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その他
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しおりを挟むそれは下校時に起きた。
猛スピードで車が近づくのが見える。
「危ない!」「キィキィー!!」「ドンッ!」
耳をつんざくブレーキ音がして、すぐ横で友達の春君の体が飛んだ。
ドサッと硬いコンクリートの上に落ちると春君は動かなくなる。血が道路に広がっていった。
「うわっ!うわあああああ!!!」
叫びながらベッドから飛び起きる。夢だ。これは夢だ。
十年前の出来事が今も鮮明に思い出される。
小学生の時、友達が目の前で交通事故にあった。
あの時の記憶が十年たった今も僕を苦しめていた。僕は側にいて何も出来なかった。
その記憶はトラウマになり、僕はあれからずっと部屋に引きこもっていた。
幸いうちは両親がある程度の資産を持っていた。引きこもっていても何も言われなかった。逆に今もトラウマに苦しめられている僕を労ってくれる。
悪夢のせいでろくに眠れない。
今夜もネットサーフィンをしながら、睡眠薬を探していると、画面にバナー広告が流れる。
それは胡散臭い薬剤の広告だった。
「過去に戻る薬。カコナール。
過去に戻って人生をやり直しましょう」ふざけるな。
そんなものがあるわけがない。
もし、過去に戻ることが出来たら、この苦しみなんて簡単に解決出来るだろう。て思いながらも。
気づいたらAmazonでポチッと注文していた。
チャイムが鳴り、両親が商品を受け取る。
「まさよし、荷物届いたわよ」廊下から一言声をかけると、両親はいつも通り届いた商品を部屋の前に置いてくれる。ドアを少し開け、廊下に誰もいないことを確認すると商品を受け取った。
小さな箱の中にそれは入っていた。
白いカプセル。
説明には一日一回食後の後に服用とだけ書いてあった。
カプセルを口にいれ、水で流し込む。
何も起きない。当たり前だ。こんな薬で過去に戻れるわけがない。何をやってるんだ僕は…。
強烈な目眩がおきる。部屋の風景がグニャリと歪み、強烈な頭痛が襲う。頭が割れるように痛い…。ううっ…。
目蓋を開けると眩しい光が目に入る。
僕は表にいた。パジャマ姿のままで路上にいる。
その姿をみて、道行く人がクスクス笑う。恥ずかしい。
ここは見覚えがある。通学路だ。薬で幻覚をみているのか?
とにかくこんな格好で外にはいられない。急いで家に戻ろう。早く家に…。
横断歩道を渡る小学生達が目に入る。
あれは…小学生の自分がそこにいた。薬は効いていた。過去に戻っていたんだ。
僕達はこのあと事故にあうとは微塵も思わず、はしゃぎながら道路を渡っている。
今ならまだ間に合う。春君を助けることが出来る。暴走車がカーブを曲がりスピードをあげる。
2人の会話する声が聞こえた。
「まさよし、お前ってさ、なんか気持ち悪いよな」
春君が言った言葉に未来と過去の俺が立ち止まる。
「危ない!」と叫んだが遅かった。
「キィキィー!!」「ドンッ!」
耳をつんざくブレーキ音がして、すぐ横で春君の体が飛んだ。
ドサッと硬いコンクリートの上に落ちると春君は動かなくなる。血が道路に広がっていった。動けなかった。
僕は過去を変えることは出来なかった
「うわっ!うわあああああ!!!」叫びながらベッドから飛び起きる。家だ。いつの間にか自室の中にいる。
夢だ。また夢をみたんだ。でも…夢にしてはリアルすぎた。
「まさよし、お前ってさ、なんか気持ち悪いよな」
春の言葉を…記憶を思いだす。
「ははっ…あんなやつ助ける必要なかったんだな…」
過去は変えることは出来なかった。結局何も出来なかった。
でも今の自分を変えることはできる気がする。
部屋のドアをあけ廊下に出る。
玄関をあけて出ると、外は気持ちのいい風がふいていた。
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