11 / 39
変わらぬ日々
森のダンス
しおりを挟む
「何故、このような場所に‥?」
「俺が居ては悪いか‥?」
ここは、入学式の日に偶然見つけた場所。
学園にある美しい庭園ではなく、
手入れの行き届いていない枯れた庭園です。
一般生徒、ましてや王族や貴族が近づきたがる場所ではありません。
汚れたブロックに、蜘蛛の巣。
生い茂った木々。
「もしや‥虫取りですか‥?」
やはり、王族とあってもまだ12歳。
虫取りをしたくなるお年頃‥
虫がいる方へ足を進めていたら、
ここへたどり着いた‥ですかね‥?
ルド「貴様は馬鹿か!!誰がこの歳で虫取りをするか!!
はあ、よく聞け変人女。俺はな、ペアが出来ず貴様が落ち込んでいると思い、それを見て嘲笑ってやろうと、お前を探しにきてやったのだぞ、喜べ。」
ラピス「な、なぜ私が落ち込んでいると分かったのですか!?はっ!?もしかしてリカルド様は、人の心が読めるのですかっ!?」
ルド「は?!いや、まあ、‥そ、そんなところだ!!
というか!俺の質問に答えろ!
貴様は5年前アルベルトを治した踊り子かと聞いている!」
5年前の踊り子‥アルベルト様7歳の誕生日パーティーは今にも鮮明に覚えている。
煌めく世界。全てが初めてで‥
人々の目は緊張したけれど、
大勢の人々に感謝され、
また人の体を治せたという事実は
私を強くしました。
ラピス「はい。5年前、アルベルト様のお声を治療致しましたが、それが何か‥?」
ルド「やはりな‥アルベルトがやけにしつこく、お前を探しているから気になっていただけだ。」
ラピス「アルベルト様が‥?」
あの日から一度もお会いしていないというのに何故‥?
王様はパーティーの日、礼をしに行くとおっしゃっていましたが、
私を王族に干渉させないよう、両親が手を回していたはず。
私は、クローリー家にとって、
無くてはならない駒、
王族に取られてはたまらないといったところですわね。
ルド「貴様の歌と踊りが、忘れられないほど美しかったとよ。もう一度見てみたいと、何度も俺に話してきた。
まあ、その舞とやらを、
俺は偶然にも観たわけだが‥。
確かに美しかった‥。だが、
話で聞いていたほどでもないな。
期待はずれだ。」
期待、はずれ‥
ラピス「ふふ、そうですか‥。貴方の目にはそう見えたのですね。リカルド様は、良い目をしています。」
ルド「どういう意味だ‥?」
ラピス「いえ、この舞の能力を目にした人々の中には、神の力という者もおります。しかし、これは人間が作り出した力。欲にまみれた醜い人間が、欲の為に作り出した力なのです。ただ、欲の為だけの力。されど、人を救う力。
この力を沢山の人々が、奇跡と呼びます。
だけれど本当は、見えていないだけで、とてもとても醜いのです。
だから、期待はずれと言う言葉、その通りだと思いました。リカルド様は、隠れた物を見抜く瞳をお持ちなのだと、そう思っただけです。」
清い風が私達の間を通り過ぎる。
ルド「‥貴様は‥変な女だ。俺は、酷い事を言っているのだぞ‥?」
困惑した顔のリカルド様。
こんな顔をするリカルド様は、何故かそこまで親しくもないのに、珍しい気がした。
ラピス「あら?ふふ、自覚はあるのですね?」
ルド「チッ、貴様はまた、レディの扱いとやらで怒り狂うと思っていた‥。本当に期待はずれだ。」
ラピス「‥今の言葉は、わたくしにもう一度教えを請いたいと言う事でしょうか?」
ルド「何故そうなる!?貴様の頭はどうにかしているぞ!?」
ラピス「まあ!酷い!!レディに対してなんて事を!!これは、また教えて差し上げなければいけませんね。」
ルド「なっ!?」
ラピス「まずはエスコートからと教えたでしょ?さあ、リカルド様。お手を」
