グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ

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第1章 始まりの街『グリィト』

第17話  初クエスト

 可愛い新品のお洋服と肩かけマジックバッグを揺らして、グリィトの街を歩く。わたしの足元には子犬サイズのモッフィがとてとてと歩き、隣にはベルドさんたちも着いてきてくれていた。
 向かうは冒険者ギルドだ!
 ギルドに到着して扉を開けると、すでに多くの冒険者たちで活気がある。
 ガヤガヤしたギルド内を抜け、大きなクエストボードの所に向かった。

「アイリはどんなクエストを受けるつもりなんだ?」
「ううむ、そうですねぇ」

 ベルドさんの質問に、わたしはクエストボードを見上げて唸る。
 クエストボードには、羊皮紙に記載された様々な依頼書が無造作にピンで留められている。

 悩むわたしに、ジェシーさんが微笑みかける。

「でも、アイリちゃんの冒険者ランクならそう悩む必要もないんじゃないかしら? クエストは冒険者ランクで割り振られてるから、自分のランクよりも上位のクエストは受けられないし」
「そうなんですね」
「アイリは昨日冒険者になったばかり。ならば今のランクは一番下のGランクだろう」

 わたしはマジックバッグから昨日貰ったギルドカードを取り出し、再確認。
 そこには、わたしの名前と冒険者ランクが記載されていた。マーレスさんの言う通り、『Gランク』とある。

「えーと、Gランクでも受けられるクエストは……」

 わたしは再びクエストボードを見上げた。
 Gランクの冒険者が受注可能なクエストを選別して確認していく。

「えーと、なになに……ゴブリン一体の討伐、スライム五体の討伐、グリィト付近の川の水質調査、街のごみ掃除、ポーション製作の補助作業――って、なんか雑用系多くない!?」

 クエストって言ってたから、もっと魔物と戦ったりするのを想像してたんだけど! そういう系のクエスト、ゴブリンとスライムしかないじゃん!
 それに報酬も軒並み安い。
 だいたい銀貨一枚から五枚程度。
 日本円で千円から五千円くらいがGランク冒険者が受けられるクエストの報酬相場っぽい。
 短期バイトでももうちょっと稼げるよ。

「なんと世知辛い……でも、現実はこんなものか」

 Gランクは冒険者として駆け出しの人間。
 そんな初心者がいきなり魔物と戦ったりとかを任せられないのだろう。まずは報酬が安くてもクエストを受注して冒険者活動に慣れることが大事ってことか。何事もステップアップが重要、と割り切るしかない。
 理想と現実のギャップに項垂れていると、ギルドの奥から人影が現れる。

「――あれ? もしかしてアイリちゃん?」
「あ、ネモさん!」

 ギルドの奥から出てきたのは、商人のネモさんだった。
 昨日助けたベルドさんたちが護衛していた人だ。
 荷馬車の中で少しお話をして、その後わたしが不法入国の疑いでしょっぴかれたっきりの出会いだ。
 字面にしたら凄い別れ方してるな。

「やっぱりアイリちゃん! 昨日は大丈夫だった!? 酷いことされてない!?」
「だ、大丈夫です! 割りとすぐに解放されたので!」
「そ、そうなの!? 良かったぁ」

 ネモさんはほっと胸を撫で下ろす。
 心配をかけてしまったみたいだ。申し訳ない。

 遅れて、ネモさんはベルドさんたちの存在に気付く。

「あ、これはベルドさんたちも。こんにちは」
「こんにちは。昨日は魔物の襲撃にあってしまいましたが、お変わりないですか?」
「はい、おかげさまで。ベルドさんたちが護衛してくださったので」

 ネモさんはベルドさんたちに軽く世間話がてら挨拶を済ますと、「あ、そうだ」と言ってわたしに向き直った。

「アイリちゃん、この街の巻物スクロール店はもう行ってみた?」
「はっ! そうだった!」

 完全に忘れてた!
 昨日の内に見ておこうかと思ってたけど、この街のパン屋さんの方に夢中で巻物スクロールなんて思い出しもしなかったよ!

