おバカな魔族と少女の魔王計画

ユミ

文字の大きさ
11 / 48

何でも屋②

しおりを挟む
カップを傾けながら問い掛けをする。

「この後はどうするんだ?」

「さっきお花つめなかったから別のところつんでくる」

「その後は?」

「うーん………あ、まだ読めない本があるから読んで」

「わかった、読んで欲しい時に声を掛けてくれ」

「はーい」


 毎食後のティータイム時は大体この様なやり取りが日課となっていた。
 まずカシムがリリアムにこの後の予定を聞き、リリアムがそれに答える。
 何かして欲しい時はこの時にお願いをするという形である。
 面倒を嫌うカシムが自分的に効率の良い方法を考えた結果である。
 これを思い付くまで……厳密にはリリアムが慣れるまでは彼女に振り回されてばかりであった。

 リリアムが物心つき始めたのは3歳頃からだ。
 それまでは動物の様だったのに気付いたら会話が出来る様になったと後にカシムは語った。

 赤ん坊の頃からカシムの魔法を見ていたからか、食事の時は魔法で遊び、かと思えばいつの間にかいなくなり、追い掛けると遊んでもらってると思い全力で逃げる。
 酷い時は1日帰ってこない時もあった。
 その時のリリアムは森の魔物達と遊んでいた。
 いや、森の魔物達で遊んでいたのかもしれない。

 彼女自身生まれながらに強大な魔力を持ち、既にある程度自在に操れたので怪我や死亡する心配は無いにせよ、これが毎日であった為彼は精神的に疲弊をしていた。

「これは何とかせねば私が辛い……」


 そんな訳でカシムは試行錯誤を繰り返し、ようやく今の理想的な形になったのだ。
 あの時の事を思い出すと軽く身震いがする。



「「ご馳走様でした」」

「それじゃカシム!いってきまーす」

 少女は花籠を持ち、手を振りながら食堂を後にした。

 それを見送ると彼は自室へ向かう。
 廊下では掃除をしている人形達を見かける。
 この城の管理はカシムが魔法で操作している人形達が全てを担っていた。
 自分の知識の無さが露見しない為にはこうする他手立てがなかったのである。

 原理としては、自分が他の魔族や人間に紛れて屋敷等に行った時、そこで従事していた者達の能力を魔法でコピーをし、人形に移したものである。
 なのでいちいち指示を出さなくても勝手にやってくれるのだ。

 この事をドラコが聞いてきたので話したら、

「意味がわからん」

 何を言っているんだろう、不思議でならない。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...