おバカな魔族と少女の魔王計画

ユミ

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何でも屋④

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「むう……」

 リリアムが持っている2通の手紙を読み比べる。
 確かに言われてみればそうである。

「はぁ、今からでもどっちか片方断っちゃえば?」

「それは出来ない、魔族は契約の元引き受けたものを破棄すると何かしらの制約を受ける事になるのだ。それに、それが無くとも格好が悪いであろう」

 腕を組み自信満々に言われ、リリアムは何も言えなくなった。

 彼は何百年と何でも屋をしているが、こういった事態が起きたのは初めてであった。
 なので、何とかして両方を達成しなければならない。
 だが考えても何も浮かばない。

 隣にいる少女も唸りながら良い方法が無いか考える。
 当たり前だが、彼女の方が彼に比べて頭の回転は何百倍も早いし奇想天外な発想も出やすい。

 自分は諦めてリリアムの案が出やすい様にお菓子でも持ってこようと扉に手を掛けた瞬間……

「思い付いた!」

 彼女はカシムの方を見てニヤリと笑う。
 その表情を見て、嫌な予感がする。
 リリアムが不敵な笑みをする時は大抵とんでもない事が起こったり、無理難題を押し付けられたりするのだ。



 ーーー



 ギズベリン王国。
 織物や狩猟が盛んで人々も豊かに暮らしている。
 観光客も多く賑わっている為、一度は行ってみたい国として名高い。

 カシム達は事の詳細を聞くべく、この国に足を運んだ。
 勿論、彼に至っては無用な混乱を避ける為人間に姿を変えている。

 現在地王国の露店街。
 本当はさっさと話を聞きに行きたいのだが、リリアムが国内で凄く賑わっている露店街に行きたいと駄々をこねたので仕方なくついてきた。
 当の彼女は名産の織物や見た事のない食べ物を嬉々として眺めたり触ったり食べたりしている。

「カシム!はい、あーん」

 まだ口も開けてないのにねじ込まれた。
 口周りがベタベタになったが、なかなか美味であった。
 これは何の肉だ?と少女に聞く。

「あー、ギョロピカンダモの肉って書いてあったけど何だろうね?」

 ギョロピカンダモ……。
 それは8つある目がギョロギョロして、肌がぬめりによってピカピカしており、グニャグニャした身体が気持ち悪い。
 カシムが最も苦手な生き物である。

 それを聞いた彼は蒼白し、出ない声をあげ、転移で何処かへと消えた。
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