ルド「くそっ!?また!?おい、やめろ!!」
ラピス「次に私の腰に腕を回してください。ほら、こうです。」
ルド「まてまて!?何する気だ!!」
ラピス「簡単な事です。リカルド様は、私を慰めに来たのでしょう?レディを慰める方法は簡単です。女性の前に跪き、レディの腕をとって、ダンスにお誘いすればよいのです。」
ルド「慰めになど誰が!!俺は嘲笑いにきたんだ!!!」
ラピス「ふふ、わたくしは頑固ですのよ?お誘いがあるまで、貴方をを離しませんわ」
ルド「な、なん!?は、はなっ!?‥うぐ‥」
ラピス「さあ、少しだけこの可哀想な令嬢に付き合ってくださいませ。王子様」
ニコリといつも通りの笑顔を向ける。
お節介な人‥
たった1ヶ月の付き合いですわ。
クラスメイトの1人を追いかけてこんなところにまで来て‥
親しくもないのに、慰めようと、我儘を聞いてくれる。
ほら、今も
ルド「‥はあ‥分かった。くそっ、
レディ、私と一曲、踊っていただけませんか‥?」
彼が跪き、風が草木が空を泳ぐ。
黄金のその髪は、太陽に照らされ、キラキラと輝いていた。
まるで御伽噺に出てくる王子様の様。
だけど、
居た堪れないその表情は面白くって、
柄でもない事をするからです。
馬鹿な人‥
ラピス「ふふ、よろしくてよ?」
ルド「チッ、やはり気にくわない女だな。
だが、お前はそれでいいのかもしれないな‥。」
ラピス「どう言う事ですか‥?」
ルド「まあ、なんだ。生意気で馬鹿なお前が、一番お前らしいと言う事だ。」
ラピス「っ!?‥やはり、リカルド様は、見る目がありませんわ。」
ルド「なっ!?おい、さっきは!?良い目だと言ったではないか!!」
ラピス「‥だってわたくしは、聡明で華麗な令嬢ですわ。生意気や馬鹿などと、下品な言葉似合いませんもの。リカルド様は見る目がありません。」
ルド「き、さまっ!?覚えてろよっ!?くそくそ!!」
ラピス「あら、荒々しいダンスは嫌いじゃなくてよ?ふふ、」
ルド「っ~‥!?!?」
その楽しい時間は、
わたくしの胸の痛みも、孤独も、
全て忘れさせてくれた。
「俺が居ては悪いか‥?」
ここは、入学式の日に偶然見つけた場所。
学園にある美しい庭園ではなく、
手入れの行き届いていない枯れた庭園です。
一般生徒、ましてや王族や貴族が近づきたがる場所ではありません。
汚れたブロックに、蜘蛛の巣。
生い茂った木々。
「もしや‥虫取りですか‥?」
やはり、王族とあってもまだ12歳。
虫取りをしたくなるお年頃‥
虫がいる方へ足を進めていたら、
ここへたどり着いた‥ですかね‥?
ルド「貴様は馬鹿か!!誰がこの歳で虫取りをするか!!
はあ、よく聞け変人女。俺はな、ペアが出来ず貴様が落ち込んでいると思い、それを見て嘲笑ってやろうと、お前を探しにきてやったのだぞ、喜べ。」
ラピス「な、なぜ私が落ち込んでいると分かったのですか!?はっ!?もしかしてリカルド様は、人の心が読めるのですかっ!?」
ルド「は?!いや、まあ、‥そ、そんなところだ!!
というか!俺の質問に答えろ!
貴様は5年前アルベルトを治した踊り子かと聞いている!」
5年前の踊り子‥アルベルト様7歳の誕生日パーティーは今にも鮮明に覚えている。
煌めく世界。全てが初めてで‥
人々の目は緊張したけれど、
大勢の人々に感謝され、
また人の体を治せたという事実は
私を強くしました。
ラピス「はい。5年前、アルベルト様のお声を治療致しましたが、それが何か‥?」
ルド「やはりな‥アルベルトがやけにしつこく、お前を探しているから気になっていただけだ。」
ラピス「アルベルト様が‥?」
あの日から一度もお会いしていないというのに何故‥?
