目を逸らして叫ぶ。

その刹那、襟元を勢いよく掴まれて、首が引きちぎれそうなほど強く引き寄せられ俺はヒュッと息を飲んだ。
な、なに



「‥そうか、わかんねえんなら、その馬鹿な頭に教えてやる。」


「は、離せよッ」


ち、近いって‥。今にも鼻先がつきそうな距離にラシルがいて頬が高揚するのがわかる。嫌だ。ちがうッ!これはただ興奮して暑いだけッて誰に言い訳してんだよ俺っち!
くっそ、、
見たくないのに、お前の目なんて大嫌いだ。血みたいな色だし、怖えし、いつも殺気を放ってる。
宝石みたいで、すげえ綺麗で、見つめられると動けなくなって‥


「どうして姿が変わっている。あの後何があった。なぜ‥
‥俺から離れた?










サルーーー」



いつも、囚われてしまう‥って





「ッへ‥、」




い、いい今、なんて
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