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出会い⑨
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ーーそれから5年の歳月が流れた
何者かによって作られた円型の更地は草花が色とりどりに茂っている。
そこへ2組の魔物の群れがやってきた。
片方は大きなツノが生えた馬の様な魔物。
もう一方は同じく大きなツノの生えた鹿の様な魔物。
ここは自分の陣地だと主張するかの如く、互いを威嚇しあう。
隙を窺っているのか、ジリジリと脚を動かすも決して前に進もうとはしない。
空はどんよりと曇り、鳥型の魔物が旋回しながら下方のやり取りを観察している。
おこぼれを狙っているのか、移動する気配はない。
風は生温く、決して快適とは言えない。
すると風速およそ25mはあるだろう突風が吹いたのを皮切りに、雄叫びと共に2組の魔物の群れが勢いよく走り出した。
地面が揺れ、生え揃った草花がぐしゃぐしゃに潰れる。
互いの距離が瞬く間に縮まっていく。
ツノが交わる、その刹那ーーーー
「こらぁーーー!!!」
幼い子供の声が聞こえた。
2種の魔物達の動きがピタリと止まる。
驚いて止まったわけではない。
その声が響いた瞬間動けなくなったのだ。
不穏な空気を感じ、ずっと様子を窺っていた鳥型の魔物は叫びながら何処かへと飛んでいった。
リーダー格の魔物は無意識の内に敵の目を見るが、相手も動揺した様な視線をこちらに送っている。
四肢を動かそうと、もがこうとしても石のような硬直がとけない。
冷や汗の様なものがじんわりと浮かんできた。
そうこうしていると、何かが近づいてくる音が聞こえた。
ゆっくりゆっくりこちらに近づいてくる。
だが、視界から外れている為その全貌がわからない。
サク……サク……サク……サク……
潰れている草花を踏み締める音が聞こえる。
やがて視界の端に小さな生き物をとらえた。
それは人型をしている。
薄紫の長い髪に片方だけ三つ編みをし、リボンで結んでいる。
白のブラウスの襟元には青の宝石付きリボンを付け、水色のフレアスカート。
膝まである白のソックスに黒の靴を履いている。
手には花籠を持っている。
目はパッチリとした藍色、色白の透明感のある肌。
ピンクの頬をプクッと膨らませ、口をへの字にして魔物の前までやって来た。
彼女はどこからどう見ても人間だった。
両者をギロッと睨み、腰に手を当て口を開く。
「あなたたちはどうしていつもケンカばかりするの?!」
少し舌足らずの高い声が響き渡る。
それと同時に魔力の波紋が広がり、風が吹き、木々を揺らす。
魔物の中にはその魔力に当てられ泡を吹いている者もいる。
「もうケンカしないってちかうならゆるしてあげる」
少女はリーダー格の魔物の目を覗き込む。
目が微かに揺れていた。
それを確認すると、じゃーゆるしてあげるとニコッと笑い、魔物達の戒めを解いた。
2体のリーダー格の魔物は少女に会釈すると他の魔物達を連れて一目散に逃げて行った。
「あーあ、お花つもうとおもったのになー」
彼女は地面をキョロキョロしながら近くを散策する。
不意に目の前に転移の魔法陣が現れ、同時に魔族の男も現れた。
腕を組み、少女をチラッと見るとすぐに背を向ける。
「探したぞリリアム、帰るぞ」
「あ、待ってよカシム!」
再び転移の魔法陣が現れ、2人の姿が消えた。
そこへ風が吹き、潰れてしまった無数の花びらが宙を舞った。
何者かによって作られた円型の更地は草花が色とりどりに茂っている。
そこへ2組の魔物の群れがやってきた。
片方は大きなツノが生えた馬の様な魔物。
もう一方は同じく大きなツノの生えた鹿の様な魔物。
ここは自分の陣地だと主張するかの如く、互いを威嚇しあう。
隙を窺っているのか、ジリジリと脚を動かすも決して前に進もうとはしない。
空はどんよりと曇り、鳥型の魔物が旋回しながら下方のやり取りを観察している。
おこぼれを狙っているのか、移動する気配はない。
風は生温く、決して快適とは言えない。
すると風速およそ25mはあるだろう突風が吹いたのを皮切りに、雄叫びと共に2組の魔物の群れが勢いよく走り出した。
地面が揺れ、生え揃った草花がぐしゃぐしゃに潰れる。
互いの距離が瞬く間に縮まっていく。
ツノが交わる、その刹那ーーーー
「こらぁーーー!!!」
幼い子供の声が聞こえた。
2種の魔物達の動きがピタリと止まる。
驚いて止まったわけではない。
その声が響いた瞬間動けなくなったのだ。
不穏な空気を感じ、ずっと様子を窺っていた鳥型の魔物は叫びながら何処かへと飛んでいった。
リーダー格の魔物は無意識の内に敵の目を見るが、相手も動揺した様な視線をこちらに送っている。
四肢を動かそうと、もがこうとしても石のような硬直がとけない。
冷や汗の様なものがじんわりと浮かんできた。
そうこうしていると、何かが近づいてくる音が聞こえた。
ゆっくりゆっくりこちらに近づいてくる。
だが、視界から外れている為その全貌がわからない。
サク……サク……サク……サク……
潰れている草花を踏み締める音が聞こえる。
やがて視界の端に小さな生き物をとらえた。
それは人型をしている。
薄紫の長い髪に片方だけ三つ編みをし、リボンで結んでいる。
白のブラウスの襟元には青の宝石付きリボンを付け、水色のフレアスカート。
膝まである白のソックスに黒の靴を履いている。
手には花籠を持っている。
目はパッチリとした藍色、色白の透明感のある肌。
ピンクの頬をプクッと膨らませ、口をへの字にして魔物の前までやって来た。
彼女はどこからどう見ても人間だった。
両者をギロッと睨み、腰に手を当て口を開く。
「あなたたちはどうしていつもケンカばかりするの?!」
少し舌足らずの高い声が響き渡る。
それと同時に魔力の波紋が広がり、風が吹き、木々を揺らす。
魔物の中にはその魔力に当てられ泡を吹いている者もいる。
「もうケンカしないってちかうならゆるしてあげる」
少女はリーダー格の魔物の目を覗き込む。
目が微かに揺れていた。
それを確認すると、じゃーゆるしてあげるとニコッと笑い、魔物達の戒めを解いた。
2体のリーダー格の魔物は少女に会釈すると他の魔物達を連れて一目散に逃げて行った。
「あーあ、お花つもうとおもったのになー」
彼女は地面をキョロキョロしながら近くを散策する。
不意に目の前に転移の魔法陣が現れ、同時に魔族の男も現れた。
腕を組み、少女をチラッと見るとすぐに背を向ける。
「探したぞリリアム、帰るぞ」
「あ、待ってよカシム!」
再び転移の魔法陣が現れ、2人の姿が消えた。
そこへ風が吹き、潰れてしまった無数の花びらが宙を舞った。
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