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予鈴の鐘の音がして、俺はふと呟く。


「そろそろ、行かないと‥」



これ以上授業サボったら、




「‥まだ、だめ‥」 


ギュッと力を込められて、俺は困惑する。



「え‥でも授業」


「っ、俺の言うことが聞けないのか!!」



命令‥。
俺はそっと、彼の腕を外す。


「‥その言い方、好きじゃない」


「へ」


「俺、行く」


ささっと立ち上がって、ヌルリと俺の身体に戻っていく蛇達を確認し、
俺は扉へと歩き出す。


「ま、まって」


「カーディガン、好きにして、あと鍵かけた方がいいよ‥またアイツらみたいなやつが来たら、大変だし‥」


「お、おい」


「じゃあ」









「っ、側にいるって約束したのにッ嘘つき!!!!」


「っ!!」


ぶわっと魔力が俺の中を通り過ぎる。
声に‥魔力をのせたの?いや、無意識




「ふ‥う‥お前は‥嘘つきだぁ‥」


「え、ど、どうして、また泣いてッ」

「お前の‥せい‥だ、ろ‥っふ‥ゔ‥」


せっかく、泣き止んでいたのに、
また、沢山、

どうしていいのかわからなくてアタフタすると、蛇達がまた俺から出て行って、
彼の周りに集まり出す。


あ、謝れって、言ってるの‥?
俺が、泣かせた


「お、俺、アンタに何かしたのか?っごめん!!ごめんっ!!」


すぐに駆け寄って、またギュッと抱きしめる。
その時にブワッと何か魔力のようなものが彼から溢れ出したが、そんなの気にしてられない。

どうしたら、許してくれる?どうしたら、涙は止まる?


「ごめんっ、ごめんっ、泣かないでっ」


「ッ!!は、反省‥してるならッ、もう少し‥側にいろっ!」


「わかった。授業、行かない。アンタの側にいる。だから、泣かないで‥?」


「う、ん‥」


そっと俺の胸に顔を埋める彼。
どうやら、機嫌が直ったようで
俺にしがみついて、ぐりぐりと擦り寄ってくる。


俺はそんな彼の顔が見たくて、
そっと頬に触れた。

顔を上げた彼の目は真っ赤で痛々しい。



「また、目腫れちゃった‥ごめん」


「っ、」


「ごめん‥」


「もう、謝るなっ‥俺も‥あんな言い方して‥悪かった‥」



「っ!」


「ただ、お前に‥もう少しだけ‥側にいて欲しくて‥でも、弱いやつだって、思われるのが‥は、恥ずかし、かった、から‥」


弱いやつ‥?なんで?

「そんな事、思わないよ?」


「~、わかってるけど‥長年の、積み重ねと、いうか‥その‥す、素直に‥言葉が伝えられないんだッ‥」

「‥」

そんな、もの、なのかな。
俺には分からないけど、きっといっぱい悩んだんだね。


「‥やっぱり‥お前も、変だと‥思うか‥?」


「変‥?何が?」



「ッ、ぷは‥、お前って‥ほんとッ、はは」



っ、



「‥笑った」


「え?」


「アンタ、笑うとすごい可愛い」



「は、は!?」


「俺、おかしいのかな。」


「な、なにが」


だって、心臓のとこが変なんだ。


「スノウの耳は可愛いって思う。でも、人間の事、可愛いって‥抱きしめたいって‥もっと‥触れてみたいって‥思った事なかったんだ‥。」



「かわっ!?だきっ!?」


そうやって顔を真っ赤にするのも可愛い。
泣いていたら抱きしめたいって思う。

そして、
こんな風に
触れてみたいーー


「でも、アンタの笑顔見てたら、心臓がうるさくなって‥こんな風に、何度でも君に触れたくて‥ねえ、この気持ちって何?」


頬から唇に移動する手は、本能のままに動いていて


「っ、え、あ」


彼の顎を優しく掴んで、
俺はその唇へと近づいた。



「俺、アンタにもっと触りたいーー」




「っ」



「何やってるのっ‥リン」


背後から聞こえる声。
それと同時にくる衝撃。


「うおっ、!?」

「いっ‥スノウ?」
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みんなの感想(1件)

夢昴
2019.05.11 夢昴

え、俺様(?)君もスノウ君も可愛い………。
待望の主人公攻め小説ですか!?((((*゜▽゜*))))

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