「す、すみません。まだ行けてないです」
「あ、そうだったの? じゃあ、行かなくて正解だったわ。一応私も寄ってみたんだけど、やっぱりアイリちゃんが求める『魔法の暴発』に関する巻物スクロールはなかったから。あるのは下級の攻撃魔法とか、ちょっとした生活魔法を収めた巻物スクロールくらいなもんよ」
「そうだったんですか」

 まあ、最初からネモさんはグリィトの街の巻物スクロール店は望み薄だって言ってたから、その通りの結果になっただけか。
 やっぱりわたしが求める巻物スクロールを入手するには、王都まで向かわないとダメっぽいなぁ~。

「まあ、もし良さそうな巻物スクロールの話を聞いたら、またアイリちゃんに教えてあげるわ。しばらくこの街にいるつもりだから」
「ありがとうございます! 助かります!」
「ふふふ、気にしないで」

 ネモさんはなでなでとわたしの頭を撫でた。
 近所の優しいお姉さんみたいな感じだ。

「それよりもクエストボードを眺めて、何をしてたの? もしかしてベルドさんたちと一緒にクエストに行く気? ははは、なーんてね。さすがに幼いアイリちゃんがクエストに着いていくなんてことあり得ないわよね~」

 ネモさんは冗談めかして笑った。

「あー、いえ、これはわたしが受けるクエストを探してて……」
「もう何言ってるのよ、アイリちゃん! 冒険者ギルドのクエストは、ギルドカードがないと受けられないのよ?」
「ギルドカードなら、持ってます」

 わたしは自分のギルドカードを見せる。
 ネモさんは笑いながら受け取った。

「もぉ、アイリちゃんったら。こんなおもちゃのギルドカードじゃ受付のお姉さんに怒られちゃうわよ……――って、ええ!? こ、これ本物っ!?」

 ネモさんは目が飛び出すような勢いでギルドカードをガン見する。

「そ、そんな!? アイリちゃんみたいな子供がどうやって!?」
「昨日ザレックさんとお話して、色々あってギルドカードもらえることになりました」
「ザレックさんって、このギルドのギルドマスターの!?」

 ネモさんは驚きに驚きを重ねる。
 その狼狽っぷりに、周りの視線を集めてしまった。
 わたしは少し周囲の目を気にしつつ、ネモさんに説明する。

「ま、まあそんな訳で、クエストを受けようと思って探してたんです。とはいえ、わたしはまだ冒険者になったばかりのGランクなんで、受けられるクエスト数が少なくて。しかも報酬も安いし」
「そ、そうだったのね。まさか本当に冒険者として正式に認められてるとは思わなくて、ごめんなさい」
「俺たちも未だに信じられないから、気持ちは分かりますよ」

 ベルドさんたちが苦笑してフォローした。
 ネモさんからギルドカードを返してもらう。
 と、ネモさんが何かを思い付いたようにゴソゴソと懐をまさぐる。

「そうだ! もし割りの良いクエストを探してるんだったら、グッドタイミングかもしれないわ! ちょうど、新しい依頼を出したいと思ってて、たった今手続きを負えたところだったのよ」

 そして、ネモさんは一枚の羊皮紙をわたしに渡してきた。

「良かったらアイリちゃん、私からの仕事クエスト――受けてみない?」  
「これは……?」

 羊皮紙に視線を落とすと、クエストのタイトルが目に飛び込んできた。
 わたしは文面を読み上げる。

「薬草採取のご依頼。『ペロナ草』十本・『ヒールフラワー』三輪の採取をお願いします。報酬は銀貨三枚。余分に採ってきた薬草は別途買取のご相談も可能――!!」

 薬草採取か!
 これも異世界モノの定番クエストの一つだ!
 それに魔物と戦うことが目的じゃないから、冒険者の初仕事としてはちょうどいいかも。
 基本の報酬自体は安いけど、薬草をいっぱい採ってきたらそのぶん稼ぎが大きくなる仕組み! 
 歩合制の薬草採取クエストか!

「報酬相場はあまり変わらないけど、薬草をたくさん採ってきてくれたらその分稼ぐことができるわ。Gランクでも受けられるから、アイリちゃんでも問題ないし。どうかしら?」

 ネモさんに、わたしは頷いた。

「わたし、この薬草採取クエスト、受けてみます!」

 かくして、冒険者としての初クエストを受けることを決意する。
 わたしは依頼書を持ってギルドのカウンターに向かい、正式に薬草採取クエストを受注したのだった。

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