48 / 48
森へ①
しおりを挟む
獣人。
主に森や山など木々が多い所を好んで住む。
身体の所々に動物の特徴があり、とても好戦的で、挨拶代わりに戦闘を仕掛けてくる場合もある。
草食系と肉食系で分類されており、お互いをライバル視している。
ゲシ!ゲシ!
現在、肉食系獣人の子供にカシムは足を蹴られていた。
しかも無言で執拗に脛を狙って蹴ってくる。
事の発端はカシム達が獣人の住むテリトリーに入り、迷子の子供を見つけたところから始まる。
リリアムが声をかけ、その子が迷子だとわかり、両親の元へと帰そうとした。
ところがカシムは………。
「何故そんな子供を連れて行かねばならぬのだ?」
と己の疑問を尋ねたが最後、それが子供の機嫌を損ねたらしく、歩きながらずっとカシムを攻撃してくるのだ。
側から見るとなかなかシュールな光景である。
リリアムがやめる様に言っても聞く耳を持たない。
カシムはカシムでダメージを感じていない為か、気にする様子もなくいつも通り歩いている。
それが子供にとって、余計に癪に障るのであろう。
森を進んでいくと、やがて集落を見つけた。
資源は森で採取してるのか、全て木造である。
住人はどうやら獣人のようだ。
迷子の親も見つかるかもしれない。
集落の獣人に子供の親を探していると聞くと、指をさして教えてくれた。
教えた礼に一戦どうだいと言われたが丁重に断った。
獣人達は目を輝かせながら、この辺では珍しい悪魔と人間を見ている。
何人かに声を掛けられたが、全て勝負の申し込みだった。
いきなり襲い掛かって来ないだけ、まだマシかもしれないと少女は思う。
そうこうしていると子供の家と思われる場所に到着した。
子供は相変わらず、脛を攻撃するのに夢中で気付いていない。
声を掛けても無視される。
仕方がないので、家の扉をノックし親に出てきてもらう事にした。
コンコンコン…………ガチャ。
中から子供と同じ風貌の獣人が出てきた。
「この子供はお前の子か?」
カシムがそう聞くや否や、獣人は子供の頭を片手で掴み、地面へと叩きつける。
突然の出来事に驚きを隠せない。
少女は一人でオロオロする。
すると子供は何事もなかったかの様にムクリと起き上がり、母ちゃんただいま!と元気に帰宅を報告した。
少女が事情を説明すると、更に子供は拳骨をくらっていた。
後に本で確認したところ、獣人の子育てはこういう過激なものらしい。
「お礼に一戦如何ですか?」
「ええと、結構です。それより、獣人達の住処で一番大きいところはどこにありますか?」
普通の地図だと大まかな範囲しか描かれていない為、特定が難しい。
母親に聞くと家の中から獣人用の地図を持ってきてくれた。
詳細に記載されており、わかりやすい。
勝負の代わりにと母親は快く獣人用の地図をくれた。
目指すは、獣人の闘技場。
獣人の長が主宰しているものである。
規模も大きく、色んな所からの支援で運営しているとのことだ。
賭け事としても使われている。
その為、ここで優勝した者には名誉が与えられ、出来る限りの望みを叶えられるらしい。
そこでカシムに優勝させて、仲間になってもらえる様に希望する予定だ。
今の時期はちょうど出場者を募集している頃合いだ。
善は急げと足早に目的地へと向かった。
主に森や山など木々が多い所を好んで住む。
身体の所々に動物の特徴があり、とても好戦的で、挨拶代わりに戦闘を仕掛けてくる場合もある。
草食系と肉食系で分類されており、お互いをライバル視している。
ゲシ!ゲシ!
現在、肉食系獣人の子供にカシムは足を蹴られていた。
しかも無言で執拗に脛を狙って蹴ってくる。
事の発端はカシム達が獣人の住むテリトリーに入り、迷子の子供を見つけたところから始まる。
リリアムが声をかけ、その子が迷子だとわかり、両親の元へと帰そうとした。
ところがカシムは………。
「何故そんな子供を連れて行かねばならぬのだ?」
と己の疑問を尋ねたが最後、それが子供の機嫌を損ねたらしく、歩きながらずっとカシムを攻撃してくるのだ。
側から見るとなかなかシュールな光景である。
リリアムがやめる様に言っても聞く耳を持たない。
カシムはカシムでダメージを感じていない為か、気にする様子もなくいつも通り歩いている。
それが子供にとって、余計に癪に障るのであろう。
森を進んでいくと、やがて集落を見つけた。
資源は森で採取してるのか、全て木造である。
住人はどうやら獣人のようだ。
迷子の親も見つかるかもしれない。
集落の獣人に子供の親を探していると聞くと、指をさして教えてくれた。
教えた礼に一戦どうだいと言われたが丁重に断った。
獣人達は目を輝かせながら、この辺では珍しい悪魔と人間を見ている。
何人かに声を掛けられたが、全て勝負の申し込みだった。
いきなり襲い掛かって来ないだけ、まだマシかもしれないと少女は思う。
そうこうしていると子供の家と思われる場所に到着した。
子供は相変わらず、脛を攻撃するのに夢中で気付いていない。
声を掛けても無視される。
仕方がないので、家の扉をノックし親に出てきてもらう事にした。
コンコンコン…………ガチャ。
中から子供と同じ風貌の獣人が出てきた。
「この子供はお前の子か?」
カシムがそう聞くや否や、獣人は子供の頭を片手で掴み、地面へと叩きつける。
突然の出来事に驚きを隠せない。
少女は一人でオロオロする。
すると子供は何事もなかったかの様にムクリと起き上がり、母ちゃんただいま!と元気に帰宅を報告した。
少女が事情を説明すると、更に子供は拳骨をくらっていた。
後に本で確認したところ、獣人の子育てはこういう過激なものらしい。
「お礼に一戦如何ですか?」
「ええと、結構です。それより、獣人達の住処で一番大きいところはどこにありますか?」
普通の地図だと大まかな範囲しか描かれていない為、特定が難しい。
母親に聞くと家の中から獣人用の地図を持ってきてくれた。
詳細に記載されており、わかりやすい。
勝負の代わりにと母親は快く獣人用の地図をくれた。
目指すは、獣人の闘技場。
獣人の長が主宰しているものである。
規模も大きく、色んな所からの支援で運営しているとのことだ。
賭け事としても使われている。
その為、ここで優勝した者には名誉が与えられ、出来る限りの望みを叶えられるらしい。
そこでカシムに優勝させて、仲間になってもらえる様に希望する予定だ。
今の時期はちょうど出場者を募集している頃合いだ。
善は急げと足早に目的地へと向かった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
(「出会い②」までの感想になります)
面白いですね。赤ん坊がどういう形で、物語に関わっていくのかが、とても気になります。カシムも、赤ん坊に自分の頭脳になってもらおうだなんて、けっこう頭がいいですね(笑)