王様はパーティーの日、礼をしに行くとおっしゃっていましたが、
私を王族に干渉させないよう、両親が手を回していたはず。
私は、クローリー家にとって、
無くてはならない駒、
王族に取られてはたまらないといったところですわね。
ルド「貴様の歌と踊りが、忘れられないほど美しかったとよ。もう一度見てみたいと、何度も俺に話してきた。
まあ、その舞とやらを、
俺は偶然にも観たわけだが‥。
確かに美しかった‥。だが、
話で聞いていたほどでもないな。
期待はずれだ。」
期待、はずれ‥
ラピス「ふふ、そうですか‥。貴方の目にはそう見えたのですね。リカルド様は、良い目をしています。」
ルド「どういう意味だ‥?」
ラピス「いえ、この舞の能力を目にした人々の中には、神の力という者もおります。しかし、これは人間が作り出した力。欲にまみれた醜い人間が、欲の為に作り出した力なのです。ただ、欲の為だけの力。されど、人を救う力。
この力を沢山の人々が、奇跡と呼びます。
だけれど本当は、見えていないだけで、とてもとても醜いのです。
だから、期待はずれと言う言葉、その通りだと思いました。リカルド様は、隠れた物を見抜く瞳をお持ちなのだと、そう思っただけです。」
清い風が私達の間を通り過ぎる。
ルド「‥貴様は‥変な女だ。俺は、酷い事を言っているのだぞ‥?」
困惑した顔のリカルド様。
こんな顔をするリカルド様は、何故かそこまで親しくもないのに、珍しい気がした。
ラピス「あら?ふふ、自覚はあるのですね?」
ルド「チッ、貴様はまた、レディの扱いとやらで怒り狂うと思っていた‥。本当に期待はずれだ。」
ラピス「‥今の言葉は、わたくしにもう一度教えを請いたいと言う事でしょうか?」
ルド「何故そうなる!?貴様の頭はどうにかしているぞ!?」
ラピス「まあ!酷い!!レディに対してなんて事を!!これは、また教えて差し上げなければいけませんね。」
ルド「なっ!?」
ラピス「まずはエスコートからと教えたでしょ?さあ、リカルド様。お手を」
ルド「くそっ!?また!?おい、やめろ!!」
ラピス「次に私の腰に腕を回してください。ほら、こうです。」
ルド「まてまて!?何する気だ!!」
ラピス「簡単な事です。リカルド様は、私を慰めに来たのでしょう?レディを慰める方法は簡単です。女性の前に跪き、レディの腕をとって、ダンスにお誘いすればよいのです。」
ルド「慰めになど誰が!!俺は嘲笑いにきたんだ!!!」
ラピス「ふふ、わたくしは頑固ですのよ?お誘いがあるまで、貴方をを離しませんわ」
ルド「な、なん!?は、はなっ!?‥うぐ‥」
ラピス「さあ、少しだけこの可哀想な令嬢に付き合ってくださいませ。王子様」
ニコリといつも通りの笑顔を向ける。
お節介な人‥
たった1ヶ月の付き合いですわ。
クラスメイトの1人を追いかけてこんなところにまで来て‥
親しくもないのに、慰めようと、我儘を聞いてくれる。
ほら、今も
ルド「‥はあ‥分かった。くそっ、
レディ、私と一曲、踊っていただけませんか‥?」
彼が跪き、風が草木が空を泳ぐ。
黄金のその髪は、太陽に照らされ、キラキラと輝いていた。
まるで御伽噺に出てくる王子様の様。
だけど、
居た堪れないその表情は面白くって、
柄でもない事をするからです。
馬鹿な人‥
ラピス「ふふ、よろしくてよ?」
ルド「チッ、やはり気にくわない女だな。
だが、お前はそれでいいのかもしれないな‥。」
ラピス「どう言う事ですか‥?」
ルド「まあ、なんだ。生意気で馬鹿なお前が、一番お前らしいと言う事だ。」
ラピス「っ!?‥やはり、リカルド様は、見る目がありませんわ。」
ルド「なっ!?おい、さっきは!?良い目だと言ったではないか!!」
ラピス「‥だってわたくしは、聡明で華麗な令嬢ですわ。生意気や馬鹿などと、下品な言葉似合いませんもの。リカルド様は見る目がありません。」
ルド「き、さまっ!?覚えてろよっ!?くそくそ!!」
ラピス「あら、荒々しいダンスは嫌いじゃなくてよ?ふふ、」
ルド「っ~‥!?!?」
その楽しい時間は、
わたくしの胸の痛みも、孤独も、
全て忘れさせてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
ぱんだ
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる