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聖女の目覚め編
新しい部屋
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カレンとブラッド、エリックの三人は騎士団の館に戻る為に歩いていた。
「急に聖女だとか、聖なる炎とか……色々言われて頭が追い付きませんよ」
カレンはブラッドに愚痴を言う。
「悪いな。徐々にお前も今の立場に慣れていくだろう。お前のことは俺達が守るから、心配せずに過ごしてくれ」
「……うーん、守るってことは、常に監視がつくってことですか?」
「そうなるが、基本的には館の中なら自由にしてくれていい。外に出る時は騎士の護衛が必ず付くが」
「それなら、屋敷にいた時と変わらないかな」
カレンはホッとして笑みを浮かべる。ブラッドはそんなカレンに微笑む。
「ここなら、エマや他の友達ともすぐに会える。お前も寂しくないだろう?」
「あ……」
カレンの顔が熱くなる。ブラッドはカレンのことを気遣い、騎士団の館で暮らせるようにオズウィン司教を説得してくれたのだと気づいたのだ。
「ありがとうございます、ブラッド様」
「気にするな」
二人が顔を合わせて微笑み会うのを、少し後ろを歩いていたエリックが憮然とした顔で見ていた。
「……なんだか君達、僕がいなかった間に、随分仲良くなってない?」
カレンとブラッドはハッとなり、慌ててお互い首を振る。
「別に、いつも通りだぞ」
「そう! いつもこんな感じですよ」
「そうかなあ」
じっと探るような目つきで、エリックは二人の顔を見ていた。
♢♢♢
カレンの新しい部屋は、騎士の館の一番上の階にあった。このフロアは騎士団長、副団長クラスの騎士の部屋がある。ブラッドは勿論、エリックの部屋もこのフロアにある。
ブラッドに案内された部屋は、カレンが今まで過ごしていた部屋の倍、いやそれ以上はあった。
「狭い部屋で悪いな。今空いているのはこの部屋だけなんだ。お前の荷物は今使用人棟から運ばせているから、すぐに届くだろう」
ブラッドが申し訳なさそうにカレンに言う。
「狭いなんてとんでもない! めちゃめちゃ広い部屋でびっくりしてます!」
これが「狭い」とは、他の部屋はどれだけ広いのだろうとカレンは思う。
「なら良かった。両隣は聖女様がたまに来るくらいで、普段は空き部屋だ。俺の部屋は廊下の突き当たり、エリックの部屋はその向かいにあるから、何かあったら夜中だろうが遠慮せず呼んでくれ」
「分かりました」
「普段はアルドとローランがお前の面倒を見てくれる。二人ともしっかりした従騎士だ。安心して頼ってくれ」
アルドはともかく、ローランは話しやすそうだ。カレンは「ありがとうございます」と返しながら、ふと疑問を口にした。
「あの、この服装なんですけど……これを着ないと駄目ですか?」
カレンは聖女の服を着ている。ひらひらと裾が揺らめくブルーグレーのロングワンピースは、教会ではサマになるが、騎士団の館ではなんだか違和感がある。
「確かに、そうだな……この中ではかえって目立つな」
ブラッドは腕を組み、うーんと考える。
「今まで通り、使用人用の服を着てちゃ駄目ですか? その方が私も動きやすいし」
「……そうだな、その方が良さそうだ。教会に行くときに着替えればいいだろう。後で新しい服を持ってこさせる。それじゃ、俺は戻るからお前は部屋でゆっくりしててくれ」
「はい、ありがとうございました」
カレンはホッとしながらブラッドにお礼を言った。ブラッドはカレンに軽く微笑み、部屋を出て行った。
ブラッドが去った後、カレンは部屋の中をぐるっと歩いた。掃除は既に済んでいるようで、部屋の中は綺麗だった。大きなベッドが一つと、テーブルと椅子。洋服をしまうチェストに、物を書く為の机。一通りのものは揃っている。
しばらくするとアルドとローランがカレンの荷物を持ってきた。カレンは「後は自分でやるから」と言って、荷物をほどこうとする彼らを無理矢理帰した。荷物と言ってもいくつかの着替えと、化粧品やスキンケア用品と、後はブラッドにもらった「聖女の本」くらいのものだ。彼らに手伝ってもらうほどの荷物をカレンは持っていなかった。
着替えをチェストにしまっていると、今度はエマが使用人の制服を持って部屋を訪ねてきた。
「エマ! ありがとう!」
カレンは嬉しそうにエマを迎える。
「はい、これ。使用人の制服に着替えるんだって? せっかく綺麗な服を着てるのにもったいない気がするけど」
エマはカレンが着ている聖女の服を羨ましそうに眺めた。
「聖女の服だとここでは目立つからね」
カレンはエマから服を受け取りながら苦笑する。
「それもそうね……あ、ねえカレン! 私、ブラッド様からあなたの世話係として正式に命じられたの。これからよろしくね!」
エマはそう言って胸を張った。
「うそ、本当に!? 嬉しい!」
「命じられなくても、自分から名乗り出るつもりだったけどね。アルドとローランは男だから、女性の世話係がいた方がいいってブラッド様が言ったの」
「助かる……!」
「ああそれと、お風呂とトイレもちゃんと、このフロアに女性専用のものがあるから心配しないでね。教会みたいに豪華で綺麗じゃないと思うけど……」
「大丈夫だよ、ありがとう。教会のお風呂ってそんなに豪華なの?」
「そうらしいわよ。すごく広くて石鹸とか香油の種類も多いんですって! 羨ましいわよね」
エマはうっとりとした表情で話した。聖女は貴族街出身が多いらしい。彼女達が快適に暮らせるよう、教会の設備を豪華にしているのだろう。
アルドとローランを頼れと言われても、男相手だと気を使うことも多いので、エマが世話係についてくれるのはとても有難い。お風呂などの設備もあるようだし、新しい生活はなんとかなりそうだとカレンは胸を撫で下ろした。
「急に聖女だとか、聖なる炎とか……色々言われて頭が追い付きませんよ」
カレンはブラッドに愚痴を言う。
「悪いな。徐々にお前も今の立場に慣れていくだろう。お前のことは俺達が守るから、心配せずに過ごしてくれ」
「……うーん、守るってことは、常に監視がつくってことですか?」
「そうなるが、基本的には館の中なら自由にしてくれていい。外に出る時は騎士の護衛が必ず付くが」
「それなら、屋敷にいた時と変わらないかな」
カレンはホッとして笑みを浮かべる。ブラッドはそんなカレンに微笑む。
「ここなら、エマや他の友達ともすぐに会える。お前も寂しくないだろう?」
「あ……」
カレンの顔が熱くなる。ブラッドはカレンのことを気遣い、騎士団の館で暮らせるようにオズウィン司教を説得してくれたのだと気づいたのだ。
「ありがとうございます、ブラッド様」
「気にするな」
二人が顔を合わせて微笑み会うのを、少し後ろを歩いていたエリックが憮然とした顔で見ていた。
「……なんだか君達、僕がいなかった間に、随分仲良くなってない?」
カレンとブラッドはハッとなり、慌ててお互い首を振る。
「別に、いつも通りだぞ」
「そう! いつもこんな感じですよ」
「そうかなあ」
じっと探るような目つきで、エリックは二人の顔を見ていた。
♢♢♢
カレンの新しい部屋は、騎士の館の一番上の階にあった。このフロアは騎士団長、副団長クラスの騎士の部屋がある。ブラッドは勿論、エリックの部屋もこのフロアにある。
ブラッドに案内された部屋は、カレンが今まで過ごしていた部屋の倍、いやそれ以上はあった。
「狭い部屋で悪いな。今空いているのはこの部屋だけなんだ。お前の荷物は今使用人棟から運ばせているから、すぐに届くだろう」
ブラッドが申し訳なさそうにカレンに言う。
「狭いなんてとんでもない! めちゃめちゃ広い部屋でびっくりしてます!」
これが「狭い」とは、他の部屋はどれだけ広いのだろうとカレンは思う。
「なら良かった。両隣は聖女様がたまに来るくらいで、普段は空き部屋だ。俺の部屋は廊下の突き当たり、エリックの部屋はその向かいにあるから、何かあったら夜中だろうが遠慮せず呼んでくれ」
「分かりました」
「普段はアルドとローランがお前の面倒を見てくれる。二人ともしっかりした従騎士だ。安心して頼ってくれ」
アルドはともかく、ローランは話しやすそうだ。カレンは「ありがとうございます」と返しながら、ふと疑問を口にした。
「あの、この服装なんですけど……これを着ないと駄目ですか?」
カレンは聖女の服を着ている。ひらひらと裾が揺らめくブルーグレーのロングワンピースは、教会ではサマになるが、騎士団の館ではなんだか違和感がある。
「確かに、そうだな……この中ではかえって目立つな」
ブラッドは腕を組み、うーんと考える。
「今まで通り、使用人用の服を着てちゃ駄目ですか? その方が私も動きやすいし」
「……そうだな、その方が良さそうだ。教会に行くときに着替えればいいだろう。後で新しい服を持ってこさせる。それじゃ、俺は戻るからお前は部屋でゆっくりしててくれ」
「はい、ありがとうございました」
カレンはホッとしながらブラッドにお礼を言った。ブラッドはカレンに軽く微笑み、部屋を出て行った。
ブラッドが去った後、カレンは部屋の中をぐるっと歩いた。掃除は既に済んでいるようで、部屋の中は綺麗だった。大きなベッドが一つと、テーブルと椅子。洋服をしまうチェストに、物を書く為の机。一通りのものは揃っている。
しばらくするとアルドとローランがカレンの荷物を持ってきた。カレンは「後は自分でやるから」と言って、荷物をほどこうとする彼らを無理矢理帰した。荷物と言ってもいくつかの着替えと、化粧品やスキンケア用品と、後はブラッドにもらった「聖女の本」くらいのものだ。彼らに手伝ってもらうほどの荷物をカレンは持っていなかった。
着替えをチェストにしまっていると、今度はエマが使用人の制服を持って部屋を訪ねてきた。
「エマ! ありがとう!」
カレンは嬉しそうにエマを迎える。
「はい、これ。使用人の制服に着替えるんだって? せっかく綺麗な服を着てるのにもったいない気がするけど」
エマはカレンが着ている聖女の服を羨ましそうに眺めた。
「聖女の服だとここでは目立つからね」
カレンはエマから服を受け取りながら苦笑する。
「それもそうね……あ、ねえカレン! 私、ブラッド様からあなたの世話係として正式に命じられたの。これからよろしくね!」
エマはそう言って胸を張った。
「うそ、本当に!? 嬉しい!」
「命じられなくても、自分から名乗り出るつもりだったけどね。アルドとローランは男だから、女性の世話係がいた方がいいってブラッド様が言ったの」
「助かる……!」
「ああそれと、お風呂とトイレもちゃんと、このフロアに女性専用のものがあるから心配しないでね。教会みたいに豪華で綺麗じゃないと思うけど……」
「大丈夫だよ、ありがとう。教会のお風呂ってそんなに豪華なの?」
「そうらしいわよ。すごく広くて石鹸とか香油の種類も多いんですって! 羨ましいわよね」
エマはうっとりとした表情で話した。聖女は貴族街出身が多いらしい。彼女達が快適に暮らせるよう、教会の設備を豪華にしているのだろう。
アルドとローランを頼れと言われても、男相手だと気を使うことも多いので、エマが世話係についてくれるのはとても有難い。お風呂などの設備もあるようだし、新しい生活はなんとかなりそうだとカレンは胸を撫で下ろした。
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