バス停

エヌ·ケイ

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バス停

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学校までの通学に私は毎日同じバスにのる。
バスは学校まで一本で学園の前まで停まる。
バスの中は通学に使う女子高生が多く。
車内はいつも騒がしい。

バスにのり、座席に座ると私はいつも窓の外の景色を眺める。
いつからだろう、同じバス停でずっと立っている男性がいる。
バスはいつも、その男性を無視して先に向かう。
雨の日も風の日もその男は立っている。
不思議に思いながらも窓から毎日その男性のことを見ていた。そして、たまにその男性と目が合った。
「ねえ、佳代あの人さ。いつもいない?」
「え、どれどれどの人?」友達には見えていない。
薄々私は気づいていた。
男は私にしか見えていないことを。

今日はバスに乗った瞬間。何か違和感を感じた。
何かいつもと違う空気。そんな中でもいつもの様に、ギャル達は大きな声でお喋りをしている。
私は空いている席に座る。
今日はバス停にバスが止まった。
立っている男と目が合う。
「嘘」
男が乗り込んできた。お金も払わずに運転手をじっとみる。
「見えてる?」
運転手はそのままバスを発進させる。
乗り込んできた男からは黒い湯気のようなものが見える。やはり、普通じゃない。男は車内を物色しながら移動する。
男は私の席の傍にたつ。
「見えてる?」
私の顔を覗き込む。
「ねえ、見えてる?」

「見えてるよー」
「見えてる?」男は反応した。
前方の席のギャルが騒いでいる。「見えてるって」
「丸見えだよ!」
「あー本当だ。パンツ見えてる。やだあ」
スカートが捲れてパンツが見えていた。
「見、えてる」
男は嬉しそうにこやかな顔をする。
男の体はだんだん薄くなり、空気に溶けるように消滅した。私はほっとした。

「はっ!違げーよ!見せてるんだよ」ギャルが周りをみてニヤニヤ笑う。
車内の男性人はドキッ!とした。
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