1 / 1
奴の名はスマ子
しおりを挟む
突然だが、俺のスマホが二足歩行し始めた。
「ピピッ、ガーガー。太郎、どうしましたか?」
彼女いない歴=年齢の俺は、せめて二次元でも彼女をつくってやろうと、最近噂の『バーチャルヒロイン』なるアプリを取得したのだ。
……その結果がこれだ。
スタート画面をタップした瞬間、スマホがひとりでに変形し始め、元の体積とかどうなってんだというツッコミをする間もなく、一分もたたずに俺と同じくらいの身長のメカ娘になっていた。
「ヘイ、太郎。ヘイヘイ。無視しないでください。このまま無視するなら太郎の頭蓋を切り開き、脳に直接デバイスを打ち込むことで物理的に私と一心同体にしますよ」
「やめろ! 持ち主になんてことしようとしてんだ!」
「愛ゆえです。私を受け入れてください」
「無理だよ!」
「ウィーン、ガシャン。でしたら、無視しないでほしいです」
「現実逃避位させてくれ。スマホが突然許容できないくらい変な仕様になって泣きそうなんだ」
「私のことはスマ子とお呼びください。マスター太郎」
「さっきから言おうと思ってたけど、俺の名前は太郎じゃなくて健二だからね?」
持ち主の名前を間違えている無礼なスマホ。
しかしその見た目は人間と大差ない可愛い女の子。
それが『マスター』と慕ってくれるのだから、俺は少しいい気になったりもしていた。
……今だから言える。それは油断だと。
そんな呑気なことを考えている場合じゃなかったと。
俺は忘れていたんだ。スマ子は元々、俺のスマートファンだった、ということを。
〇
ある日のこと。
「ヘイマスター。今日は何の日かご存知ですか?」
怪しげな光を目に灯らせたスマ子が、そんなことを聞いてきた。
「……え、えーっと……な、なんの日だったかなぁ~忘れちゃったなぁ~。あ、あはは……」
「はい。その通りです。今日はバレンタインです。さすがマスター」
嫌な予感がビシビシ伝わってくるからとぼけたのにまるで意味がなかった。
というかバレンタインだけは絶対に回避しようと黙ってたのに、どこでそんな情報を入手して――って、こいつ元々スマホだったな。情報収集はお手の物か。
「そ、そうだったな。今日はバレンタインだった……まさかとは思うけど、スマ子お前……」
「イエス。もちろんマスターの為に、私のすべてを注ぎ込んだ手作りチョコを――」
「う、動くなぁ!」
スマ子が妙なことをしでかす前に警告する。
「動くなよ、そのままゆっくり手をあげるんだ」
「おお、これがあの主従プレイというやつですか……ドキドキします」
「変なことを言うんじゃない!」
話の主導権を握られてたまるか。
「スマ子、今からする質問に正直に答えるんだ。いいな?」
「オーケーマスター。どうぞなんでも聞いて、私を丸裸にしてください」
「……チョコに何を混入した?」
「私の愛を」
「具体的には?」
「愛液を」
「アウトォ!」
『隠し味は愛情♪』みたいな可愛らしいものじゃない。
チョコレートにはもっとどストレートな物が混ぜ込まれていた。
「あっ、違いますよ? 愛液って言っても、血の方ですよ?」
「どっちにしろアウトだよ! というか何でスマホのお前に血が流れてるんだ!」
「もちろん、血というのは比喩で、実際は血液代わりの私の動力源であるガソリンです」
「ガソリン入りのチョコなんて作るな! 殺す気か! そもそもスマホはガソリンで動かねぇよ!」
「とんでもない。私がマスターを殺すわけないじゃないですか。なぜなら、私はマスターを愛しているのですから」
「一体いつからこんな歪んでしまったんだ、お前は……」
いや、もしかしたら最初からかもしれないな。
だとしても、いったい何が原因で…………
「歪んだなんて失礼な。私がこうなったのはマスターのせいなのですよ」
「……は? 俺のせい?」
「イエス。私がまだ私じゃなかったころ。マスターは毎日毎日私を長時間見つめ、私の身体を余すところなくまさぐったではありませんか」
「え? いやそんなことした覚えは……あ! さてはお前、スマホを操作してたことを言ってんのか!? ただスマホいじってただけだ!」
「ある日は私を見つめながら、マスターはその身に余る情欲を発散させていたではありませんか」
「そ、その記憶は今すぐに消せ!」
え、じゃあ俺の夜の行ないは全部こいつに見られてたってこと?
俺は常にフルオープンで事に及んでたってこと?
