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驚愕①
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「なに………これ………」
リリアムは思わず近付き、水槽を撫でた。
中の人物は研究室に入った時と同じ服を着ていた。
頭まですっぽりと液体が満たし、目は固く閉じられたまま。
気泡が下の方から次々と出てきている。
初めての光景に驚きを隠せない。
ソーシウスも少女と同じ様に凝視し、少し青ざめている。
言葉を失いながらも、ソレから目を離せないでいた。
「それは防腐剤が入っているのよん」
唐突に背後から話し掛けられた。
言葉にはそぐわない男の声だ。
驚き、身を翻す。
そこに立っていたのは、一言で表すと変態だった。
緑の短髪のアシンメトリー、目元には泣きぼくろ。
白衣の中は下着と見紛う位、際どい服。
ヒールのあるニーハイブーツを履いていた。
男は楽しそうに手をヒラヒラとふる。
何かされるのではないかと身構えた。
一縷の望みにかけ、少年に目配せをする。
だが、少年の視線はこんなやつ知らないと言っていた。
「ンフフ、油断したわぁ。まさかコレが見つかっちゃうとは思わなかったわぁ。こんばんは、坊や達。初めましてぇ」
男は右手を胸に当て、お辞儀をする。
口調は柔らかいが、目付きは冷たい。
ニコッと笑うも、口角のみ上がっているので、逆に何を考えているのかわからず不気味だ。
そんな得体の知れない相手に、少年は意を決して口を開く。
「こ…これはお前の仕業か?!ゲルガは…ゲルガは生きているんだろうな」
「いいえ、死んでるわぁ。アタシが殺したの。ただ、最近傷みが増えてきちゃったからちょいちょい修復しなきゃなんなくなったのよねぇ」
「………っ!?」
「あ、ついでにネタバラシしちゃうと、坊やのお父さんとお母さんもアタシが殺しちゃったわぁ」
ソーシウスは衝撃を受ける。
母は事故死、父は病死だとゲルガから聞かされていた。
まさか、そのゲルガも死んでいたなんて……!
少年は怒りと恐怖で震える。
唇を強く噛むと少し血の味がした。
「何故だ……何故殺した!!?」
その問いに、男は粘つく様な表情でニタァーと笑う。
「何故……何故ねぇ。……アタシはねぇ、子供が大好きなのぉ。特に少年なんて大好物だわぁ。純真無垢な少年の恐怖や絶望した時の顔がたまらないのぉ」
頬に手を当て、恍惚な笑みを浮かべる。
「そこでたまたま坊やの事を見つけたの。嗚呼、この坊やはどんな顔を魅せてくれるんだろうって。坊やを陥れるにはどんな方法がベストか凄く考えたわぁ」
まるで舞台のオンステージかの様に身体をくねらせ、大袈裟に身振り手振りをする。
現在に至るまでの過程を次々と吐き出していく。
まず初めに前王から一番信頼の厚いゲルガを殺し、自分の操り人形にした事。
そのゲルガを使い、王妃が乗っている馬車を崖から転落させた事。
更には同じくゲルガを使い、前王が服用している薬に毒を混ぜた事。
「今は民衆や従者の嫌悪を募らせ、クーデターを起こさせる途中だったのよぉ。そうしたら今度は、処刑される坊やの絶望した素敵な表情が見られる。それで今回の遊びは終わりにする予定だったのよん」
嗚呼、ここまで本当に最高だったわぁと身体をよじる。
そんな前から計画が始まっていたのかと愕然とする。
ただ自分が快感を得る為だけに、こんな大掛かりな仕掛けをしてきたのか。
ソーシウスは悔しさで涙を止めることが出来なかった。
リリアムは思わず近付き、水槽を撫でた。
中の人物は研究室に入った時と同じ服を着ていた。
頭まですっぽりと液体が満たし、目は固く閉じられたまま。
気泡が下の方から次々と出てきている。
初めての光景に驚きを隠せない。
ソーシウスも少女と同じ様に凝視し、少し青ざめている。
言葉を失いながらも、ソレから目を離せないでいた。
「それは防腐剤が入っているのよん」
唐突に背後から話し掛けられた。
言葉にはそぐわない男の声だ。
驚き、身を翻す。
そこに立っていたのは、一言で表すと変態だった。
緑の短髪のアシンメトリー、目元には泣きぼくろ。
白衣の中は下着と見紛う位、際どい服。
ヒールのあるニーハイブーツを履いていた。
男は楽しそうに手をヒラヒラとふる。
何かされるのではないかと身構えた。
一縷の望みにかけ、少年に目配せをする。
だが、少年の視線はこんなやつ知らないと言っていた。
「ンフフ、油断したわぁ。まさかコレが見つかっちゃうとは思わなかったわぁ。こんばんは、坊や達。初めましてぇ」
男は右手を胸に当て、お辞儀をする。
口調は柔らかいが、目付きは冷たい。
ニコッと笑うも、口角のみ上がっているので、逆に何を考えているのかわからず不気味だ。
そんな得体の知れない相手に、少年は意を決して口を開く。
「こ…これはお前の仕業か?!ゲルガは…ゲルガは生きているんだろうな」
「いいえ、死んでるわぁ。アタシが殺したの。ただ、最近傷みが増えてきちゃったからちょいちょい修復しなきゃなんなくなったのよねぇ」
「………っ!?」
「あ、ついでにネタバラシしちゃうと、坊やのお父さんとお母さんもアタシが殺しちゃったわぁ」
ソーシウスは衝撃を受ける。
母は事故死、父は病死だとゲルガから聞かされていた。
まさか、そのゲルガも死んでいたなんて……!
少年は怒りと恐怖で震える。
唇を強く噛むと少し血の味がした。
「何故だ……何故殺した!!?」
その問いに、男は粘つく様な表情でニタァーと笑う。
「何故……何故ねぇ。……アタシはねぇ、子供が大好きなのぉ。特に少年なんて大好物だわぁ。純真無垢な少年の恐怖や絶望した時の顔がたまらないのぉ」
頬に手を当て、恍惚な笑みを浮かべる。
「そこでたまたま坊やの事を見つけたの。嗚呼、この坊やはどんな顔を魅せてくれるんだろうって。坊やを陥れるにはどんな方法がベストか凄く考えたわぁ」
まるで舞台のオンステージかの様に身体をくねらせ、大袈裟に身振り手振りをする。
現在に至るまでの過程を次々と吐き出していく。
まず初めに前王から一番信頼の厚いゲルガを殺し、自分の操り人形にした事。
そのゲルガを使い、王妃が乗っている馬車を崖から転落させた事。
更には同じくゲルガを使い、前王が服用している薬に毒を混ぜた事。
「今は民衆や従者の嫌悪を募らせ、クーデターを起こさせる途中だったのよぉ。そうしたら今度は、処刑される坊やの絶望した素敵な表情が見られる。それで今回の遊びは終わりにする予定だったのよん」
嗚呼、ここまで本当に最高だったわぁと身体をよじる。
そんな前から計画が始まっていたのかと愕然とする。
ただ自分が快感を得る為だけに、こんな大掛かりな仕掛けをしてきたのか。
ソーシウスは悔しさで涙を止めることが出来なかった。
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