ホラーの詰め合わせ

斧鳴燈火

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その他

ナビゲーション

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群馬に住む友人の家まで、車で遊びにいくことになった。
道を覚えるのが苦手なので、道順はカーナビに任せきり。
仕事終わりに出発し、時刻はもう23時を過ぎていた。
すっかり夜遅くなってしまったが、その分道路はすいて、運転は快適だった。
雨雲が近づいてくる。
雨も降り出し天候も悪化してきたようだ。
ポツポツとフロントガラスに雨粒が落ちた。
「この先を右に曲がります…」カチカチとウインカーをだし、ハンドルを右にきる。
カーナビの指示通り進み山道に入っていく。

「本当にこの道で大丈夫なのかな…」
少し不安になってきた。曇り空のせいかナビの調子がおかしい気がする。それに前はこんな道を通ったことはなかった。
この山道を抜ければ、街道に出るはず…。
そう思いながら進むが、道幅は段々せまくなり、車がすれ違えないような一本道になる。
私は誘い込まれるように山の奥深くに入っていった。

「目的地に到着しました…ザ」
山の中で車は止まる。周りは木に囲まれ。
目の前には大きな木が、ライトで照らされ立っていた。
行き止まりだ。この先には進めない。
やはり曇り空でナビがズレていたのかも知れない。
だがナビは終わらない。
「目的地に到着しました。目的地に到着しました。目的地に到着しました。目的地に到着しました。目的地に到着しました。目的地に…」
カーナビの様子がおかしい。
ずっと同じことを言い続けている。完全に壊れたようだ。
どちらにせよ引き返すしかない。
「うわっ!」
顔をあげると車のヘッドライトの明かりに、背の高い女性が照らされていた。
こんな山の中に人がいること自体ありえないことだが、その女性は雨の中ずぶ濡れになり立っている。
かなりの高さで2メートル以上はありそうだ。
女は無言で車に近づく。
「目的地に到着しました」
それはナビと同じ音声でゆっくり喋るとニヤリと口元を歪める。まるでこの女が案内していたかのようだ。
本能的に危険を感じ、ゾッとした。
人間ではない。人の形をした何かだ。その何かに誘い込まれたのだ。
恐怖に駆られ急いでギアをバックに入れると、車を後方に発進させる。

方向転換出来る道幅はない。
来た道をバックで戻る。
女は走って追っかけてくる。
「クソぉ!何なんだよ!一体!」
タイヤが泥道で滑った。
あっと思った時には車は横転しながら崖を落ちていく。
少しの浮遊感のあと、強い衝撃が体にかかる。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
意識を取り戻し、車から這い出すと目の前にあの女の顔がある。
逃げられない…。女の長い手が伸びる。

「もくてきちがへんこうされました。もくてきちまであと50メートルです」腕を掴むと体ごと引きずる。
腕を掴む手は力強く、引き剥がそうとしても離れない。
前方には古びた木造の小屋がみえる。目的地とはあの小屋のことだろう。
この女は何者?女の目的は?何故こんなことを?
あそこに辿りついたらどうなるのだろうか?
「離せ!はなせー!!」
恐怖で気が狂いそうだ。逃れようともがくが強い力で引っ張られる。体の痛みで力がはいらない…。痛い。怖い。
抵抗虚しく小屋に近づいていく。

小屋の扉が開かれる…
小屋の角には山積みに積まれた何かがある。
それが何であるかは言いたくない。
「案内を終了致します」女は手にナタを持つ。
「うわあああああああ…」
扉は閉められ、悲痛な叫びは雨音でかき消された。
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