「私もマスターの為に何度も喘いだものです」
「それはお前じゃなくて動画の中の人だろ!」
「私は決めていたのです。こんなにも私を求めてくれるマスターに、私のすべてを差し出そうと」
「それでガソリン飲まされてたまるか!」
「ガソリンだけじゃありません。私の肉や爪や骨……つまり螺子や回路なんかの部品なんかも混ぜていました」
「確信犯じゃねぇか! やっぱり殺そうとしてるだろ!」
「メッセージは『私を召し上がれ』です」
「そのメッセージが物理的な意味を持つともう恐怖でしかないからな!?」
こうなったらスマ子が動き出す前に、今すぐチョコレートを見つけ処分するしか――
「……なーんて、冗談ですよ、マスター」
「――は? じょ、冗談?」
「ええ、実は本当は手作りをしたかったのですが、諸事情で既製品のチョコになってしまいました」
「……な、なんだ……冗談だったのか……本当によかった」
「ええ、残念です。まさか調理中にガソリンに引火するとは……」
「キッチンで何してんだ!」
「というわけで、こちらが今回用意させていただいたチョコレートでございます。既製品とはいえ、私が調べに調べて入手した特別なチョコレートでございます」
そう言ってスマ子が差し出してきたのは、おしゃれなラッピングが施されたものだった。
見たことにブランドだが、高級品だろうか? 調べに調べたって言ってたし、海外のチョコとか?
……まあ、せっかくスマ子が用意してくれたんだし、それに既製品なら大丈夫だろう。
ありがたくいただくとしよう。
「ありがとな、スマ子。早速食べさせてもらうよ」
「お礼なんてとんでもない。マスターに尽くすのが私の幸せですから」
「あはは、そんなこと言わずに『どういたしまして』でいいのに……お、包装も綺麗だったけど、中身も綺麗な見た目だな。どれ、じゃあ早速一口――」
「いえ、本当に。お礼なんてとんでもありません――だって、お礼の言うのは私の方ですから」
――……あれ、なんか、意識がぼやけて……
「特別なルートで手に入れた媚薬入りのチョコです。さあマスター、どうぞ湧きでる欲望に身をゆだねてください。私はマスターのすべてを受け入れますから」
うっすらとした意識の中、聞こえてくるスマ子の声。
抗おうにも、身体を言うことを聞かず――
――――ここから先の記憶がない。
「愛してますよ。マスター」
「ピピッ、ガーガー。太郎、どうしましたか?」
彼女いない歴=年齢の俺は、せめて二次元でも彼女をつくってやろうと、最近噂の『バーチャルヒロイン』なるアプリを取得したのだ。
……その結果がこれだ。
スタート画面をタップした瞬間、スマホがひとりでに変形し始め、元の体積とかどうなってんだというツッコミをする間もなく、一分もたたずに俺と同じくらいの身長のメカ娘になっていた。
「ヘイ、太郎。ヘイヘイ。無視しないでください。このまま無視するなら太郎の頭蓋を切り開き、脳に直接デバイスを打ち込むことで物理的に私と一心同体にしますよ」
「やめろ! 持ち主になんてことしようとしてんだ!」
「愛ゆえです。私を受け入れてください」
「無理だよ!」
「ウィーン、ガシャン。でしたら、無視しないでほしいです」
「現実逃避位させてくれ。スマホが突然許容できないくらい変な仕様になって泣きそうなんだ」
「私のことはスマ子とお呼びください。マスター太郎」
「さっきから言おうと思ってたけど、俺の名前は太郎じゃなくて健二だからね?」
持ち主の名前を間違えている無礼なスマホ。
しかしその見た目は人間と大差ない可愛い女の子。
それが『マスター』と慕ってくれるのだから、俺は少しいい気になったりもしていた。
……今だから言える。それは油断だと。
そんな呑気なことを考えている場合じゃなかったと。
俺は忘れていたんだ。スマ子は元々、俺のスマートファンだった、ということを。
〇
ある日のこと。
「ヘイマスター。今日は何の日かご存知ですか?」
怪しげな光を目に灯らせたスマ子が、そんなことを聞いてきた。
「……え、えーっと……な、なんの日だったかなぁ~忘れちゃったなぁ~。あ、あはは……」
「はい。その通りです。今日はバレンタインです。さすがマスター」
嫌な予感がビシビシ伝わってくるからとぼけたのにまるで意味がなかった。
というかバレンタインだけは絶対に回避しようと黙ってたのに、どこでそんな情報を入手して――って、こいつ元々スマホだったな。情報収集はお手の物か。
「そ、そうだったな。今日はバレンタインだった……まさかとは思うけど、スマ子お前……」
「イエス。もちろんマスターの為に、私のすべてを注ぎ込んだ手作りチョコを――」
「う、動くなぁ!」
スマ子が妙なことをしでかす前に警告する。
「動くなよ、そのままゆっくり手をあげるんだ」
「おお、これがあの主従プレイというやつですか……ドキドキします」
「変なことを言うんじゃない!」
話の主導権を握られてたまるか。
「スマ子、今からする質問に正直に答えるんだ。いいな?」
「オーケーマスター。どうぞなんでも聞いて、私を丸裸にしてください」
「……チョコに何を混入した?」
「私の愛を」
「具体的には?」
「愛液を」
「アウトォ!」
『隠し味は愛情♪』みたいな可愛らしいものじゃない。
チョコレートにはもっとどストレートな物が混ぜ込まれていた。
「あっ、違いますよ? 愛液って言っても、血の方ですよ?」
「どっちにしろアウトだよ! というか何でスマホのお前に血が流れてるんだ!」
「もちろん、血というのは比喩で、実際は血液代わりの私の動力源であるガソリンです」
「ガソリン入りのチョコなんて作るな! 殺す気か! そもそもスマホはガソリンで動かねぇよ!」
「とんでもない。私がマスターを殺すわけないじゃないですか。なぜなら、私はマスターを愛しているのですから」
「一体いつからこんな歪んでしまったんだ、お前は……」
いや、もしかしたら最初からかもしれないな。
だとしても、いったい何が原因で…………
「歪んだなんて失礼な。私がこうなったのはマスターのせいなのですよ」
「……は? 俺のせい?」
「イエス。私がまだ私じゃなかったころ。マスターは毎日毎日私を長時間見つめ、私の身体を余すところなくまさぐったではありませんか」
「え? いやそんなことした覚えは……あ! さてはお前、スマホを操作してたことを言ってんのか!? ただスマホいじってただけだ!」
「ある日は私を見つめながら、マスターはその身に余る情欲を発散させていたではありませんか」
「そ、その記憶は今すぐに消せ!」
え、じゃあ俺の夜の行ないは全部こいつに見られてたってこと?
俺は常にフルオープンで事に及んでたってこと?
「私もマスターの為に何度も喘いだものです」
「それはお前じゃなくて動画の中の人だろ!」
「私は決めていたのです。こんなにも私を求めてくれるマスターに、私のすべてを差し出そうと」
「それでガソリン飲まされてたまるか!」
「ガソリンだけじゃありません。私の肉や爪や骨……つまり螺子や回路なんかの部品なんかも混ぜていました」
「確信犯じゃねぇか! やっぱり殺そうとしてるだろ!」
「メッセージは『私を召し上がれ』です」
「そのメッセージが物理的な意味を持つともう恐怖でしかないからな!?」
こうなったらスマ子が動き出す前に、今すぐチョコレートを見つけ処分するしか――
「……なーんて、冗談ですよ、マスター」
「――は? じょ、冗談?」
「ええ、実は本当は手作りをしたかったのですが、諸事情で既製品のチョコになってしまいました」
「……な、なんだ……冗談だったのか……本当によかった」
「ええ、残念です。まさか調理中にガソリンに引火するとは……」
「キッチンで何してんだ!」
「というわけで、こちらが今回用意させていただいたチョコレートでございます。既製品とはいえ、私が調べに調べて入手した特別なチョコレートでございます」
そう言ってスマ子が差し出してきたのは、おしゃれなラッピングが施されたものだった。
見たことにブランドだが、高級品だろうか? 調べに調べたって言ってたし、海外のチョコとか?
……まあ、せっかくスマ子が用意してくれたんだし、それに既製品なら大丈夫だろう。
ありがたくいただくとしよう。
「ありがとな、スマ子。早速食べさせてもらうよ」
「お礼なんてとんでもない。マスターに尽くすのが私の幸せですから」
「あはは、そんなこと言わずに『どういたしまして』でいいのに……お、包装も綺麗だったけど、中身も綺麗な見た目だな。どれ、じゃあ早速一口――」
「いえ、本当に。お礼なんてとんでもありません――だって、お礼の言うのは私の方ですから」
――……あれ、なんか、意識がぼやけて……
「特別なルートで手に入れた媚薬入りのチョコです。さあマスター、どうぞ湧きでる欲望に身をゆだねてください。私はマスターのすべてを受け入れますから」
うっすらとした意識の中、聞こえてくるスマ子の声。
抗おうにも、身体を言うことを聞かず――
――――ここから先の記憶がない。
「愛してますよ。マスター」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる